パーパスとは?策定するためのステップやメリットなどを解説

「パーパス(Purpose)」とは、一般的には「目的」や「意図」と訳される英単語です。しかし近年はビジネスにおいて企業や組織、個人が何のために存在するのか、明確に宣言するために使われることも多くなっています。

当記事では、ビジネスシーンにおけるパーパスについて、必要とされている理由や策定するためのステップ、掲げるメリットなどを解説します。

2023.11.27
コラム

1.パーパスとは企業の存在意義を宣言すること

ビジネスシーンで用いられるパーパスとは、企業や組織、個人が何のために存在するのか、社会における存在意義を表すものです。事業を遂行する根本的な理由ともなり、企業の揺るぎない指針となります。また、社会との繋がりを強く意識し、社会全体の視点から見た企業のあり方を示すことも挙げられます。

2.パーパスによって認知を高めるパーパスブランディング

昨今、マーケティング環境の変化や多様化する価値観に伴い、サービスや価格で他社との差別化を図ることが難しくなっています。そこで、パーパスによって社会における存在意義を示し、ブランド戦略を展開する、「パーパスブランディング」に注目が集まっています。

従来のブランディングでは、顧客個人にとっての価値やメリットを示し、ブランド価値を提供していました。一方、パーパスブランディングは、企業が社会的な存在意義を示し、賛同や共感を集めることで、長期的に顧客と関係を築いていく方法です。ここではパーパスブランディングについて、どのような効果があるのかを見ていきましょう。

1)事業領域への効果

パーパスブランディングを推進すると、新たな顧客体験を創出できます。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)など、社会貢献の視点も踏まえたパーパスの実現を目指す姿勢は、企業に付加価値をもたらします。顧客から見ても高いブランド価値を感じやすく、共感を得やすいといえるでしょう。

2)人事領域への効果

企業が掲げたパーパスに共感する人材を採用・育成することで、従業員から高いエンゲージメントを得られる可能性があります。特に、社会貢献という観点に重きを置く人材には、高い効果が期待できると考えられています。

3)組織領域への効果

パーパスを基に社会や顧客へ、自社がどのような価値を提供していけばよいのかということに向き合えば、組織の壁を超えてプロジェクト単位での組織体制に変化させることも可能です。従業員の意見やアイディアが部署の垣根を越えて共有されるようになれば、企業のあり方も変わってくるはずです。

3.パーパスが必要とされている理由

パーパスという言葉はここ数年で特に注目を集め、ビジネスシーンでも用いられるようになりました。その理由は、次の3点に大きく分けられます。

1)企業に求められる価値観の再構築

パーパスが必要とされている背景には、社会における企業の存在意義の再構築が求められていることが挙げられます。2015年の国連サミットでSDGsが採択されて以降、企業の社会的なあり方や、存在意義を再構築する必要性が高まり、パーパスが多く用いられるようになりました。サステナブル(持続可能)な経営へとシフトし、自社のあり方を見つめ直すきっかけとなったのです。

また、近い将来に企業活動や消費者の中心となる、ミレニアル世代を中心とした若者層の間では、消費に対する価値観だけではなく、就職先を選定する目線にも変化が起きています。企業のパーパスや文化、社会貢献度を重視する傾向があり、企業への評価基準が変わってきているのです。
こうした背景からパーパスという言葉が広まりつつあると考えられるでしょう。

2)投資家が評価する価値基準の変化

投資家の評価基準の変化も、パーパスが注目を集める背景のひとつです。SDGsやESGへの関心が高まっている中、ステークホルダーや社会に対しても価値をもたらすことができるかという点が、投資家が企業の将来性を判断する際の材料となっています。そのため、パーパスを掲げている企業かどうかは、投資の評価基準のひとつとして重視されているのです。

3)DX推進の広がり

DXはデジタル化による効率化だけでなく、デジタル技術やデータを活用して、ビジネスモデルを変革させることも目的とした取り組みです。ビジネスモデルを変革するためには、自社の存在意義や顧客や社会に対してどのように貢献していくのかを根本的に見直す必要があるでしょう。
自社の存在意義や経営の方向性が明確でなければ、ビジネスモデルの創出も困難です。つまり、DX推進にあたってパーパスが言語化されていることは有効です。

4.パーパスを策定するためのステップ

企業でパーパスを策定する際は、どのような手順で進めればよいのでしょうか。ここでは3つのステップに分けて見ていきます。

1)自社のパーパスを明確にする

まずは自社の存在意義や信念をパーパスとして明確にします。パーパス策定に正解はなく、存在意義や信念を具体的にするのは簡単ではありませんが、次のような点を意識してみるといいでしょう。

<パーパス策定のポイント>

  • 今ある社会課題の解決につながるか
  • 自社の強みを活かせるか
  • 自社が実現できることか
  • 従業員が当事者意識をもって捉えられるか

自社の歴史を振り返り、社内のさまざまな部署の従業員を含めて議論することで、パーパスを策定していく方法を考えられるでしょう。

2)パーパスステートメントを作成する

パーパスが明確になったら、パーパスステートメントを作成します。
パーパスステートメントとは、パーパスを言語化した声明です。「自社が何のために存在するのか」「そのために自社はどのような価値を提供するのか」といった問いのアンサーとなるような、シンプルで伝わりやすい文言を意識して作成します。
また、パーパスステートメントを作成する際は、行動指針(バリュー)も併せて作成するといいでしょう。

3)パーパスステートメントを実行、評価する

パーパスステートメントを、事業や社員とリンクさせていくことが大切です。その一環として、自社商品やサービスのブランディングにつなげるのもひとつの方法でしょう。また、社内浸透に向けては管理職がみずから規範となってパーパスを実践・体現することで、従業員も当事者意識をもって捉えられる取り組みをすることも重要です。

パーパスステートメントを実行した後は、忘れずにその取り組みを評価しましょう。パーパスに向けた取り組みやストーリーを社内外へ発信して伝えていくことで、ステークホルダーからの理解が深まり、エンゲージメント向上にも繋がります。

5.パーパスを策定する上での注意点

パーパスを策定する上では、パーパスウォッシュにならないように注意しなければなりません。
パーパスウォッシュとは、パーパスを掲げながらも、実際の企業活動が伴っていない状態のことです。発表したパーパスと経営の実態がかけ離れているのであれば、ステークホルダーをはじめ、社会からの信頼失墜につながります。パーパスウォッシュを避けるためにも、意思決定や行動を一貫させながら、継続していく必要があります。

6.パーパスを掲げるメリット

パーパスを掲げることで、企業には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットを紹介します。

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1)ステークホルダーに支持される

パーパスを掲げる企業は信頼できるという印象を周囲に与え、消費者や株主などのステークホルダーの共感を得やすくなるというメリットがあります。現代社会において、ステークホルダーにとって「共感」できる要素を持つかどうかは重要です。パーパスによってその企業の経営の軸が明確になり、共感を呼びやすくなるでしょう。

パーパスへの共感をきっかけに、例えばSNSでの拡散をきっかけに認知度が向上し、ファンが増えることも期待できます。企業イメージの向上や、売上向上といった効果も生まれるでしょう。

2)従業員のエンゲージメントが高まる

従業員エンゲージメントの向上も、パーパスを掲げるメリットといえます。従業員が自身の働く意義と重なりを見出せれば、社会貢献を実感しやすくなります。働きやすさだけではなく、働きがいも重視する傾向にある現代において、企業が掲げるパーパスは大きな意味を持ちます。パーパスに共感する従業員は働きがいを感じやすくなり、エンゲージメントが向上。その結果として、企業の生産性や売上向上が期待できるでしょう。

3)イノベーションが創出しやすくなる

パーパスを掲げて実践することで、それに基づいた企業文化や価値観が形成されます。従業員全員が同じ方向を目指して働けるため、部署間の垣根が低くなり、イノベーションを創出しやすい環境になります。このような企業のベースができれば、社員が自発的に行動する可能性も高くなるでしょう。

7. パーパスを活用して企業価値の向上と成長につなげよう

企業が経営においてパーパスを掲げることによって、ステークホルダーとの信頼関係の構築や、従業員のエンゲージメント向上など、さまざまなメリットを期待できます。
重要なのは、単にパーパスを掲げるのではなく、その内容に即した行動を継続的に実践するということです。行動が伴わない場合、ステークホルダーからの信頼が低下してしまうおそれがあります。
自社の存在意義について改めて考え、パーパスを正しく活用しながら、企業価値の向上と成長につなげていきましょう。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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