プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門:第1回『年長者とのキャリア面談に臨む心構え』

プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門では、研修講師とともにキャリアカウンセラーとしても活躍しているトレーナーの鈴木徳子が、キャリアカウンセリングの極意をお伝えします。企業における社員の高齢化、再雇用制度の導入・見直しなどを背景に中高年社員のキャリア面談機会が増えています。企業のキャリア相談室などで働いている若手、まだ経験の浅い相談員の方が自信をもって、社会人経験豊富な中高年社員との面談に臨める「心構え」と「ノウハウ」を、計3回シリーズでお届けします。

2014.09.25
コラム

こんにちは、キャリアカウンセラーの鈴木です。

最近、キャリア相談室で働く相談員のみなさんから『中高年向けのキャリア相談』を担当する機会が増えてきたものの、「自分より年長者の相談にのる自信がない」「どういうスタンスで面談を進めたらいいのかわからない」といったご相談を受けることが多くなってきました。

キャリアカウンセラー資格は取ったものの、社会人経験の少ない若手相談員や資格取得から間もない経験の浅い相談員が、実際のキャリアカウンセリングの現場に出ていくのは、なかなか勇気のいるものです。ましてや、自分の先輩にあたる方、上司のような年齢の方々の面談を不安がるのも仕方ありません。

でも大丈夫!

キャリアカウンセリングのプロとしての意識と心構え・準備ができていれば、面談はスムーズに進んでいきます。企業のキャリア相談室などで働かれている相談員のみなさんが自信をもって面談に臨める「心構え」と「ノウハウ」を、これから4回シリーズでお届けしてまいります。

プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門第1回は、『キャリアカウンセリングの心構え』です。

【プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門:第1回】
キャリアカウンセリングの心構え

クライアントが腕を組む(拒絶のポーズ)、足を組む、ふんぞり返る、横を向いて話す、「こいつで大丈夫か?」という値踏みの目で舐めるように見られる...等々。このようなクライアントに対面すると、ちゃんと私に対応できるだろうか?という不安は拭いきれませんよね。

そこで、現場で活躍しているカウンセラー達は「年上のクライアントとの面談では、どんなことに気をつけて面談に臨むのか?」聞いてみました。

カウンセラーの声

  • とにかく「信頼していただく」(この人に相談しよう、と思っていただく)ことを面談の第一目的としています。
  • 面談はこの先も続いていく、1度で全てを解決する必要はない、と思う。だからまずは、相談してもらえる関係性を作ることに注力します。
  • 何か話したいことや聞きたいことがあって来所されている。だからまずはそれをお話しいただく(話す→放つにつながる)ことが大事。それをお手伝いするのが自分の仕事。
  • 最初の面談はひたすら傾聴に徹する。質問されない限り、厳しい提案や指摘は行わない。
  • なるべく地味な服装(暗めの髪色、ネイルは無しかかなり薄め、アクセサリーは控える、色柄ものは極力着ない)を心がけます。見た目で信頼を失いたくないので。
  • 約束を守る。(お願いされたことのレスポンスは早く、確実に返すなど)
  • 職歴書の添削指導や労働マーケットの情報、経済トレンドは常に最新のものをインプットしておく。キャリアの世界では自分がプロフェッショナルであるという自覚と自信、それを裏づける情報やノウハウを持つ努力をする。
  • 仕事だけではない、「ライフ」「人生」「余暇」という視点を常に持ちながら面談を行っています。中高年以降のキャリアは「人生」の中で「仕事」をどう位置付けるのか?「それ以外の時間」をどう生きるのか?という発想もご提案していきたいので。60歳、65歳までの会社のキャリアではなく、80歳90歳までのライフキャリアという意味で。
  • 仕事の先輩・人生の先輩として、これまでの仕事経験をじっくり伺います。
    プロジェクトX並みのすごいご経験やエピソードを伺えることも多く、自分にとっても非常に勉強になります。クライアント、これまでのご経験の棚卸しや、やりがいの再発見に繋がるケースもあり、明るい表情になられることも多いです。仕事に関する専門技術・知識についてわからないことはわからないとはっきりお伝えし、教えていただくスタンスで臨んでいます。

「初めての面談は、徹底的にクライアントのお話を伺う」「傾聴に徹する」という話が沢山出てきました。「話す(はなす)」ことは「放つ(はなつ)」こと。まずは、「この人に相談しよう」という信頼関係が構築され、クライアントが相談内容を話された(放たれた)時点で、その面談は8割がた成功と言えるのではないでしょうか?

カウンセラー達が年長者との面談を通じて感じている「やりがい」や「喜び」

仕事・人生の先輩がクライアントとなる年長者との面談ならではのおもしろ味もあります。カウンセラーからの声をいくつかご紹介します。

  • 年齢差に関わらず、家族の悩みやご自身の深い部分までご自身の本音を話して下さったときは本当に感動します。
  • 人生の目的、生き方、家族との付き合い方、ご自身の進む道が、等々が「見つかった」という喜びに触れられたとき、やってて良かったと思います。
  • 日本の技術の進歩、モノづくりの発展が見えるような貴重な開発秘話や裏話しを伺え、非常に勉強になります。
  • 自分の未来を先に体験されている。自分自身の生き方の参考にしています。

次回、プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門第2回では、ご相談でお目にかかることの多い『4つタイプのクライアント』をご紹介します。

記事を書いた人

トレーナー/鈴木 徳子
働くことって楽しい、考えることって楽しい、そして人生って楽しい、そんな前向きなお気持ちを持っていただけるように研修を進めてまいります。

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