リーダーシップスタイルの種類とは?それぞれのタイプや理論を解説

より多くの人材が力を最大発揮するためには、各自がキャリア自律するとともに、各々らしいリーダーシップを発揮する必要があります。マネージャーが一律に管理するような従来のマネジメントスタイルから、組織の在り方が変遷している時代において、個々人がリーダーシップを発揮する支援をすることが、人事に求められていることの一つとも言えるかもしれません。

リーダーとは、組織を統率し機能させる役割です。リーダーシップとは、「目標を達成するための統率力」を意味します。 つまり、役割そのものを指すリーダーと、リーダーシップは全くの別物です。そしてリーダーシップは、コミュニケーション能力の高低などに関わらず、経験と努力により後天的に身につけることが可能だといわれています。

では、リーダーシップの種類にはどのようなものがあるのでしょうか。個人の視点では、自身のリーダーシップスタイルはどのように選択したらいいのでしょうか。そして、組織の観点では、個々がリーダーシップを発揮できる職場をどのように育んでいけばよいのでしょうか。

本記事では、リーダーシップに関するヒントを徹底解説していきます。

2022.11.28
コラム

1.なぜリーダーシップが重要なのか

リーダーシップは、一つに限られたスキルではありません。リーダーシップには、「様々なスタイルがあっていい」「違いが合っても良い」と考えるのが、最近のリーダーシップ論の潮流でもあります。人間だれしも違うように、それぞれの個性を生かした、さまざまなリーダーシップがあるのです。

個人の視点で大切なのは、世間で理想の一つのリーダーシップスタイルだけを信じて、そのようなリーダーになろうと過度に固執しないことです。さまざまなリーダーシップのスタイルを知り、自分に合っていて、自分の強み・持ち味が一番活かせそうなスタイルを発揮できるよう研鑽するのが良いでしょう。また、組織の視点でも同様に、一つのスタイルだけにこだわらないことが大切でしょう。「様々なスタイルのリーダーシップがあってよい」という柔軟な視点で捉えることが、多様性が重要視される今、これまで以上に大切になのです。

様々なリーダーシップをどうマネジメントに活かすのかを考えてみましょう。具体的には、部下の業務成熟度、タイプ、性格に応じても、柔軟にリーダーシップのスタイルを変えていくと効果的です。例えば新入社員に対しては、ある程度成長するまでは指示をする必要があります。その一方で経験豊富な社員であれば、業務を任せ責任を担ってもらいながら、コーチ型で接する方が効果的な場合があるといった具合です。

2.リーダーシップの種類とは

様々なリーダーシップのスタイルがあるといっても、体系的にはどのようなスタイルと特徴があるのでしょうか。ここでは、アメリカの心理学者、ダニエル・ゴールマンが提唱した6種類のリーダーシップスタイルを取り上げてご紹介します。組織の状況に適したリーダーシップを活用することで、メンバーの可能性を最大化させ、組織の生産性も上げていけるでしょう。

1) ビジョン型リーダーシップ
ビジョン型のリーダーとは、強い信念・価値観を持ち、未来のありたいイメージを発信し続けることで部下を鼓舞し、組織を成功に導くことができるリーダーです。比較的高いレベルの役職者であれば、多くの部下のモチベーションをあげるためにも、このようなスタイルが必要となるでしょう。

2) コーチ型リーダーシップ
コーチングを主軸としたスタイルです。相手の考えや意向を尊重し、部下の強みを引き出し、継続的な言葉がけを通してやる気を引き出していきます。部下に適切に業務を一任しながら成長を促します。

3) 関係重視型リーダーシップ
チームメンバーや部下との信頼関係構築、関係性を重視するスタイルです。チーム内の人間関係を良好にすることを通して、「心理的安全」が保たれ、強みやパフォーマンスを発揮しやすい組織を創ります。

4) 民主型リーダーシップ
友好的な関係をつくることを重視するリーダーシップスタイルです。意思決定の場面においても、チームメンバーや部下の意見を尊重した合意形成をしながら仕事を進めていくことができます。

5) 実力型リーダーシップ
いわゆるリーダー自身がプレイヤーとしても有能な場合に多くみられるスタイルです。現場で力を発揮しながらリーダー自身がロールモデルとなり手本を見せながら、周囲を巻き込んでいきます。

6) 強制型リーダーシップ
強制的、専制的に指示命令で人を動かす、上意下達的なスタイルです。軍隊のように、指示が一方通行です。メンバーはタスクを迅速に正確にこなすことが求められます。リーダーの権限・影響力が大きいスタイルと言えるでしょう。

その他、PM理論による4分類も有名です。PM理論とは、日本の心理学者である三隅二不二氏によって提唱された「リーダーが取るべき行動に着目した」行動理論です。ここで、P機能とは、具体的には目標達成機能(Performance)を意味し、M機能とは、集団維持機能(Maintenance)を意味します。よって、以下の4分類となります

PM理論分類 P p
M PM型(目標達成機能も集団維持機能も強い) pM型(目標達成機能は弱く集団維持機能は強い)
M Pm型(目標達成機能は強く集団維持機能は弱い) pm型(目標達成機能も集団維持機能も弱い)

3.今求められるリーダーシップのスタイルとは?

このさまざまなスタイルのなかから、個人は状況の変化に応じて適したスタイルを選ぶことが求められます。適したものを選択する際に、ポイントとなるのは以下の3つでしょう。

1) 事業環境
まずは、事業環境です。事業の立ち上げ期なのか、成熟期なのか。市場の状況や、産業構造によっても、あるべきリーダーのスタイルは変化します。

2) メンバー
メンバーの経験や能力・スキル・性格などにあわせてリーダーシップスタイルを使い分けていくことが重要です。

3) 組織のビジョン
会社や組織のビジョンに沿ったスタイルを取ることが、職場での文化を創ることにも寄与するでしょう。

4.自分に合ったリーダーシップスタイルを選ぶには

様々なリーダーシップスタイルがありますが、先に述べたように、リーダーシップは経験と努力により、後天的に身につけることが可能だといわれています。まずは自分の特徴を知り、どのようなスタイルが合っているのかを考え実践しながら、周囲にフィードバックをもらうことも一つの方法でしょう。

5.個々人のリーダーシップを醸成するには

では、組織の側としては、どのように個々人のリーダーシップを醸成していくのでしょうか?以下の3つが重要になるでしょう。

1) 研修
リーダーとしての心構え、マインドセットなどを行う研修は有効でしょう。ここで大事なのは、画一化された一つのスタイルを教示するのではなく、様々なリーダーシップスタイルを挙げて、自分にあったものを見つけるというアプローチが好ましいでしょう。

2) 実践
研修のなかだけでは、リーダーは育ちません。プロジェクトを牽引するなど、実体験を伴う必要があるでしょう。失敗や成功から試行錯誤し、そのなかから自分なりのスタイルを見つけることが必要です。

3) 内省
例えば1on1などの機会を活用し、自分自身を振り返る定期的な機会が必要でしょう。リーダーとしての振る舞いや成果を振り返り、内省して、自分らしい適切なリーダーシップスタイルを開発していくことが重要です。

1on1の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→1on1ミーティングとは?効果を高めるコツと今すぐ使える質問例

6.まとめ

リーダーシップには、様々なスタイルがあり、個々人の特性や状況にあわせたリーダーシップの発揮が大事だというのが、最近のリーダーシップ理論の潮流です。特に今は外部環境の変化が激しい時代となっています。そうした時代には、メンバーの状況、周囲の市場環境などを敏感に察知し、その都度、最適なスタイルを取れるリーダーが求められているのではないでしょうか。個人も組織もそうしたことを理解し、日ごろの実践を通じて、自分らしいリーダーシップを見つけ、開発することが必要でしょう。
本記事の内容を、皆さまの職場でも活用いただけましたら幸いです。

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この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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