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キャリア開発の成功事例とは?キャリアデザインとの違いと企業が取り組むべきポイント

終身雇用や年功序列といった従来型の雇用スタイルが変わりつつある今、従業員が自身のキャリアを自律的に開発すること、また企業がそれを支援することが不可欠になってきました。そのような中、従業員の離職率低下やモチベーションの向上につながる「キャリア開発」支援への関心が高まっていることをご存じでしょうか。
この記事では、キャリア開発に成功した企業の事例やキャリアデザインとの違い、キャリア開発支援に取り組む上で重視されるポイントを解説します。

2021.06.23
コラム

キャリア開発とは?

キャリア開発とは、中長期的な計画に基づいて行われる、働く個人一人ひとりのスキルアップや職務能力の向上に関連した取り組みです。キャリア開発を進める上では、従業員が自らの強みを自覚し、自分らしく生きていくための能力開発を中長期的な視点で計画することがポイントになります。

従業員がキャリア開発に取り組むメリットは、自らが立てたキャリアビジョンに向かって活躍できる場が広がることです。自分の能力を発揮できる場があれば仕事へのやりがいを強く感じられるとともに、漠然とした将来への不安を軽減できます。

一方、企業にとってはキャリア開発への取り組みを通して従業員の能力開発が進むことで、生産性の向上に期待が持てるメリットがあります。また、企業が従業員のキャリア開発支援に力を入れていること自体が最適な人材の確保や定着につながることはもちろん、キャリア開発支援に関する取り組み自体を採用活動時のアピールとしても活用できます。

【関連情報】
『キャリア開発とは。企業にキャリア開発が必要な理由。推進方法、導入ステップや事例を紹介。』
キャリア開発の概要や企業が社員のキャリア開発を推進する方法について紹介しているコラムです。キャリア開発の推進に向けてぜひお役立てください。

キャリアデザインとの違いは?

キャリア開発と混同されがちな言葉に「キャリアデザイン」があります。キャリアデザインとは、仕事だけでなくプライベートも含めどのようなライフスタイルを送りたいか個人が主体となって考え、これからのライフプランやキャリアを設計していくことです。キャリアデザインが注目される背景には、終身雇用や年功序列といった従来の雇用のあり方が崩れてきていること、新しい社会的な変化の中で働く意味や生き方そのものが問い直されていることがあります。

キャリアデザインは自身が望むライフスタイルの実現に向けてライフプランやキャリアプランを設計することを指します。一方、キャリア開発は中長期的な計画に基づいて、個人が能力や役割の開発を行うことを指し、目的や意図をもって主体的にキャリア形成を進めることともいえます。企業ができるキャリア開発支援の一例としては、各年代別にキャリアを考える研修やワークショップを整備する、キャリアカウンセリングを定期的に利用できる環境を整備する、新たに培った経験やスキルを職務に活かせる社内公募制を活用するなどが挙げられます。

キャリア開発の成功事例

キャリア開発支援サービスを導入した企業の成功事例をご紹介します。

日清食品ホールディングス株式会社/組織風土改革を目指すキャリア開発

①50代従業員の挑戦を後押しするためのキャリア開発研修
ねらい:50代従業員のモチベーションを高め、自身が望む「好きな仕事・得意な仕事」に積極的に挑戦してもらうための意識改革

日清食品ホールディングス株式会社のキャリア開発支援では、非管理職のシニア従業員を対象にキャリア開発研修を実施し、広い視野で「好きな仕事・得意な仕事」を発見してもらう取り組みを行いました。従業員の主体性を尊重するために手上げの研修とし、自由な発想をしてもらうために意図的に人事は同席せず、成果物の回収をしないというオープンな受講環境づくりを徹底したことが成功のポイントのひとつです。個人が生き生きと働くきっかけづくりに成功し、本研修で強みを活かせる部署に異動した従業員も複数名おり、同世代や周囲の若手にも良い影響が出ています。

株式会社ジュピターテレコム/横の関係を強化し課題の改善を目指すキャリア開発

②シニア人材の知見を生かしたキャリアアドバイザー制度
ねらい:シニア従業員の職域開発として、社内でのネットワークと経験を最大限に活かせるキャリアアドバイザー制度の立ち上げ

ジュピターテレコムのキャリア開発支援では、シニア世代からキャリアアドバイザーを選定する、キャリアアドバイザー制度の立ち上げを行いました。成功のポイントは、従業員が能力を発揮できる職場づくりとシニア従業員の職域拡大について同時に取り組んだことです。社内でも顔の広い、活躍したシニア社員をアドバイザーとすることで、他の従業員からの相談のしやすさが好評を得ているほか、社内での横の関係の強化にもつなげています。

従業員構成比における、シニア世代のボリュームが大きくなる企業は今後もますます増えていくことが予想されます。そうした中、今回のような取り組みはシニア世代のキャリア開発に効果的と言えるでしょう。

流通小売F社/対面販売からEコマースに事業転換する際のキャリア開発

③事業環境の変化に戸惑い、モチベーションが低下したミドル・シニア従業員への研修
ねらい:「今さら」と考えるミドル・シニア人材に「未来志向」と「自己肯定感」を促す

流通小売F社のキャリア開発支援では、キャリア研修と研修後のキャリアカウンセリングを実施しました。研修では原点からキャリアを振り返ることでミドル・シニア従業員の自己肯定感を高め、自身ができることや取り組みたいことの洗い出しから未来志向につなげました。キャリアカウンセリングでは従業員の不安や悩みを傾聴、その結果から組織の課題を整理し、ミドル・シニア世代の従業員が一歩踏み出せる環境づくりを行いました。

【参考資料】キャリア開発事例集
キャリア開発支援サービスを導入された企業のキャリア開発への取り組みやその成果を公開しています。
資料はこちらからダウンロードしてください。

キャリア開発成功のポイントや注意点とは?

企業がキャリア開発支援に取り組むことで、従業員のモチベーションアップやエンゲージメントの向上、企業全体の生産性を高める効果が期待できます。キャリア開発支援成功のポイントは、従業員が主体となって取り組むことです。企業は従業員の自律的な成長を促し、企業が身につけさせたいスキルではなく、あくまでも個人が欲する学びを支援していくことが大切です。

ただし、キャリア自律の意識は従業員によってさまざまで、キャリアの課題も世代ごとに変わってきます。企業がキャリア開発を進めていく上では、従業員のキャリア自律の現状や課題をしっかりと理解しておく必要があります。そのためには、キャリア相談窓口の設置や定期的なキャリア面談の機会を設定し、従業員が相談しやすい環境を作ることが有効です。

【参考資料】「世代別のキャリア課題と、課題解決の方向性」解説と整理用シート
20代から60代までの世代別のキャリア課題についてまとめた解説、施策を検討する上で役立つ整理用シートを公開しています。
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【参考資料】キャリア自律促進の意義と施策
注目が高まるキャリア自律の促進や施策をまとめた資料を公開しています。
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【参考資料】上司と部下のキャリア面談を成功させるポイント(面談シートサンプル付)
キャリア面談にあたって上司が押さえておきたいポイント、面談で使用する面談シートのサンプルを公開しています。
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まとめ

従来型の雇用スタイルが変化しつつある今、従業員のキャリア開発を支援する取り組みに関心が高まっています。キャリア開発は、自身が望むキャリアを描くことを意味する「キャリアデザイン」よりも具体的な行動を含む言葉です。個人が描くキャリアを実現するため、スキル習得や経験の蓄積を意図的に行うという意味も含まれます。企業が個人のキャリア開発を支援することによって、従業員の長期的なキャリアイメージがより明確になり、それによってモチベーションが高まることや、更なる能力開発への取り組みが進むことで、リテンションだけでなく、企業全体の生産性向上につながっていくと考えられています。企業がキャリア開発支援を行う際には、従業員に対し多面的な情報と機会を提供し続けることがポイントです。

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