仕事のやりがいとは?やりがいを感じる時、見つけ方、意味を解説

ビジネスシーンでは「やりがい搾取」という言葉が広く知られるほど、仕事におけるやりがいは重視される存在となっています。しかし、具体的にやりがいとはどのようなことを指すのか、実際のところ理解が曖昧になってしまっているケースも少なくありません。その特徴を改めて確認しながら、どうすれば自社の従業員がやりがいを感じられるか探ってみましょう。

当記事では、やりがいに関する基礎知識から、従業員がやりがいを感じる場面、やりがいを見つける方法までを解説します。いきいき働ける職場づくりに取り組む人事担当者様は、ぜひ参考にお読みください。

2024.03.18
コラム

1.仕事のやりがいとは?

自社の従業員が日々、会社でいきいき働けるようにするには、仕事にやりがいを見いだすことがひとつのポイントとなります。初めに、人事担当者が理解しておくべき、やりがいの意味を解説します。

1)仕事に取り組む価値や仕事から得られる充足感のこと

やりがいとは、仕事をすることで精神的に満たされる価値観や理由がある状態を指します。具体的には、成長意欲のほか、達成感や充実感などの手応え、悔しさをバネにする熱意など、人によってさまざまです。
こうしたやりがいは、人生を豊かにするうえで欠かせない要素のひとつだと考えられています。

やりがいの有無は、仕事へのモチベーションに関わる場合があります。仕事にやりがいがないと、一般的に業務に対する向上心や楽しみを抱きにくいためです。このような働き方では、日々の業務を単なる繰り返しの作業だと感じてしまうおそれがあります。
従業員が業務に前向きに取り組むためにも、自身の仕事にやりがいを見いだせると良いでしょう。

2)仕事のやりがいは人によって異なる

やりがいの感じ方は一様ではなく、同じ職場で一緒に仕事をしていたとしても、人によって異なるものです。例えば、仕事に見合った報酬を得ることにやりがいを感じる人もいれば、顧客からの感謝の言葉にやりがいを感じる人、また信頼する上司から褒められることでやりがいを感じる人もいます。人それぞれで価値観が違うため、やりがいにも違いがあるのです。

ただし、仕事のやりがいは誰もが必ず感じているわけではありません。職場や環境、業界や職種での仕事内容などによっては、やりがいを感じにくいケースもあるでしょう。人事担当者が理解しておきたいのは、仕事のやりがいを感じることだけが正しいわけではないという点です。多様な価値観があることを認めながら、できるだけ多くの従業員がやりがいを感じやすいような職場づくりを意識すると良いでしょう。

2.仕事にやりがいを感じない理由とは?

仕事にやりがいを感じられない従業員は、次のことが原因になっている可能性が高いといえます。ここでは、従業員が仕事にやりがいを感じない場合に考えられる4つの理由について、それぞれ説明します。

1)目標やビジョンが不明瞭である

その従業員自身の将来の目標やビジョンが不明瞭だと、その仕事を続けている理由ややりがいが見いだせなくなり、モチベーション低下の原因となります。
従業員は「この仕事を続けて、3年後までに◯◯のスキルを習得する」「さらなる成長のために必要なスキルや経験を、この仕事で積む」「欲しいものや目標とする生活のために今の仕事で○○円貯金する」などの具体的な目標やビジョンを持って仕事に取り組むことで、そのやりがいも感じられやすくなるでしょう。

2)仕事への評価に不満がある

自身の仕事に対する評価が納得のいくものでない場合、モチベーションの低下につながることがあります。
多くの人にとって、自分が行った仕事によって得られた結果やそれによって周囲から認められることは、その後も仕事を継続して結果を出そうという意欲につながります。
仕事に対する評価は、言葉による感謝や賞賛でメンタル面を満たすだけでなく、結果に見合う昇給や昇進などの待遇で示すことが重要です。この2つを満たすことで、従業員はモチベーションを維持して働き続けられるようになります。

3)仕事がマンネリ化していて、成長しにくい環境である

仕事がマンネリ化していて、自分が成長できる環境が整っていない場合、従業員はやりがいを見いだせなくなる可能性が高いでしょう。多くの人にとっては、さまざまな経験を積んでスキルを磨ける仕事ができることや、自身の成長を実感できることがやりがいにつながるからです。
何年も同じ業務を任されて単調な作業になっていたり、成長できる環境が整っていなかったりする状況では、「この仕事で努力しても意味がない」と考えるようになってしまいます。

3.仕事のやりがいを感じるときとは?

前述の通り、仕事のやりがいは人によって多様だといえます。
ここでは、一般的に多くの人がやりがいを感じやすい4つの瞬間についてそれぞれ解説します。

1)自分が成長できるとき

仕事を通してスキルが身についたり、経験を積んだりすることによって、多くの人はやりがいを感じやすいといえます。その先にさらなる成長も期待できるため、従業員は理想の自分に近づく喜びを感じられるでしょう。なかには、社会性やコミュニケーションスキルが身に付くことに、やりがいや喜びを感じる人もいます。

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2)自分の能力や経験を活かせるとき

仕事で自分の能力や経験を活かせる実感があるときに、やりがいを感じるタイプの人もいます。留学で培った語学力や対人スキル、過去に携わった業務の経験など、人によって活躍の場はさまざまです。自分の力を発揮する場があることに喜びの気持ちがわき、知識や経験をもっと得たいという成長意欲につながるケースもあります。

人は多くの強みを持っています。自らの強みを活かせる場はいくつもあり、そのなかにはやりがいを感じられるチャンスも複数あるといえるでしょう。あるいは、機会を得たものの力を十分に発揮できなかった悔しさをバネにすることも、仕事のやりがいのひとつになり得ます。

3)仕事を認められたときや周りの役に立ったと実感したとき

自分の仕事を他者から認められたときも、やりがいを感じやすい場面です。社内で表彰されたり、上司に褒められたり、同僚から頼りにされたりと、認められたと感じる機会は数多くあります。

4)仕事に見合った報酬を得たとき

成果が反映された報酬を受け取ったとき、多くの人がやりがいを感じます。より高い給与や賞与をもらうための向上心を持ち、報酬によってモチベーションを高められる人もいます。給与とは別に評価を実感できるインセンティブを仕事の目的としているケースもあるでしょう。仕事で得た報酬に誇りを感じることも仕事のやりがいに含まれます。

4.仕事のやりがいを見つける方法

どうしたら各自が仕事のやりがいを見つけやすくなるのでしょうか。最後に、やりがいの見つけ方に関するヒントをお伝えします。

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1)自分は何にやりがいを感じるのかを自己分析する

やりがいを見つけるには、過去の経験を振り返り、将来のありたい姿を描きながら、自分の価値観を分析および確認する方法がおすすめです。エピソードから自分が価値を感じることを模索すると、仕事のやりがいにつながる価値観が見えてきます。

・過去の経験から自分の価値観を知る

人から感謝されたときに喜びを感じた経験がある場合、人の役に立つことや、他者への貢献にやりがいを感じるタイプと言えるかもしれません。

・将来の理想から自分の価値観を分析する

将来的に新規プロジェクトを立ち上げてこれまでにない価値を創りたい場合、新しい挑戦をすることにやりがいを感じるタイプだと考えられるでしょう。「日本の●●を海外に広めたい」といった想いがある場合も、自分の夢を叶えることにやりがいを感じるタイプの可能性があります。

2)自分のやりがいと結びつく目標を設定する

目標を設定して、仕事のやりがいを自分で作り出す方法もあります。人の役に立つことにやりがいを感じるタイプの場合、周囲の人にインタビューして組織の困りごとを見つけ、解決に向けた一歩を踏み出すといった目標が良いかもしれません。仕事での責任範囲を広げることにやりがいを感じるタイプであれば、視座を高めるためにセミナーに参加するといった目標を設定すると良いでしょう。

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3)仕事以外にも目を向ける

人によっては、仕事以外のプライベートに目を向けることで、結果として仕事のやりがいが見つかる場合もあるようです。家族や趣味など、自分にとって大切なもののために仕事を頑張ることに価値を感じられるかもしれません。適切なワークライフバランスによって家族の喜びが生まれたり、趣味から充実感を得たりすることができれば、それらの両立が仕事のやりがいにつながる可能性も考えられます。

4)キャリアの延長線上にいる人を見つける

仕事のやりがいを見出すためには、自分と同じ、もしくは似たキャリアの延長線上にいる、目標となる人物を見つけることも重要です。
尊敬できる人や自分の求めるスキルを持つ人など、最終的に目標としたいポジションにある人を見つけることで、自分の将来をイメージしやすくなり、そこにたどり着くために必要となる、具体的なスキルや経験も考えるようになります。その結果、仕事へのモチベーションの向上も期待できるでしょう。年齢やスキルが上がるにつれて、目標となる人を定期的に見直すことも大切です。

5.多くの従業員が仕事のやりがいを実感できる組織を目指して

仕事におけるやりがいの特徴や、やりがいの見つけ方までご紹介しました。やりがいは人それぞれ異なるため、一人ひとりが自分の価値観を軸に見出していくことが重要です。多くの従業員が仕事にやりがいを感じられている状態であると、一人ひとりがいきいきと働けるため、組織にもメリットがもたらされます。できるだけ多くの従業員がやりがいを実感できる組織を目指し、職場づくりには工夫して取り組み続けましょう。

6.よくある質問

1)仕事におけるやりがいとは?

仕事におけるやりがいとは、その人が仕事に取り組む価値や、仕事から得られる充足感のことです。具体的には、成長意欲や達成感、充実感などの手応え、悔しさをバネにした熱意などが挙げられますが、人によって何がやりがいになるのかはさまざまです。仕事におけるやりがいは、人生を豊かにする上で欠かせない要素のひとつでもあるでしょう。

2)やりがいを感じるときってどんなとき?

仕事を通してスキルを習得したり、経験を積んだりすることで、その先のさらなる成長も期待できるため、多くの人がやりがいを感じやすいといえます。また、自身の能力や経験を活かせる場でやりがいを感じるタイプの人もいます。ほかにも、自分の仕事を認められたときや、周りに貢献したと実感したとき、仕事に見合った報酬を得たときなどにやりがいを感じるケースも多いでしょう。

3)仕事にやりがいを感じないとどうなる?

仕事にやりがいを感じないと、業務に対する向上心や楽しみを見出せず、モチベーションも損なわれます。業務効率の低下や人為的なミスを引き起こす原因にもなるでしょう。また、日々の業務のマンネリ化や成長の機会がないことを理由に、離職を考える従業員も出てきます。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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