プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門:第3回『クライアントの4つのタイプ/その2』

プロカウンセラーが語るキャリア相談室入門では、研修講師とともにキャリアカウンセラーとしても活躍しているトレーナーの鈴木徳子が、キャリアカウンセリングの極意をお伝えします。企業における社員の高齢化、再雇用制度の導入・見直しなどを背景に中高年社員のキャリア面談機会が増えています。企業のキャリア相談室などで働いている若手、まだ経験の浅い相談員の方が自信をもって、社会人経験豊富な中高年社員との面談に臨める「心構え」と「ノウハウ」を、計3回シリーズでお届けします。

2014.12.12
コラム

こんにちは、キャリアカウンセラーの鈴木です。キャリア面談室入門も第3回となりました。

前回は「クライアント4つのタイプ」
1.人生前向きタイプ
2.受け身でこれまで過ごしてきましたタイプ
3.まさか自分が・・・茫然自失タイプ
4.カウンセラーのお手並み拝見タイプ

の1、2をご紹介しました。今回は残りの2つについて詳しくお話します。

~今は何も考えられません・・・~ 『茫然自失タイプ』

ご自身の決断で人生の岐路に立った方は、そこに至るまでにも様々なことを考え、時に情報収集をしたり、周囲に相談した上でご自身の未来についてぼんやりながらイメージや道筋を描いていらっしゃいます。
一方で予期しないつらい出来事に遭遇した場合、その状況を受け止められず茫然自失の状態になったり、怒りが込み上げてきたりします。

会社の倒産や事業部譲渡・業務縮小・希望退職・希望しない異動や転勤などがこれにあたり、そのような状態の中でご相談にいらっしゃるクライアント様も少なくありません。
(周囲が見かねて相談を進めるケースもあるようです。)

・言葉少なに、うつむいていらっしゃる方。
・ご事情を伺ううちに、涙を流される方。
・会社や上司についての不満を、堰を切ったようにお話しになる方。


その時私たちカウンセラーは、まずクライアントの今のお気持ちを受け止めることのみに集中します。「話して何かすっきりした」「気持ちが少し楽になった」「また相談にのってもらえますか?」そんな言葉が面談の最後に聞けることを願って。
このタイプの方々も(ご本人が希望して下さるのが前提ですが)、次回のアポイントメント をご提案して面談を終了することがあります。

4. カウンセラーのお手並み拝見!タイプ

ご自身のことはあまりお話にならず、「担当しているクライアントは何人なのか?」「得意分野は何?」「あなたは何歳で、カウンセリングは何年目なの?」等、こちらの身上調査のように矢継ぎ早に質問を繰り出してくるクライアントがいらっしゃいます。

椅子にまっすぐ座られなかったり、名刺を座ったまま受け取られたり、腕を組まれたりと「あれ?」なんだか上司に叱られているようなシチュエーション。挙句の果てに、「で、あなたは僕(私)に何してくれるの?」なんて言葉が飛び出す場合もあります。

聞かれた私たちカウンセラーは、「何か相談があってここに来られたのでは?」「私は何を求められているのだろう?」と戸惑い、「もしや、信頼に足るカウンセラーかどうか試されているのかしら・・・」と感じます。

でも、このタイプのクライアント様も相談したい事があって、相談室に来所されているはずです。

「キャリア」のプロフェッショナルとしての自信を持ち、堂々とにこやかにクライアントと向き合いましょう。そして「クライアントのご相談ごとが何なのか?」「何をお話しになりたいのか?」に集中しましょう。

その時何に気をつけるのかは、「話す(はなす)」ことは「放つ(はなつ)」こと、傾聴に徹してクライアントと信頼関係を構築することについて触れた、第1回の記事ををぜひ参考にしてみて下さい。

次回(最終回)は、面談室の中で「やってはいけないことや注意したいこと」を毎日の現場経験の中からお伝えしていきたいと思います。

記事を書いた人

トレーナー/鈴木 徳子
働くことって楽しい、考えることって楽しい、そして人生って楽しい、そんな前向きなお気持ちを持っていただけるように研修を進めてまいります。

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