組織診断サーベイとは?メリット・デメリットとその具体的な効果とは。
組織診断サーベイとは何でしょうか?どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?一般に組織診断サーベイは、企業において、組織の健全性を測る指標として、毎年定期的に実施されるものです。特に大きな組織になればなるほど、自社の組織や社員の状況が把握しにくくなることもあるのではないでしょうか。
そこで役立つのが組織診断サーベイです。定期的に組織内の状況を可視化・分析することで、自社の状況を正確に把握することが可能です。自社の組織や人材の課題を多面的に捉え、より的確に手を打つことができるのです。
では、具体的にどのように診断するのか?具体的な効果はどのようなものか?についてご説明していきます。お役立ていただけましたら幸いです。
1.組織診断サーベイとは何か?その種類とは?
組織診断サーベイは、組織の健全性を評価し、改善点を明らかにするための手段の一つです。組織変革・組織改善に向けた施策の一つとも言えます。企業や団体にとって重要な課題である組織課題に対して、リアルなデータをもとに客観的に現状を分析することができます。
その組織診断サーベイには、大きく分けてセンサスとパルスサーベイと呼ばれる二つの種類が存在します。
センサスは年に一回などの頻度で行われる大規模な調査、パルスサーベイは一か月ごとなどの短い間隔で行われる簡単な質問を使用した調査を意味します。
一般的に、会社全体の制度などに関する課題を測るために活用されるのがセンサスで、
従業員個人の状態やエンゲージメントに関する課題を定期的に把握するために活用されるのがパルスサーベイだと言えるでしょう。
これらのサーベイの適切な活用は、組織の改革に向けて有効な手段となるでしょう。
2.組織診断サーベイのメリット・デメリット
1)組織診断サーベイのメリット
組織診断サーベイのメリットは以下3つが挙げられるでしょう。
①客観的で定量的な分析が可能
組織診断サーベイは、従業員の意見を調査することになるため、客観的な分析が可能です。人事や経営者の視点での主観的な意見ではなく、数値という誰が見ても同じ指標である数値は、客観的な判断の材料になるでしょう。
②リアルな問題点の把握が可能
組織診断サーベイを実施することで、従業員の声を聞くことができます。従業員が、組織内に問題点を抱えていることがあっても、普段は声に出して言えないことも多いものです。組織診断サーベイによって、生の声を拾うことで問題を早期に発見、把握することができます。離職防止にもつながるでしょう。
③根拠のある改善策の検討が可能
組織診断サーベイによって問題点が把握できたら、改善策の検討に活かすことができます。組織診断サーベイによって問題点が把握できることで、改善策の優先順位をつけることができるため、限られたリソースを効率的に活用することができるでしょう。
2)組織診断サーベイのデメリット
次に組織診断サーベイのデメリットは以下の3点です。
①費用がかかる
サーベイを自社の内製で行えば無料ですが、調査を外部の専門業者に委託する場合は、相応の費用がかかるという点がデメリットとして挙げられるでしょう。もちろん、外部に委託すると、客観的に同業界での比較や、プロフェッショナルな助言・コンサルティングが得られるという点では有益です。
②回答率の低さと解釈の難しさ
組織サーベイを実施したものの、時には現場の従業員の回答率が低くなる場合があります。回答率が低いと、集めたデータの信頼性が低くなります。また、回答率が低い場合は、従業員全体の意見としては正確に反映されないため、組織全体の改善につながらない可能性があるなど、注意が必要です。
また、組織サーベイで集めたデータについて、解釈が難しい場合があります。回答者の意見に整合性がないなど、意見が相反する場合は、そのデータの解釈が困難になります。また、質問の内容によっては、回答者の意見が読み取りにくい場合もあります。
③回答者の本音が聴けない
組織サーベイでは、回答者が自分の意見を正直に答えることができない場合があります。社員個人が、人事部や上司への情報漏洩を恐れて、回答を拒否する場合や、回答を曖昧にする場合があります。事前に回答に対する安心感を与えることが大事です。頻度や所要時間によっては回答者の負担が大きい場合がありますので、これを全て人事(HR)部門がしっかり実行支援・運用サポートをしていくことが大切です。
3.組織診断サーベイの実施手順
一般的に組織診断サーベイの実施手順・ポイントとはどのようになるのでしょうか?以下
の4ステップがあるでしょう。
1)目的・設問(項目)を明確にする
何のために組織診断サーベイを行うのか、どの層を対象に行うのかを明確にすることが重要です。やみくもに実施するのではなく、自社が向かう方向に有益かどうか、課題を明確にするために見るべきデータは何かなどの検討が、導入前に必要となるでしょう。
2)関係部署・職場に実施を周知する
関係部署に実施を周知し、趣旨を理解してもらう必要があります。このステップがなく社員が納得しないまま実施された場合、回答率や回答の信頼度が下がることがあります。
3)実施案内する
いよいよ実施案内を出して、調査を実施します。社員からの問い合わせにも柔軟に答えら
れる体制にしておくことが大事です。
4)診断結果を分析する
実施後は、診断結果を分析し、現状について経営層にフィードバックする必要があります。見るべき指標を明らかにし、指標の改善に向けた取り組みの成果が数字にも反映されているか、継続的に検証することも必要です。サーベイは1回きりで終わるのではなく、最適な頻度を検討し、定期的に継続できるようにすると良いでしょう。
4.組織診断サーベイの具体的な効果とは
では、組織診断サーベイの具体的な効果とはどういったものでしょうか。以下3点を確認していきましょう。
1)問題の傾向把握、対策の優先度を把握できる
組織診断サーベイを行うことで、従業員の声を収集することができます。これにより、組織内の問題の傾向を把握することができます。具体的には、従業員の不満やストレス、コミュニケーションの不足、業務の負荷などの観点で、問題の傾向を見ることができるでしょう。組織診断サーベイで収集された情報を分析することで、対策の優先度を決定することができます。
問題把握や対策の優先順位づけに向けた具体的な材料が集まることは、組織診断実施の効果と言えるでしょう。
2)組織の生産性が向上する
組織診断サーベイによって見えた組織的な課題を改善することを通して、業務が進めやすくなり、効率を改善することができるでしょう。従業員のモチベーションが向上することで、業務のサービス品質が向上し、組織全体の生産性を高めることができます。
3)従業員のエンゲージメント向上につながる
組織診断サーベイ実施から見えたことや改善に向けた方向性を組織に共有することで、組織の状態改善に向き合う姿勢を社員に見せることができます。組織診断の結果を活用して継続的な改善に取り組む組織について、従業員が好意的に捉えることが見込めるでしょう。それは、組織へのエンゲージメントがあがる一つの要素となり得るかもしれません。
5.まとめ
組織診断サーベイには、メリット・デメリットがありますが、一般にデメリットを上回るメリットを享受できると捉えた多くの企業において、戦略的に導入されています。この機会に、自社の組織の状況・特徴をより見える化し、改善施策に活かしていってはどうでしょうか。
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この記事の編集担当
黄瀬 真理
大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。
国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定
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