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キャリアデザインとは?重要性や企業が支援する際の具体的な方法とは

働く期間の長期化、グローバル化など、社会・経済の環境が大きく変化するなか、重要性が増している個々の従業員の「キャリアデザイン」。
個人は長期的な視点を持ち、自身のキャリアデザインを考える必要があります。そうしたなかで、企業はこれからどのように従業員のキャリア自律を促していけばよいでしょうか?
本記事では、主体的なキャリアデザインを支援することの重要性、その具体的な支援方法を解説します。

2021.06.08
コラム

キャリアデザインとは?

キャリアデザインとは、個人が自分自身の将来のビジョンを持ち、目標に向かって何が必要なのかを理解し、人生におけるキャリアを自らデザインしていくことです。キャリア形成の主体は会社ではなく、あくまで個人です。自らキャリアオーナーシップを持ち自己実現を目指すことで、「キャリア自律」した人材になっていくことができます。

厚生労働省が平成26年度に作成した「キャリア・コンサルティング研究会報告書」では、企業が個人のキャリアデザインを支援する背景に以下の3つの要因を指摘しています。

  1. 企業を取り巻く経営環境・競争環境の変化
  2. 人手不足による高年齢者の継続雇用、ワークライフバランス、女性の活躍を推進する社会的変化
  3. 社内の人員構成上の変化

さらに近年はVUCA時代といわれ、将来を予測することが難しく、人材戦略を経営課題として捉える企業が増えたことで、企業が個人のキャリアデザインを支援する気運が高まっているといえます。

従業員のキャリアデザインが企業にとっても重要な理由とは?

企業が個人主体のキャリアデザインを支援することは、一見、メリットが見出しにくい印象があります。しかし、実際には以下のようにプラスの影響があります。

適性にあった配置が可能に

従業員のキャリアに対する考えを企業が把握することで、それを人材配置の参考情報にできます。従業員から長期的なキャリアビジョンをヒアリングし、そのビジョンが企業の人材育成方針とあう場合、双方にとって適切な部署への人事異動を行うことができ、個人が能力を更に開発・発揮することに繋がるでしょう。

モチベーションの向上

仕事で目指すべき方向性が本人のキャリアビジョンと重なることで、仕事に対するモチベーションの向上が期待できます。多くの従業員が自身のキャリアと、組織への貢献を重ねて考えながら、組織とすり合わせて進めていけるように社内FA制度や社内公募制度を活用すれば、適性を発揮できる人材が増え、組織全体の活性化にもつながります。望まぬ離職防止も期待できます。

エンゲージメントの向上

組織側が個人の長期的なキャリアビジョンを大事にする姿勢を見せることで、従業員の組織に対するエンゲージメントが高まることが期待できます。従業員自身も、自らがキャリアビジョンを描き組織内で共有し貢献につなげる重要性を認識できるでしょう。結果として、最適な人材の定着率向上にも繋がることが期待できます。

企業がキャリアデザインを支援する方法

実際に、自身のキャリアデザインを描けている人材はどのくらいいるのでしょうか?

アデコ株式会社が、2018年に行った『「人生100年時代」のキャリアビジョンに関する意識調査』によると、明確にキャリアビジョンを持っている従業員はわずか27.2%。しかも、75%以上の従業員がキャリア構築になんらかの不安を抱えているという結果が出ています。

アデコ株式会社『「人生100年時代」のキャリアビジョンに関する意識調査』

参照:キャリアデザインの方法とは?企業側から支援する方法について

これまでの日本企業では「配属はすべて会社が決める」「社内のキャリアパスは会社次第」という感覚を持つ従業員が多かったことは否めません。急にキャリアを自ら考えることを求められてもすぐには対応できない従業員もいるでしょう。

従業員がキャリアを組織任せにすることで、将来に向けた不安を抱くことは、モチベーション低下や組織力低下につながるリスクがあります。現在の役割を発揮すること、短期的な仕事の業績向上に貢献することはもちろん重要ですが、あわせて、長期的なキャリアビジョンを持てるように支援することが大切です。

比較的取り組みやすいキャリアデザイン支援には以下があります。

キャリア研修を活用した意識醸成

オンラインまたは対面でのキャリア研修の導入。従業員がキャリアを考えるための方法を知り、自分自身に向き合う時間を確保することができます。

外部のキャリアカウンセリングの活用

上司に相談しづらいことを気軽に相談できる機会を外部に設けます。同じ組織内である人事部や上司には言いにくいことも打ち明けることができ、客観的なアドバイスを受けることで、自身の目指す方向の整理に役立てることができます。

上司とのキャリア面談

定期的に対話をする機会を設け、対話の中で長期的な目線を持てるように支援をすることが目的。上司が自身のキャリア形成を常に考えていることと、部下のキャリア形成の重要性を認識していることがポイントです。

2016年の労働政策研究・研修機構の調査(JILPT)でも、従業員のキャリア自律を促進している企業の取り組みで多いのは「研修・セミナーの提供・金銭的援助」「管理職と部下との面談」となっています。

2016年の労働政策研究・研修機構の調査(JILPT)

参照:企業内の育成・能力開発、キャリア管理に関する調査-JILPT

キャリア自律の推進で注意すべき点とは?

従業員のキャリア自律を促しながらキャリアデザインを支援するだけではなく、その実現に向けて、企業は、個人のキャリアビジョンと企業のビジョンを重ね合わせていけるような関係性を目指して施策を検討するとよいでしょう。

キャリア自律推進や、キャリアデザインの支援に成功している企業のよいところを取り入れたり、専門家のアドバイスを受けたりしながら、まずは自社の人材育成に対する考えを明確にした上で、個人をサポートできる体制づくりを行うことがポイントです。

注意点

  • 従業員が、自らが主体となってキャリアを描くことを自覚することから始まる。
  • 企業が、個人の自律的なキャリア形成の重要性を理解し、自律した個人を活かす取り組みとセットで運用をしなければ、個の力を最大限に活かす人材活用は望めない。
  • 従業員が主体的に一歩を踏み出せるように、意識醸成と、社内FA制度や社内公募制度を連携した運用の仕方を検討する。

まとめ

従業員が「キャリアを自ら切り開く」意識を持って行動する支援を企業が行うことで、個人のモチベーションや組織に対するエンゲージメントが高まれば、企業の生産性向上に繋がる期待が持てます。

キャリアデザインが個人よがりのものや企業都合のものにならないようにするためには、企業が従業員のキャリア自律を促しながらも従業員個々の強みや持ち味を活かし、それを活かす機会や役割を提供していくことが必要です。

一人ひとりが「自分らしいキャリア」を積み重ねられるように、企業は人材に「投資」する意識を持つことが何より大切です。

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