女性活躍推進に欠かせない管理職層への意識改革アプローチ

女性活躍推進を実際に行っていく中で、重要な要素の一つとなるのが「上司からの理解」です。いくら女性本人がやる気になっても、上司が女性活躍に対して正しい理解を持っていないと、本人のモチベーション向上にはつながりにくくなる可能性も。そうならないためのポイントを事例を交えてご紹介します。

2014.11.12
コラム

こんにちは、ライフワークスのマーケティング担当、尾上(オノエ)です。

2014年11月7日(金)に経済産業省から、『「APEC女性活躍推進企業50選」 ベストプラクティス集』が発表されました。日本の事例としては、三州製菓株式会社、株式会社資生堂、株式会社髙島屋、株式会社光機械製作所、有限会社モーハウスの5社が掲載されています。

管理職の意識改革は、女性活躍推進の重要なテーマ

事例集を見ると、育児休暇や時短勤務といった両立支援制度の充実だけでなく、女性社員本人と周囲の意識を変えていく取り組みを積極的に行っていることが伺えます。

株式会社高島屋の取り組みにあるように、管理職層の意識を変え女性社員と上司のコミュニケーションを活性化させて、職場の日々の仕事のなかで女性の活躍が後押しされているのは女性活躍推において望ましい状態と言えます。

当社でも、管理職向けにダイバーシティマネジメント・女性活躍推進の理解促進を狙った研修をお手伝いする機会が増えています。実際の企業の事例から、管理職層の意識改革のアプローチをいくつかご紹介します。

"仕事の価値観は人それぞれ多様である"ことを実感させる

管理職へのアプローチのファーストステップは、女性活躍推進は経営戦略であり会社全体の取り組みであることを経営層から伝えることです。経営に近いポジションで仕事をしている管理職には、そもそも女性活躍推進が経営方針であることを理解してもらうことが重要です。

その上で、具体的に女性社員を活躍支援はどうあるべきなのかを、会議や研修の場を通じて伝えていくことをおすすめします。

弊社の研修においては、女性をマネジメントする視点や手法の前に"多様性"を実感するところからスタートします。

仕事の価値観を探るための特別なカードを使った簡単なセルフアセスメントを行い、結果を管理職同士で共有します。会社の経営理念・経営戦略に向かって日々仕事をしている同じ管理職であっても、仕事の価値観がさまざまであることをセルフアセスメントを通じて実感することができます。

「部下は、女性社員は、仕事にどんな価値観を持っているのだろうか?」という意識作りにもなります。

女性社員との相互理解を促す

前回の記事では、女性社員とその上司をペアにした研修を少しご紹介しました。研修という場で上司・部下の相互理解を深め、今後のキャリアビジョンを共有していきます。
ペア研修は女性社員と管理職層に一度にアプローチできる有効な手法ではあるものの、何人もの管理職を研修のために半日~2日間拘束するのは、日程調整も含め大変な面があります。

なかなか女性社員とその上司を同じ日に集めて研修を行えない場合は個別に研修プログラムをご提案していますが、それぞれ『仕事の価値観を探るセルフアセスメント』は共通して盛り込んでいます。多様性の実感だけでなく、研修後、職場に戻った際、「セルフアセスメントの結果(仕事の価値観)はどうだった?」という会話から相互理解が促されることを狙っています。上司・部下の個別のキャリア面談を設定して、研修について話しながらキャリアプランを共有していくのも良いでしょう。

アンケートで女性社員とのすれ違いに気づく

その他、女性社員とその上司の相互理解を促す手法として、アンケートを実施する企業も結構いらっしゃいます。

・女性社員についてのアンケート
・上司についてのアンケート
をそれぞれ同じ設問項目で、女性社員と上司に回答してもらいます。

『女性社員についてのアンケート』では、例えば、
女性社員向けの設問:あなたは仕事でチャンスを与えられていますか?
上司向けの設問:部下の女性社員●●さんに仕事でチャンスを与えていますか?
を5段階で評価してもらい女性社員と上司のポイントの差を見てみます。
女性社員は低い評価が多く、上司は高い評価が多かったとするならば、日々の仕事のなかですれ違っている点であるということがわかります。上司は仕事に対する説明不足が、女性社員はその仕事が自分にとってどうプラスになるのかを正しく理解ができていなかったかもしれません。
評価ポイントに開きのある設問は特に日々の仕事において気を付けるべき点です。

"上司"は女性活躍推進に欠かせない

ダイバーシティマネジメントや女性活躍推進について学ぶと、管理職は女性社員への期待を高めます。女性社員も自分自身のキャリアと向き合ってありたい姿を描くとモチベーションが高まります。どちらか一方が欠けていると、「もっと仕事に積極的になって欲しい(管理職)」、もしくは、「上司は私のことを理解してくれない(女性)」という不満が噴出してしまいます。上司・部下の意識がしっかりかみ合うよう、女性社員本人と管理職それぞれにアプローチしていくことが女性活躍推進には欠かせません。

また、研修では女性社員に、"仕事において上司からうまく支援を引き出す"視点を持ってもらうアプローチもしています。それについては、また次回以降でお話したいと思います。

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