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人生二毛作社会を創るために/人生二毛作をクオリティ・オブライフ 原 正紀社長に聞く

"人生二毛作"とは、「ミドル・シニア層がこれまで培ってきた豊富な経験や高いスキルを、キャリアの二毛作目として別の分野で活用すること」。著書の中でこのように紹介している株式会社クオリティ・オブ・ライフ代表取締役 原正紀氏に、高齢化が進む中で組織や日本が活性化するためのヒントをうかがいました。

2014.01.16
コラム

人生の正午を迎えた40~50代のミドル・シニアの後半戦キャリアに対して、"人生二毛作"という非常に興味深い考え方があります。"人生二毛作"について、「人生二毛作社会を創る(同友館)」の著者である、株式会社クオリティ・オブ・ライフ 原 正紀社長に伺いました。

株式会社クオリティ・オブ・ライフ 代表取締役 原 正紀 氏

早稲田大学法学部卒業後、大手メーカーを経てリクルートへ入社し、企業や官公庁、大学などへの提案活動を行った後に起業。採用・定着・育成・人事制度構築などに関する提案を行い、多数の企業の成長・変革をサポートしてきた。併せて官公庁や教育機関に対して幅広く人財関係の提案活動を行っている。
これまで2000人を超える経営者と面談をしており、新たな人財課題の解決、新時代における人と組織のベストマッチング、若者からシニアまでの個人のキャリア支援、学生のトランジションサポート、外国人留学生支援など多岐にわたる活動を行っている。
■高知大学客員教授(キャリア論)、成城大学非常勤講師(起業論)
■株式会社沖縄QOL代表取締役、一般社団法人留学生支援ネットワーク理事
■GCDFキャリアカウンセラー、中小企業診断士(経営コンサルタント)、ITコーディネーター
■人活産業研究委員(経済産業省)、市場化テスト専門委員(内閣府)、若者と中小企業とのネットワーク構築事業委員(中小企業庁)、就業力向上支援事業審査員(文部科学省)、東京都、島根県、静岡県、沖縄県の雇用関係委員など
■著書:「間違いだらけの会社選び」(アチーブメント出版)、「採用氷河期」(日本経済新聞出版社)、「優れた企業は日本流」(扶桑社)、「独活のすすめ」「インタビューの教科書」(同友館)、「実践キャリア考」(共著:実教出版)、「人生二毛作社会を作る」(共著:同友館)など

"人生二毛作"とは、ミドル・シニア層がこれまで培ってきた豊富な経験や高いスキルを、キャリアの二毛作目として別の分野で活用することであると「人生二毛作社会を創る(同友館)」にはあります。また、企業に勤めながらも人生・キャリアの二毛作目を内に秘めているミドル層の存在は、超高齢化を迎えた日本の大きな原動力であり、また、実際にそういったミドル・シニア層が二毛作目でも活躍しているとあります。
"人生二毛作"は日本や企業・組織をどうのように変えるのか、また、"人生二毛作"浸透のための高齢者に関する3つのパラダイムシフトについて、原社長に伺いました。

高齢化をメリットに変える、キャリアの二毛作

二毛作とは、それまで耕してきた土壌を活かして、新たな農作物を育てて収穫することである。それを人のキャリアに置き換えて、世界に類を見ない高齢化社会を迎えた日本の、新しい社会システムを創る上で一つの解決策になる可能性を追求したのが拙著「人生二毛作社会を創る」(同友館)である。今の日本が直面している課題はとても多い。人口の減少、経済の停滞、年金・医療保険、社会福祉などの問題・・・それらは待ったなしの状況になってきた。この高齢化を逆にメリットとして、新たな成長社会を描くことができるはずである。

"人生二毛作社会"が、矛盾する「高齢者雇用」と「若者の就職難解消」を両立させる

高齢者雇用とセットで語られる、若者の就職難の問題もある。若者の厳しい就職状況について、当初はバブル崩壊に伴う経済不況が原因であると短絡的に考えられていた。だが本当の原因は、多くの企業が定年をのばした点にあるのかもしれない。終身雇用制をとってきた日本の会社にとって、定年制度は新陳代謝を起す仕組みであった。現在は高齢化社会の到来や高齢者雇用安定法の改正により、定年を65歳に延ばすといった試みがなされている。これは高齢者の雇用の機会を確保する作用が有る反面、若者の雇用機会を圧縮して会社内の新陳代謝を止めてしまう作用も有すると思われる。

高齢者の雇用の機会を維持しつつ、会社内の新陳代謝を促進し、若者の就職困難を解決するにはどうしたら良いのか。このような問題を解決するための総合的な試みが「人生二毛作社会の実現」である。定年を65歳に設定することには、もちろん多くのメリットが内包されている。だがそれは、人件費の増加に耐えうる一部の企業に限られるものでもあり、高齢者の大多数が活き活きと長く働けるようになるには、より多様な施策が必要とされる。そこで定年延長に加えて、別の組織や自らの起業でそれまでの経験を活かす、人生二毛作的な展開が重要になる。

"人生二毛作社会"実現のための、高齢者に関する3つのパラダイムシフト

そのような社会を実現するためには、従来のパラダイム(見方)の転換が求められる。パラダイムを変えて新たな施策を打つことで、日本の新しい成長モデル、社会充実モデルが作れるのではないか。それに挑戦することは、高齢化先進国としての日本の役割だと思う。雇用延長だけでなく、より緻密で成長志向の推進策が必要とされるだろう。必要とされるパラダイムの転換としては、以下の3つのポイントが挙げられる。

1.高齢者は保護の対象であり、セーフティネットが必要である。
⇒高齢者の活用により、社会にイノベーションを起こす源となりうる。

2.高齢者は弱者である。
⇒高齢者は強者であり、既存の価値を見直し、社会を良くするチャレンジャーとして活躍できる。

3.高齢者は社会的コストセンター(負担)でもある。
⇒高齢者は社会のプロフィットセンター(価値創出)である。

これまで、高齢者といえば「保護の対象」「社会的弱者」「社会のコストとなる年代」と考えられていた。しかし、高齢者に対する見方を「社会における活躍対象」「長年培ってきたスキル・知識・資産を有する社会的な強者」「利益を生み出すことの可能な年代」というようにシフトしたらどうだろうか。
もちろんこれはすべての高齢者に当てはまるものではない。しかしこれにより、今まではマイナスと捉えられてきた事象が、プラスに転ずることとなる。問題解決だけでなく、社会に対するイノベーションを起こすことが可能となるのである。そのような考え方を拡大して、若者からシニアまでがそれぞれの役割を活き活きと果たしていけるような、全員参加型の社会で21世紀をリードする日本でありたいものだ。

「人生二毛作社会を創る」守本憲弘氏・原 正紀氏(著)

「人生二毛作社会を創る―企業ミドルの生き方改革による長寿社会の再構築」
著者 守本憲弘/株式会社クオリティ・オブ・ライフ 代表 原正紀
価格 1,800円(税別)
出版元 同友館
発売日 2011年11月30日

序章 人生二毛作社会への展望
第一章 高齢化雇用延長の見通し
第二章 出でよニモラー達
第三章 何卒できない二毛作
第四章 人生二毛作社会への処方箋

本書は大きく2つの視点から、日本の進むべき道を考察して書かれている。一つは高齢化社会における日本の社会システムはどうあるべきか、というマクロ=政策の視点。もう一つはその中で個人や組織がどうあるべきか、というミクロ=人・キャリアの視点である。
どちらの視点もこれからの日本を考える上で、重要な外せない視点である。両面から考えることで、実現可能性から逸脱せずにあるべき姿を追いかけることができる。それにより閉塞感が漂う今の日本で、未来へのブレークスルーへ向かって、その方策を具体的に提示する。

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