キャリアプランシートとは?作成する理由や具体的な作り方

組織貢献度の高い人材を育てるにあたり、社員一人ひとりがキャリアプランの設計を通して、将来の目標やありたい姿を明確化することが重要になります。そこでおすすめするのが「キャリアプランシート」の作成です。
今回は、キャリアプランシートの概要や作成によって期待できる効果を解説します。具体的な作成手順もお伝えしますので、社員のキャリア形成をサポートする人事担当者様は、ぜひ参考にしてください。

2026.03.20
コラム

1.キャリアプランシートとは?

キャリアプランシートは、働く人の将来の方向性を計画する際に使用されるツールです。こちらでは、キャリアプランシートの基本的な知識やジョブ・カードについて解説します。

1)キャリアプランニングに活用するツール

キャリアプランシートは、自分が考えるキャリアの計画を書き出すものです。将来自分がどうありたいかを考え、それを実現するための行動計画です。キャリア形成や就職活動などに活用されます。

キャリアプランシートには、1年後や5年後などの自分のありたい姿を書き出し、その達成に必要な行動を具体的に記載するのが一般的です。

2)厚生労働省が作成しているジョブ・カードにもある

キャリアプランシートは、厚生労働省が作成を推進しているジョブ・カードの1つです。ジョブ・カードとは、自分の経歴やスキルを整理し、キャリアプランニングや能力開発を行うための書類を指します。

履歴書をより詳細にした様式で、職務経歴や免許、資格、職業訓練、キャリアプランなどを記入する項目があります。就業経験や職業能力の証明に利用できるため、学生から求職者、在職者まで多様な人材が活用しているツールです。

【出典】ジョブ・カードとは(厚生労働省)

2.キャリアプランシートを作成するメリット

キャリアプランシートを作成しておくと、転職の場面だけでなく、今の仕事の中でも「自分の強みをどう活かして伸ばしていくか」を整理しやすくなります。
将来の方向性が言語化されることで、日々の選択や行動に迷いが減り、目指す姿に向けた道筋が見えやすくなるのも大きな利点です。
ここでは、キャリアプランシート作成の主なメリットを3つご紹介します。

1)キャリア自律の実現に向けたアクションプランが明確になる

自己実現やキャリア自律を実現するためには、理想に近づくために何をするべきか明確にすることが重要です。
キャリアプランシートで目指す方向性と行動計画を整理しておけば、現在地とのギャップが可視化され、優先的に取り組むべき課題が明確になります。

例えば、習得すべきスキルや必要な経験、挑戦したい業務・役割が整理されることで、日々の学習や業務の進め方が目的に沿ったものになります。
結果として、迷いなく行動に移せるようになり、キャリア自律に向けたアクションを着実に積み上げられます。

2)仕事のモチベーションが上がる

将来の目標やそこに至る道筋がはっきりすると、日々の業務を「ただこなす作業」ではなく、目標達成につながるステップとして捉えられるようになります。

例えば、今取り組んでいる仕事がどんな経験やスキルにつながり、将来のキャリアにどう活きるのかが見えると、業務の意味を実感しやすくなります。

結果として、自分から工夫して動こうとする主体性が生まれ、仕事へのモチベーションも自然と高まりやすくなります。

3)仕事のモチベーションに良い影響を与える

キャリアプランの作成を通してありたい姿までの計画を立てることで、自分自身の目標が明確になります。目標達成に向けて取るべき行動がはっきりするため、モチベーションの向上につながるでしょう。社員のモチベーションがアップすると、生産性の向上や業務効率の改善が期待でき、企業にもメリットがあります。

4)キャリアプランが共有しやすくなる

キャリアプランシートの作成を推進することで、企業は社員のキャリアプランを把握しやすくなります。作成したキャリアプランシートは、1on1ミーティングや面談の場で利用したり、キャリアパス制度を設計する際の資料として参考にしたりなど、キャリア支援に役立てられます。企業が社員のキャリアを積極的にサポートする姿勢を見せることで、エンゲージメントの向上や組織の活性化、優秀な人材の定着なども期待できるでしょう。

キャリアプランを共有する際は、キャリアに関する対話を通じて会社・組織の方針と社員のキャリアビジョンをすり合わせることが大切です。これにより、企業は社員の適性や未来に向けての考えを考慮して仕事を割り振りやすくなり、社員は自ら描く未来の実現に向けた能力開発に励みやすくなります。

この導入事例もチェック
→ヤフー株式会社 主体的な成長・キャリア開発と各種人事施策をかけあわせ、組織価値の最大化を目指す

3.キャリアプランシートの作り方

キャリアプランシートの作成方法に明確な正解はありません。キャリアプランシートを導入している企業や組織ごとに様式が異なるため、自社に適した形で作成することが重要です。こちらでは、上司が部下にキャリアプランシートの作成を指導する際の一般的な考え方を5つのステップに分けてご紹介します。

career_plan_sheet.png

career_plan_sheet.png

1)Step1.自分の過去を振り返る

まずは、これまでの職務を通して得た経験や、そこで培った強みなどを中心に過去を振り返り、自己分析を行いましょう。その業務に従事するなかで自分がどのような点にやりがいを感じたか、それはなぜかについても書き出しておくのがおすすめです。自分が大事にしている価値観や強み・持ち味、興味・関心の確認にもつながります。

仕事のやりがいの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
仕事のやりがいとは?従業員が感じる瞬間と自分で見つける方法

2)Step2.自分の現在の状況を把握する

過去の振り返りができたら、次は現状の把握を行います。たとえば「組織から求められている役割はなにか」「そこに向けてどんな強みを発揮しているか」「苦手なこと、現時点で不足している力はあるか」など、できる限り具体的に記載するのがポイントです。言語化が難しい場合は、上司や同僚にフィードバックをもらったり、自己診断ツールを参考にしたりするのも良いでしょう。

ステップ1と2を通して自己分析を徹底的に行うことで、将来自分が目指したいことや、今やらなければならないことが見えやすくなります。

3)Step3.将来のありたい姿や目標を考える

次のステップでは、自分の将来のありたい姿や目標を考えます。1年後や5年後、10年後などの時間軸を設定して、今後どのようにありたいのか、何をしたいのか、希望の働き方などを具体的に書き出しましょう。まずは広く書き出した上で、実現可能性も考慮して絞り込むことも大切です。キャリアプランシートは、自分の目標を明確化したうえで具体的なアクションプランに落とし込むことを目的としています。理想ばかりを掲げてしまうと行動計画を作成できず、思ったような効果が得られません。

また、人生は仕事とプライベートの両方から成り立っています。そのため、将来をイメージする際は、仕事と合わせてプライベートでどのようにありたいかも書き出すと良いでしょう。

この導入事例もチェック
→日本水産株式会社 「自立と自律」を人事ポリシーに、社員の状況を定量で把握しながらキャリア自律支援に注力

4)Step4.将来のありたい姿や目標の達成に必要なことを考える

続いては、ステップ3で掲げたありたい姿や目標を達成するために必要なことを検討します。将来のありたい姿と現在の状況を比較して足りない部分を見極め、必要な経験や習得するべきスキルなどを洗い出しましょう。短期間で習得可能なものと、長いスパンでの経験の蓄積が必要なものに分けて考えるのがおすすめです。

5)Step5.現在から将来への道筋を計画する

最後のステップでは、現在の状況から将来のありたい姿にたどり着くための道筋を計画し、具体的なアクションプランを策定します。身に付けるべきスキルがある場合はいつまでに習得するのか、強みを伸ばすのか、または弱みを克服する必要があるのかなどを明確にします。例えば、海外支社で為したいことがある場合には、「1年以内にビジネス英語を習得する」「海外のビジネストレンドを掴む」などのテーマも、課題として挙がってくるかもしれません。いつまでにどんな状態を達成するのか、そのためにどんな取り組みが必要かなどを、具体的に描くことが重要です。

キャリアプランシートやアクションプランを作成した後は、定期的に見直しを行い、目標が達成できているか確認することが大切です。過去に自分が掲げた目標を一つずつクリアしていくことが、次の目標に向けたモチベーションにつながります。

また、労働環境やライフステージの変化によって、自分が理想とするありたい姿は変化していくこともあります。そのような場合は、最初の計画に固執するのではなく、都度考えることを癖づけましょう。

4.キャリアプランシートに含めるべき項目

キャリアプランシートを作成する際は、将来の方向性を具体化するために、いくつかの要素を整理しておくことが大切です。

例えば、仕事に求める価値観や興味・関心、自分の強みと現在の課題を言語化することで、目指したい姿とのギャップが見えやすくなります。

加えて、将来どのような働き方をしたいのか(役割・環境・ライフスタイルなど)を明確にし、実現に必要なスキルとその習得計画まで落とし込むことで、実行可能なキャリアプランとして形にできます。
ここでは、キャリアプランシートに含めるべき主な項目を紹介します。

5.キャリアプランシートを作成時の注意点

キャリアプランシートは、自分の方向性や成長の道筋を整理できる便利なツールです。
しかし、内容が曖昧だったり現実味に欠けたりすると、「目的が不明確」「受け身に見える」といった印象につながり、評価を下げてしまうケースもあります。
せっかく作成するなら、前向きな意欲や実行力が伝わる形に整えることが重要です。ここでは、キャリアプランシートを作成する際に押さえておきたい注意点を解説します。

1)完璧に作ろうとしない

キャリアプランシートは、最初から完璧に仕上げようとする必要はありません。
まずは思いつくことを一度書き出し、方向性や優先順位を整理していくことが大切です。

そもそもキャリアプランは「一度作って終わり」ではなく、経験を積む中で価値観や目標が変わったり、環境が変化したりするものです。
定期的に見直し、必要に応じて更新していく前提で作成すると、無理なく実用的なシートになります。

2)自分の能力に見合ったプラン内容にする

キャリアビジョンは理想を描くものですが、そこへ至る計画は現実的である必要があります。
現状の経験やスキルとかけ離れた目標を、根拠やプロセスなしに並べてしまうと、計画性がない印象を与えたり、現実を見ていないと受け取られたりする可能性があります。

だからこそ、自分の現在の能力や置かれている状況を踏まえたうえで、段階的に到達できるプランに落とし込むことが大切です。
必要なスキルや経験を整理し、達成までのステップを示すことで、説得力のあるキャリアプランになります。

3)可能な限り具体性を持たせる

キャリアプランシートは、可能な限り具体性を持たせることが重要です。
目標をただ掲げるだけでなく、「どのような状態を目指すのか」「なぜその目標が必要なのか」を明確にすると、内容に一貫性が生まれます。

さらに、達成のための行動を具体化し、期限や数値目標(例:◯月までに資格取得、半年で◯件の案件を担当など)まで落とし込めば、取り組むべきことがはっきりし、実現性も高まります。

結果として、計画性と実行力が伝わるキャリアプランになります。

4)第三者からの意見を活用する

キャリアプランシートは、自分だけで完結させず、第三者の意見を取り入れることも大切です。
作成した内容を上司やキャリアの専門家に共有し、客観的なフィードバックをもらうことで、計画の偏りや抜け漏れに気づきやすくなります。

また、自分では想定していなかった強みや適性、別の選択肢を提示してもらえることもあり、新たな視点や可能性を広げるきっかけになります。
より実現性の高いプランに磨き上げるためにも、定期的に相談するのがおすすめです。

6.キャリアプランシートを作成後にするべきこと

キャリアプランシートは、理想のキャリアを実現するための「スタート地点」です。作成しただけで満足してしまうと、行動につながらず形だけで終わってしまいます。
大切なのは、シートに書いた内容を日々の選択や行動に落とし込み、状況に合わせて更新していくことです。
ここでは、キャリアプランシートを作成した後に取り組むべきことを3つ紹介します。

1)アクションプランを実行する

キャリアプランシートを作成後は、次に重要なのはアクションプランを実行に移すことです。
アクションプランは、長期目標から逆算して「いつまでに、何を、どのレベルまで行うか」を具体化したものです。

例えば、数値目標(半年で◯件担当、TOEIC◯点など)や学習内容(習得するスキル、読む教材、受講する講座)まで落とし込むと、迷わず行動に移しやすくなります。
今やるべきことが明確になれば、日々の取り組みが目標につながり、着実に前進できます。

2)定期的に内容を見直す

キャリアプランは、成長や環境の変化に合わせて定期的に見直すことが重要です。
人は経験を積むほど価値観や強みが変化しますし、組織の方針転換や担当業務の変更など、環境も常に変化します。

さらに、出産・育児、転職、介護といったライフイベントがきっかけで、働き方の優先順位が変わることも珍しくありません。

だからこそ、一定のタイミングで内容を振り返り、状況に合わせて柔軟に調整していくことが重要です。
必要に応じて原点に立ち返り、目指すビジョンを再構築することで、現実に即したキャリアプランとして機能し続けます。

3)専門家に相談する

キャリアプランシートを自分だけでまとめるのが難しいと感じる場合は、専門家に相談するのも有効です。
社内のキャリア支援窓口や、社外のキャリアコンサルタントを活用すれば、経験やスキルの棚卸しを客観的に進められ、目標設定や行動計画も現実的な形に整理しやすくなります。
迷いや不安があるときこそ第三者の視点を取り入れることで、納得感のあるキャリアプランにつながります。

資料DL:キャリア面談と評価面談の違い

7.キャリアプランシートの作成を通して社員のありたい姿をサポート

今回は、キャリアプランシートの概要や作成によって期待できる効果、具体的な書き方についてお伝えしました。キャリアプランシートは、社員のありたい姿を言語化し、実現に向けて必要なアクションを明確化するために有用なツールです。キャリア支援の一環として取り入れることで、組織が進む未来に向けて一人ひとりの力を最大限に活かす組織づくりに繋げることができるでしょう。

社員が持つキャリアプランを言語化し、把握することは、企業にとってもメリットがあります。キャリアプランシートを使って、キャリア面談を実施することをおすすめします。対話のなかで相互理解が進み、個人にとっても組織にとっても、未来に繋がる新たな発見があるでしょう。

キャリア面談を実施する際のポイントをまとめた資料をご用意していますので、以下のページからぜひダウンロードしてみてください。

資料DL:キャリア面談と評価面談の違い

株式会社ライフワークスでは、20代からシニアまでの各世代や、女性活躍推進、管理職向けなど、課題に合わせた「キャリア開発研修」をご提供しています。キャリア開発研修は、企業で働く社員(従業員)一人ひとりの、自律的キャリア形成を支援する方法の一つです。社員のキャリア課題を持つ方は、是非ライフワークスのキャリア開発研修をご覧ください。

おすすめ記事

コラムの一覧へ戻る