管理職に求められる役割とは?必要なスキルと育成方法を解説

部下を率いて業務を取り仕切る管理職は、企業の運営において中心的な役割を果たします。管理職の働き次第で、チームの生産性やメンバーのモチベーションは上がりもしますし、下がりもします。働き方が多様化している現代では、管理職に求められる役割も変わりつつあり、そのような変化をキャッチアップしていくことが重要です。
この記事では、管理職の基本的な役割や必要とされるスキル、効果的な育成方法について詳しく解説します。

2024.07.09
コラム

1.管理職とは、複数の部下と業務の決定権を持つ役職者のこと

管理職といっても、企業や組織によって、その業務や権限の範囲はさまざまです。かつてはひとつの企業に勤め続ける中で、一般社員から係長、課長、部長のように昇進していくことが一般的でしたが、今はキャリアパスの選択肢が増え、管理職の役割も変わってきています。

そもそも管理職とは、「指揮命令ができる複数の部下を持ち、業務遂行について一定の権限を持つ人」を指します。肩書が係長やチームリーダーであっても、業務における決定権がない場合は、管理職にはあてはまりません。

管理職はチームや部門を率いる立場として、目標達成のために必要な戦略を策定し、実行します。また、業務プロセスを最適化し、部下の能力を最大限に引き出すことも管理職の役割です。組織のパフォーマンスに大きな影響を与える管理職の存在は、企業運営の要だといえるでしょう。

1) 一般社員との違い

一般社員は、管理職の指示のもとで業務を遂行する、いわゆる部下にあたる存在です。一般社員の評価は個人の業務成果にもとづき、個々の業務の質や効率が評価対象となります。
一方、管理職はチーム全体の成果に対して評価されます。これは管理職がチームの指導や管理、そして目標達成に対して責任を持つためです。管理職の役割にはメンバーの育成やモチベーション管理も含まれ、チーム全体のパフォーマンス向上を図ることが求められます。

2) 役員との違い

管理職と役員の違いは、その役割と責任範囲にあります。管理職はあくまで社員の区分のひとつであり、業務の遂行とチームの管理に対して責任を持ちます。
一方、役員は企業と委任契約を結び、組織全体の長期的な方向性や成長戦略を決定する存在です。また、役員は株主やステークホルダーに対して企業の業績を報告し、企業価値の最大化に責任を持ちます。このように、管理職と役員はあくまで異なる存在です。

2.管理職に求められるスキル

部下を率いて戦略策定を行う管理職は、リーダーシップやチームビルディングなど、一般社員とは異なるスキルが求められます。ここでは、管理職に求められる代表的な4つのスキルについてご紹介します。

1) リーダーシップ

効果的なリーダーシップは、管理職にとって重要なスキルのひとつです。管理職が適切なリーダーシップを発揮できなければ、部下は何を目標にして業務に取り組めばいいのかがわからず、モチベーションが低下したり、チームとしての成果が発揮できなくなったりするでしょう。明確なビジョンを提示し、それに向かってチーム全体を導くことで、組織の生産性向上に貢献できるでしょう。

意思決定の際には、チームメンバーの意見を尊重しながらも、最終的には自身の判断で方向性を決定する責任があります。さらに、部下を信頼し、必要に応じて権限を委譲することも重要です。これにより、部下の自主性を促し、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。

2) コミュニケーション能力

管理職には、円滑なコミュニケーション能力が求められます。これは、部下との信頼関係を築き、業務を滞りなく進めるために不可欠です。部下の話に耳を傾け、彼らの意見や懸念を理解する姿勢を持つことで、心理的安全性の保たれた環境を作ることができます。

さらに、時には伝えるべきことをはっきりと伝えることも重要です。あいまいなメッセージの発信は、チーム一丸となって目標達成を行うための妨げになります。効果的なコミュニケーションによって、誤解やミスを防ぎ、メンバー同士の協力体制を強化しましょう。

3) 問題解決能力

管理職には、問題解決能力が求められます。組織を運営する上で、トラブルや課題は避けられません。管理職はこれらの問題を早期に発見し、迅速かつ効果的に解決する能力が必要です。これには、問題の根本原因を分析し、適切な解決策を見つける能力が含まれます。

さらに、問題解決のプロセスを通じて、チームメンバーのスキル向上を図ることも重要です。これにより、チーム全体の能力が向上し、将来的な問題への対処能力も高まります。

4) チームビルディング

強固な組織を作り上げるチームビルディング能力も、管理職には大切です。具体的には、チームメンバーの強みを理解し、各メンバーに明確な役割と責任を与えることで、強い組織を作ることができます。
また、経営方針やビジョンをチームに浸透させることも重要です。これにより、全員が同じ目標に向かって努力し、一体感を持って業務に取り組むことができます。

3.管理職の育成方法

企業による組織的なサポートなくして、管理職の適性を持った社員は生まれません。社員一人ひとりのキャリアプランを把握し、適切なタイミングで管理職の育成を行いましょう。
ここでは、管理職を育成するための具体的な方法について詳しく解説します。

1) 研修プログラム

管理職の育成には、体系的な研修プログラムの実施が有効です。研修プログラムには、経営の基本的な知識や管理スキル、そしてコミュニケーショントレーニングが含まれます。これにより、管理職候補者は必要な知識とスキルを体系的に習得できます。さらに、実践的なケーススタディを通じて、理論と実践の両面からスキルを磨くことができます。
このように定期的な研修は、管理職が最新の知識とスキルを維持し、常に高いパフォーマンスを発揮するために有効です。

2) スーパーバイザーまたはコーチをつける

スーパーバイザーやコーチの存在も、管理職の育成において重要な役割を果たします。スーパーバイザーやコーチは、管理職の強みと弱みを把握し、具体的なアドバイスを提案する役割を果たします。それによって、管理職は客観的な視点で自分のマネジメント能力を見つめ直すことが可能です。
また、定期的なフィードバックを通じて、管理職は自分の成長を実感し、さらなるスキル向上へのモチベーションを維持することができます。

3) 管理職のネットワークを作る

ある程度規模の大きな組織の場合、管理職同士のネットワークを作ることで、情報交換や悩みの共有の場として機能します。
特に、一般社員から管理職へ昇進したての人材は、実際のチーム運営に関する悩みがつきません。共通の課題や経験を持つほかの管理職から学び、アドバイスを得ることで、実践的なマネジメント能力を身に付けられるでしょう。

ほかにも、業種・職種をまたいだイベントやフォーラムへの参加を通じて、管理職は新しい視点やアイディアを取り入れる機会を得られます。このようなネットワークを通じて築かれる人脈は、将来的なキャリアパスの形成にも大いに役立つはずです。

4.キャリアのあり方が多様化する今、適切な管理職の育成を

管理職は企業運営の要であり、企業と従業員をつなぐ重要な役割を担います。管理職には、リーダーシップ、コミュニケーション能力、問題解決能力、チームビルディングなど、多岐にわたるスキルが求められます。これらのスキルを育成するためには、体系的な研修プログラム、スーパーバイザーやコーチの導入、そして管理職同士のネットワーク構築が効果的です。

個々人の価値観が多様化している現在、管理職に必要なのは日々の業務推進だけでなく、部下の中長期的なキャリア支援です。そのためにも、従業員にとって管理職が身近な存在になり、より良い信頼関係を構築することが求められています。管理職との面談などで個々人のキャリア自律が促されれば、自ら考えて動く社員が増えます。そうすることで、現場が強い組織になるでしょう。

株式会社ライフワークスでは、従業員のキャリア開発を検討・実施する方に向け、さまざまなソリューションをご提供しています。ここまで述べてきたような、管理職が多様化する従業員のキャリアを理解し、適切な支援をするための具体的な方策についてもご紹介することが可能です。キャリア支援や人材育成をご検討いただく際に参考になる資料もご提供していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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