EQの高い人の特徴とは?意味や能力、IQとの違い、高める方法を解説

多様なメンバーの持つ力を活かすことが重視される時代となりました。以前に増して高いコミュニケーション能力が求められることがあるのではないでしょうか。

そこで注目されているキーワードとして「EQ」がございます。
EQは、「心の知能指数」と呼ばれ、仕事の成果に強い関連があることがわかってきております。

本記事では、なぜEQが必要になるのか・高める方法など解説させていただきます。
多様な力を活かして組織の成果を最大化させることに向けて、ヒントとしていただけますと幸いです。

2022.07.26
コラム

EQとは

EQとは、Emotional Intelligence Quotientの頭文字で、「心の知能指数」を測る指標とされています。感情をコントロールして応用できる能力を指し、ビジネスシーンにおける対人関係、対人能力を良好に発展させる基礎能力とされています。

EQは、ニューハンプシャー大学教授のジョン・メイヤー博士と、エール大学のエールカレッジ学長であるピーター・サロベイ博士が、ビジネス成功者が対人関係能力に優れていることに注目し、提唱された理論が基となっています。また、米国の作家のダニエル・ゴールマン氏が1995年に出版した「Emotional Intelligence」で、職業の世界では、IQよりもEQが重視される見方を発表し、日本を含む世界各国で知られるようになりました。

【参考引用】 JILPT

EQが高い人は、自己や他者の感情に敏感であり、それらをコントロールし、様々な場面で、成功を収めることができるとされています。また、EQと仕事での成功には強い関連があることがわかってきており、注目を浴びています。

EQとIQ、AQの違い

よく比較されるのは、EQとIQ(Intelligence Quotient)、AQ (Adversity Quotient)との違いです。一般には、EQは「心の知能指数」、IQは「頭脳の知能指数」ともいわれます。また、AQは「逆境指数」と呼ばれています。その特徴をまとめると以下の表になります。

略称 EQ IQ AQ
概要 心の知能指数 頭脳の知能指数 逆境指数
特徴 自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする力 知能の基準 逆境に遭遇した際の対応力

一昔前は、IQが高い人材がビジネスでも成功すると一般的に考えられてきましたが、実際にはそうではないことがわかってきました。そこで、今、EQが注目されてきたのです。

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EQを構成する4つの能力

EQは、以下の4つの能力により構成されています。これらの能力が発揮されると、感情をコントロールし、うまく利用できるため、周囲との関係性においてさまざまなメリットをもたらすと言われます。

1)感情の識別能力
感情の識別能力とは「気持ちを感じること」です。いわゆる「気持ちを察する力」であり、共感的理解力も含まれるでしょう。相手と自分の気持ちを感じて識別する能力であり、EQを発揮する上で最も重要な能力とされています。この識別ができなければ、相手の気持ちも自分の気持ちも判断しづらいということになります。

2)感情の利用力
感情の利用力とは「気持ちを自ら作りだす能力」のことです。状況・目的に応じて、その場にふさわしい感情を自ら作り出します。例えば、何らかの課題や目標に取り組むときに、自らの「モチベーションを上げること」がそれにあたるでしょう。

3)感情の理解力
感情の理解力とは「気持ちを考える力」です。例えば、相手が怒りの感情をぶつけてくれば、その怒りの感情の背景にある理由を推察します。目の前にある感情の原因を特定し理解することで、その怒りへの対処の方法も明らかになります。

4)感情の調整力
感情の調整力とは「気持ちを活かすこと」です。要は、感情の使い方です。自分の感情を理解(識別・理解)し行動を起こすための気持ちを作り、実際に行動を起こします。また、行動の過程で状況の変化があれば、そこで感情を調整し、最適な方向へ軌道修正できる能力のことです。

EQが高い人の4つの特徴とは

EQが高い人は、自己や他者の感情に敏感であり、それらをコントロールできる人とされていますが、もう少し具体的に言うと、どのような人なのでしょうか。解説していきましょう。

1)自己理解ができている
EQの高い人は、自分の強みと弱みを理解している傾向にあります。自分を客観視することができるので、自分がどのような人間で、何が得意で、どんな価値観で動いているか、しっかり理解して行動しています。

2)自己統制ができている
EQの高い人は、自己統制力があるので、相手との境界線をしっかり明確化できる傾向にあります。自分は自分、他人は他人と状況に応じて、線引きをして対応することが上手です。感情に流されることがないのです。他人の意見や感情に流されることなく、自分自身の価値観、考え方で、ぶれずに対応することができます。

3)対人能力に柔軟性がある
EQの高い人は、対人能力が柔軟で優れていることが多いです。自分自身の感情や、相手の感情を察知する力が高いので、その原因を突き止め、物事に冷静に対処することができます。自分と異なる考え方や価値観の人でも、寛容に接することができるでしょう。

4)バランス感がある
EQの高い人は、全てにおいてバランス感があります。自らの自己理解力、統制力が高いので、どのような場面でも経験に基づき、最適な判断をすることができ、衝動的で極端な思考や行動は起こしにくいのです。人との関係でも、しっかり相手を理解し、効果的で適した対応を取ることができます。それ故に過度なストレスを持ち続けない傾向もあります。

EQはリーダーに必須のスキル

そのEQが今、リーダーシップに必須のスキルとして注目を浴びています。

従来の企業の管理職型のリーダーに求められたのは、チームマネジメント能力でした。例えば、経営全般や労務管理の知識に加え、部下を指示命令でしっかり「管理」していく能力、問題解決力が求められていました。また、どちらかというと、頭の良さ、論理的思考力であるIQの高い人材が求められており、企業はその能力育成に力を入れていました。

しかし、現在は人的資本を活かすことが重要視されています。従来に求められた「管理」していく能力ではなく、一人一人のメンバーのポテンシャルを引き出すリーダーこそが、求められているのです。そのために必要なのがIQだけではなく、まさしくEQなのです。

例えば、社員の主体性やモチベーションをアップさせる施策として1on1(1対1のミーティング)を実施する企業が増えています。こういった機会では、一方的にリーダーが話してしまうのではなく、部下の感情を理解する姿勢を持つことが大事になってきます。また、自分自身を理解・統制し、動機付けしながらも、同時に部下の不安を取り除き、目標に向けてやる気にさせる、鼓舞する能力が必要なのです。

【参考記事】 1on1ミーティングとは?効果を高めるコツと今すぐ使える質問例

EQを高める方法

では、そのEQの能力はどのように向上させればいいのでしょうか?無料でできるおすすめの3つのやり方、方法は以下の通りです。

1)傾聴・共感力を心がける
まずは、傾聴、つまり相手の話を聴く事から始めましょう。相手の話を要約して、伝え返すこと、そして、その話の中から相手がどのような感情だったのか、その発言の意味は何なのか、を常に考えてみましょう。また、相手の表情や声のトーンなどからも相手のおかれた状況を推察し、それに応じた対応をすることも大事です。このようなトレーニングを繰り返すことが、EQを高めるには有効な一つのコツでしょう。

2)受容を心がける
どんなに相手が自分の価値観とかけ離れていたとしても、一旦、それを認め、素直に受容しましょう。相手との違いを認め、すぐに否定しないことが大事です。逆に相手が頑張ってきたことがあれば、それを認めてみましょう。こうした受容的態度を持って接することが、EQを高めるトレーニングになるでしょう。

3)相手との会話の逐語録をつくる
もし、相手との会話の録音が許可されるなら、自分自身の会話を録音し、結果を振り返って聞いてみましょう。共感ができていたか、受容ができていたか、相手を否定していなかったか、自分の感情を客観的に理解し、コントロールで来ていたかなど、しっかり効果を振り返ることが、よい気づきにつながります。

上記で挙げた傾聴、共感、受容的態度というスキルと態度は、アメリカの心理学者であるカール・ロジャーズ氏が提唱する「カウンセリング基本態度」として有名です。

【参考引用】 日本職業協会

上記の取り組みを、企業内で推進していくことも重要な検討ポイントになるのではないでしょうか。

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まとめ

EQとは、感情をコントロールして応用できる能力を指し、ビジネスシーンにおける対人関係、対人能力を良好に発展させる基礎能力とされています。今、多様なメンバーの持つ力を活かすことが重視される時代のリーダーには、高いEQ能力が求められると言えるでしょう。傾聴、共感、受容などの対人コミュニケーションのスキルを日々磨いていくことで、EQ能力を高めることはできます。リーダー育成において、EQ能力向上という観点でも検討するとよいでしょう。

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この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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