仕事と介護の両立支援
高齢化が進み、働く期間が長期化している今日、介護によって一時的に働き方が制約される事があります。それを乗り越えるには、企業による仕事と介護の両立支援が必要です。
育児とは異なり、介護は終わりが見えないため、両立に不安を感じる人もいます。また、介護は突然始まることもあり、「対応の方法がわからない」、「周囲に相談できない、協力が得られない」ということなどが原因で、問題を一人で抱え込み、ストレスを感じてしまう人もいます。このような理由で介護離職が起きるのは、企業の経営戦略、人事戦略上リスクといえます。
企業は介護離職ゼロを目指すならば、介護をしながら働く社員が、両立期もキャリア形成を持続できるよう、介護に備えるための知識と意識を持つための支援をする必要があります。利用できる公的サービスや施設、介護に必要な費用、介護休暇、あるいは企業独自の支援制度を十分に知らない人は少なくありません。そのため、まずは介護が発生した時に仕事との両立を前提として考えるための情報提供が重要です。そして、社員が仕事と介護の両立を自分事として意識できるように促す事で、いざという時でも「仕事と両立する」という軸をぶらさず行動が取れるようにします。加えて、社員同士、上司といった職場での周囲の理解や協力を得られるような風土づくりも不可欠といえます。場合によっては、社員の家庭状況を知るために調査が必要なこともあります。
仕事と介護の両立のための
キャリアの課題
- 社員に介護や介護制度に対する基礎知識や情報が不足している
- 仕事と介護を両立するための具体的なイメージがわかない
- 仕事と介護を両立について職場で相談できる相手がおらず、一人で抱え込んでしまう
仕事と介護の両立のための
キャリア開発の方向性
- 仕事と介護の両立のポイントを押さえ、介護に関する備えを持つ
- 家族や両親の状況を把握し、仕事と介護の両立が起きる可能性のある時期を可視化することで介護が自分事となるよう促す
- 仕事と介護の両立について職場内での理解を深め、互いに支援できるよう促す
仕事と介護の両立の基礎知識を持ち、両立を前向きに自分事と捉える意識を醸成
背景
50代社員の中に親の介護をする人が増え、職場の中核を担う40代社員も今後同じような状況になる可能性があった。そのため、介護に関する社内制度の理解促進とともに、仕事と介護の両立に備えるための知識や情報を提供する必要があった。
施策
講演(セミナー)形式で社内と社外の介護制度の解説を行い、受けられる支援に関する理解を促した。また、研修形式でケーススタディやグループワークを通じて、社員一人ひとりの今と将来の家族や親の介護の可能性や、実際の場面での行動の仕方を明確化した。
成果
介護の事例、経験者の体験談などを聞くことで、社員一人ひとりが、介護も自身のキャリアの中で起きるイベントとして具体的に意識することができ、仕事と介護の両立のための相談や協力の仕方といったことも含めて実践的な知識を得ることができた。