良いメンターの5つの特徴|役割や必要なスキル、OJTとの違いを解説

採用した新入社員が定着せず、早期離職してしまう課題を抱える企業が少なくありません。苦労して採用した社員の流出を防ぐためには、どんな仕組みを構築していけば良いのでしょうか。そこで注目したいのが「メンター制度」です。先輩社員による業務上のアドバイスやキャリア発達(形成)のサポートなど、幅広い成長支援をすることで、組織への定着を助けられます。

本記事では、そんなメンター制度において重要な役割を担う「メンター」について解説します。役割や必要なスキル、ほかの教育制度との違いなどを解説します。人事担当者・管理職・経営者の皆様はぜひご一読ください。

2022.06.20
コラム

メンターの役割と必要性

初めに、メンター制度の基礎知識として、メンターの役割や必要性、求められるスキルについてご紹介します。新たな制度の運用前に、基本を確認しておきましょう。

メンターとは?

メンター(Mentor)は日本語で「相談者」「助言者」という意味です。ビジネスシーンにおいては、新入社員に対して助言したり、相談に乗ったりする役割のことを指します。知識や経験が豊富な先輩社員がロールモデルとなって、若手社員を支援するのがメンターの主な目的です。メンターの指導を受ける側の若手社員や新人は「メンティー(Mentee)」と呼ばれます。また、上記のようにメンターがメンティーをサポートして指導するのは「メンタリング」という手法です。

メンター制度には、若手社員のキャリア開発に加えて、社内コミュニケーションを活性化させる効果が期待されています。メンターは仕事上のフォローに限らず、メンティーの精神的なサポートまで担当します。入社直後で不安の多い時期、メンタル面でも支えがあると、新人が組織に定着しやすくなるでしょう。メンターとの関係性が構築されることは、慣れない仕事や環境に対する不安を解消する支えになり、新入社員の離職率の低減につながるのも大きな特徴です。

メンターに求められるスキル

メンターは具体的なスキルを身につける前に、まずはコミュニケーションの基本を押さえておくことが最も大切です。メンティーが安心して相談できるような態度・姿勢・心構えをマスターしましょう。これらのコミュニケーションの基本が、効果的なメンタリングの基盤となります。メンターとメンティーの信頼関係を醸成することが、より良いメンタリングの早道です。

そのうえで、コミュニケーションにおいて身につけておきたいスキルとして、テキストコミュニケーションのスキルや、フィードバックスキルなどが挙げられます。テレワークの普及にともない、対面以外のコミュニケーションの機会が多くなりました。こうした背景から、テキストでやり取りする能力も重視されています。気づきを生むような質問を投げかけ、メンティー自身が答えを見つけられるようにしていきましょう。

メンタリングとOJT、コーチングの違い

メンタリングに似た意味の言葉として「OJT」と「コーチング」が挙げられます。OJT(On the Job Training)とは、実際の仕事を通じて業務内容や知識、技術を身に付けさせる教育方法です。メンタリングと共通する部分もありますが、一般的にOJTには教わる側のメンタルケアという視点は含まれません。

一方のコーチングは、自発的行動を促進するコミュニケーション手法のことです。質問と傾聴を通して、本人から答えを導き出すという特徴があります。前述のメンタリングでは、メンターが人生の先輩やロールモデルとして、メンティーの課題に対してアドバイスや経験のシェアを行うのが特徴です。

このようなことをふまえて、メンタリング・OJT・コーチングのどれを取り入れるかは、状況に応じて使い分けると良いでしょう。

良いメンターに求められる5つの特徴

自社のメンターを選任する際は、どのような従業員に指導を任せるべきでしょうか。メンタリングの効果を高めるために、メンターに適した人材の5つの特徴を解説します。

上下関係ではなく平等な目線で対話ができる

メンターはメンティーの先輩という立場ではあるものの、あくまでも平等な目線で接することが大切です。指導の際に命令・否定・説教をしない、対等なコミュニケーションができる人材を選びましょう。相手と対話をする意識があるメンターは、メンティーとの信頼関係を築きやすくなります。

組織について十分な理解がある

メンターは、新たに組織の一員となるメンティーの、スムーズな定着を手助けします。自社の魅力を知ってもらうには、メンター自身が会社の風土や社風をよく理解していることが重要です。同様に、社内の人間関係を構築している人物であると安心できます。

相手を理解しようとする

メンタリングを成功させるには、常にメンティーを理解しようとする姿勢でいることがポイントです。一方的にアドバイスをする指導方法は適していません。メンターが傾聴を実施するには、まずメンティーから悩みや質問を一通り聞いた後で、自分が何を伝えるべきかを考えることを習慣づけます。

仕事における実績や経験がある

メンターはメンティーのロールモデルとなる存在です。若手社員の成長後の目標であり続けるためにも、仕事における一定の実績やメンターとしてのスタンスが求められます。信頼できる従業員をメンターに採用することは、モチベーションの向上や信頼関係の構築に有効といえるでしょう。

積極的に人を育てようとする意欲がある

メンターはメンティーのキャリア形成に大きな影響を与えます。したがって、担当者としての自覚を持ち、人を育てる意欲がある人材が適任です。企業の将来を担う若手社員を育てる役割の重要性を理解し、強い責任感を持つ人物を選任しましょう。

メンター制度のメリット・デメリット

最後に、メンター制度のメリットとデメリットを解説します。制度を運用する組織の視点のほか、メンター側とメンティー側それぞれの視点から、メリット・デメリットをまとめました。メンター制度を導入する際は、ぜひ参考にしてみてください。

メリット デメリット
組織 ・新入社員の戦力化
・組織の横のつながりの強化
・離職率の低減
・社風や会社の風土の定着
・メンター選びが難しい
・メンターとメンティーの組み合わせが難しい
メンター ・自身の成長に繋がる
・マネジメント能力の向上に繋がる
・負担が大きい場合がある
・ロールモデルとして業務での実績が求められる
メンティー ・悩みを一人で抱え込まなくなる
・相談できる相手がいるという安心感を得やすい
・職場に早く馴染める
・メンターの質にばらつきがある場合がある
・組み合わせによっては信頼関係の構築に時間がかかる

組織のメリット、デメリット

企業が研修にメンター制度を導入すると、新入社員の即戦力化が促され、さらには組織の活性化が期待できます。社内のコミュニケーションが充実し活性化することは、よりよい企業文化の醸成に繋がります。信頼できる人が社内にいる状況は、離職防止にも一役買ってくれることでしょう。一方で、メンターを選任する人事部門の負担や、相性が合う組み合わせをいかにつくるかという難しさがあることには注意が必要です。

メンターのメリット、デメリット

メンターに選ばれた先輩社員は、メンティーの指導を通して様々な意味でのスキルアップが可能です。組織運営に欠かせないマネジメントの視点を身につけられます。有望な人材に成長のチャンスを与えられることはメリットです。ただし、業務との両立において、メンターの負担が大きくなりやすいという難点があります。

メンティーのメリット、デメリット

入社後の慣れない時期に手厚いフォローを受けられるメンター制度は、メンティーに大きな安心感をもたらします。業務上の知識やスキルに限らず、幅広い相談をできる体制が整えられていることで、早期の活躍も期待できるでしょう。一方で、こうした効果はメンターの質や組み合わせによる相性、取り組み方や進め方により差が出やすい点が懸念されます。

メンター制度の強みを生かして効果的な人材育成を!

今回は、メンター制度を支える先輩社員「メンター」について徹底解説しました。メンターが入社後に適切なサポートを提供すると、若手社員が組織に定着しやすくなります。さらには、組織に人材育成やキャリア開発の重要性が根付き、組織活性化の観点でも良い影響がもたらされます。社内に相談しやすい風土が醸成され、組織全体のエンゲージメント向上にもつながるでしょう。メンターの選任は難度が高く、メンター自身への負担も多くなる場合がありますが、適切に運用できれば大きな効果が期待できます。ご紹介したメンター制度のメリットを活かす人材育成の制度を整えましょう。

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