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キャリアオーナーシップとは?社員の主体的・能動的なキャリア開発の重要性

「人生100年時代」といわれる長寿社会となった日本では、人が働く期間も長期化する傾向にあります。その上、生涯一企業でキャリアを全うできる人は少なくなるため、今後は社員自らが主体となりキャリアを形成していく「キャリアオーナーシップ」の重要性が増していきます。

昨今、経営課題としてキャリアオーナーシップに取り組む企業も多くなる中、本記事では、キャリアオーナーシップの具体的な意味、注目される背景、社員が主体的・能動的にキャリア開発を行う重要性について詳しく解説します。

2021.08.20
コラム

キャリア開発とは?

キャリア開発とは、中長期的な視点で個人の経験やスキル、職務能力を向上させる取り組みです。自分が築いてきた経験やスキルを認識、理解した上で、将来に向けて必要なスキル・知識・得るべき経験を明確にし、自らプランを立て実行します。

社員が自分事としてキャリア開発の必要性を認識し、今後に向けて行動変容することで、組織内での活躍がさらに期待できる人材へ成長することが見込めます。

また、社員一人ひとりが積極的にキャリア開発を行うことで 組織が活性化し、新しい価値の創造やイノベーションが促進されるとも考えられています。

キャリアオーナーシップとは?

キャリアオーナーシップとは、自分自身を「キャリア形成の当事者」と認識し、主体的・能動的にどう働き、どう生きていくのかを考え、人生そのものを形成・構築していくことを指します。

具体的には一人ひとりが自己認識とリフレクション(振り返り)を繰り返しながら、能動的にキャリア開発を行っていきます。

これまで日本では、企業や組織が個人のキャリアを主導することが多かった現状があります。今後は、個人が自身のキャリア開発に責任を持つ必要がある、ということがポイントになります。

キャリアオーナーシップが注目される背景

少子高齢化が進む日本では、定年制度の改正などにより、若者から高年齢者まであらゆる世代に活躍が求められています。
また、経済のグローバル化が進み、変化の速い現代において企業が生き残るためには、環境変化に対応しスキルを磨き続ける自律的な人材をいかに増やすかが課題です。

キャリア自律した人材を育成していくためには、個人に対する企業の「キャリア開発支援」が一層重要です。社員がキャリアオーナーシップの重要性を認識する研修や、スキルを磨き、発揮できる機会の必要性が高まっていると言えるでしょう。

世界最大級の医療機器メーカーであるボストン・サイエンティフィック社では、市場を取り巻くビジネス環境がより複雑化する中、社員一人ひとりが市場に対応する力が求められていました。社員が主体性をもって自らのキャリアや働き方を選択しながらその能力を最大限発揮できる組織、制度、マインドセットの醸成を目的とした見直しを進めています。

キーワードは「キャリアオーナーシップ」と「ラーニングオーナーシップ」。まず、社員の自主性、当事者意識を高めることに力を入れています。特に第一線にいる30~40代の社員のキャリアオーナーシップ醸成を重視して、積極的にキャリア研修に取り組んでいます。

キャリア開発の現状

先進的な企業では、社員がキャリアオーナーシップを発揮するための取り組みも出てきているものの、一般社団法人 日本経済団体連合会が2020年に行った人材育成に関するアンケートでは、74.1%の社員が「会社主導」のキャリア形成を行っており、「自律的」にキャリアを形成している割合は22.9%にとどまっているのが日本の現状です。

自律的なキャリア形成に向けた取組み (1)社員のキャリア形成の現状

参照:人材育成に関するアンケート調査結果(2020年1月)|一般社団法人 日本経済団体連合会(PDF)4ページ

しかし、今後の方針となると「社員の自律性を重視したキャリア形成を基本とする」と答えた企業が62.9%。「会社主導を基本」と答えた企業は35.9%と数字が逆転しています。

また、78.2%の企業が社員のキャリア開発を進めるために「外部と連携して取り組むことを検討している」または「すでに取り組んでいる」と答えています。多くの企業は、社員のキャリア開発促進に外部の企業を活用し、社員が主体となって意欲的に取り組めるプランを検討中のようです。

キャリアオーナーシップの注意点とは?

キャリアオーナーシップを持つことや社員主体のキャリア開発に切り替えようとするときに、社員への伝え方によっては、レールから外されたような印象を持ちネガティブな反応をするケースが出てくることがあります。企業はまず、自社を取り巻く環境変化と、それに伴う社員に求める人材要件の変化について、社員に説明する必要があります。その上で、一人ひとりのキャリア開発の重要性と、企業としてその支援に取り組む意思を明確に表明するとよいでしょう。そうした丁寧な説明を通して、キャリアオーナーシップを持つ意義を社員に深く理解してもらうことが重要です。

また、社員がキャリアオーナーシップを持ち自身のキャリアを構築するためには、何よりも「自分らしさ」を忘れないことが大切です。単に業務を遂行するためにスキルを身につけるのではなく、自分らしく生きていくために自身が「どうありたいか」を主体的に考えられるよう、まずはマインドセットの醸成から始めることが望ましいでしょう。

まとめ

グローバル化やデジタル化、AIなどのテクノロジーの進展により、近年のビジネスはこれまでの成功体験が通用しづらくなっており、非連続の成長時代に入ったと言われます。しかし、変化の激しい時代であっても、キャリアオーナーシップを持つ社員は環境変化に適応しながら自身のめざすキャリアを切り拓き、活躍し続ける人材となることが期待できます。

企業にとって社員主体の能動的なキャリア開発促進は、企業の成長やイノベーション創出につながる重要な施策です。社員のキャリア開発支援に投資し、社員と良好な信頼関係を築きながら一人ひとりのキャリアオーナーシップの確立を促進していきましょう。社員個人の市場価値を高める支援をすることが、結果として従業員エンゲージメントを高め、社内で主体的に活躍する人材を増やすことにつながるはずです。

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