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オンライン研修の特徴や運用のコツをおさえ、オンラインでキャリア研修を実施するには。

技術革新が進む今日。PC、タブレット、スマートフォン等の性能の向上と、通信回線の高速化などにより、対面で行うものとそん色のないコミュニケーションがオンラインで可能になりました。この流れを受け、対面型で行われていた研修のいくつかは、オンライン研修として実施されるようになりました。そして、研修のオンライン化は、研修会場に物理的に集まらなくても、様々な場所から研修に参加できるといった恩恵を受講者にもたらしています。
このコラムでは、オンライン研修の中でも、従来対面型で行っていた集合研修に近い形で行われる、双方向・リアルタイムコミュニケーション型のオンライン研修の特徴を理解し、うまく運用するためのポイントを押さえます。さらに、オンラインでキャリア研修を行うためのポイントなどをご紹介します。

2020.05.28
コラム

オンライン研修とは

オンライン研修とは、クラウド環境などを活用して設けられた"場"に、PCやタブレット、スマートフォンをインターネット回線につないで参加する研修のこと。録画されたコンテンツを見て行う方法の他、WEB会議システムを使って双方向でリアルタイムにコミュニケーションを行う方法などで行われています。

この双方向・リアルタイムコミュニケーション型のオンライン研修は、技術革新が進むにつれて操作や速度などへのストレスが減り、対面型の環境に近づきつつあります。また、今日では対面型に変わるものとして注目が集まっているようです。そこで、このコラムでは、特に断りのない限り、双方向・リアルタイムコミュニケーション型のことを想定してオンライン研修という言葉を用いていきます。

オンライン研修の特徴

オンライン研修の特徴

オンライン研修の特徴は、実施する内容によって少し異なりますが、研修用の資料などをリアルタイムに画面で共有しながら、講師と受講者あるいは受講者同士が双方向で対話することができるということです。

さらに、利用するWEB会議システムによっては、資料の画面共有のほかに、次のようなコミュニケーションの機能をリアルタイムで活用しながら行えることがオンライン研修の特徴です。

チャット 主にテキストによるコミュニケーションに活用。
講師への質問などをマイクの音声を使わずに行うことができる。
受講者はより気軽に質問ができる。
アンケート 受講者に対して質問を投げかけ、回答をしてもらう。
回答の内容を研修中に確認しながら講師が研修を進行することもできる。
研修後の受講満足度の確認などにも活用可能。
グループルーム 研修参加者をいくつかのグループに分け、グループごとにワークなどを行う際に活用する。
ロープレなどに使う場合は1対1でも利用可能。

オンライン研修は、会議室や研修室で行われる研修と同じようなことを、このような様々な機能を使って実現しているものだといえます。

開催目的に合わせてオンライン研修を運用するコツ

多くの方々が、オンライン研修は「受講者が対面で行う研修のようにするのは難しい」という印象をお持ちかもしれません。確かに、対面型集合研修(以下、集合研修とします。)をそっくりそのままオンラインで行おうとしても、まったく同じにはならないものでしょう。また、そうしようとすること自体、現実的ではないのかもしれません。

カメラ越しに相手の様子をうかがうオンライン研修では、対面状況とは異なり、相手の状況は部分的にしか把握することができませんし、そうなると場の雰囲気や空気といった対面特有の感覚を受講者や講師が得ることは難しいといえます。ですが、場の雰囲気や緊張感といったものを構成している相手の状況がわかりにくいことが、良い意味で空気を読まなくてもいい雰囲気を作りだし、かえって受講者同士のきたんのない会話につながるということもあります。

要するに、オンライン研修をうまく運用するには、まずは、このように「オンラインにはオンラインの良さがあり、対面には対面の良さがある」と理解することが大切なコツです。そして、良さを踏まえて、「オンラインでできないことは対面で対応する」というように使い分け、それぞれの「特徴」や「メリット」を活かした研修プログラムを考えていくことがもう一つのコツとして大切だといえます。

【参考資料】対面研修とオンライン研修の比較イメージとオンライン研修事例集
対面研修とオンライン研修の比較イメージとオンライン研修事例集_1対面研修とオンライン研修の比較イメージとオンライン研修事例集_2
対面研修とオンライン研修の比較や研修設計のためにおさえておきたいポイントをまとめた資料です。オンライン研修の事例も紹介しています。既に実施したオンライン研修にさらなる工夫をしたい方も、これからオンライン研修を導入しようとしている方も、ぜひ参考にしてみてください 。比較イメージ資料はこちらからダウンロードしてください。
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オンライン研修と集合研修の特徴とメリットの比較

それでは、オンライン研修と集合研修の特徴とメリットについて簡単に整理しておきます。

オンライン研修の特徴とメリット

物理的な制約を受けない。オフィスのデスクや会議室、自宅といった遠隔地の個別の環境から受講することができる。システムの機能を使って、アクション、リアクションができるほか、各自録画することができるため、それぞれが動画を見ながら研修の振り返りを行うこともできる。

オフライン研修の特徴とメリット

場の力を活用した「グループダイナミクス」により、対話を通した気づきが促進される。受講者は表情、身振り手振りなどによって情報伝達ができる。講師も、受講者の動きを広く視野に入れながら、場の情報として活用しつつ研修を進行できる。

以上の特徴やできることを見ると、プログラムの構成は次のように見えてきます。まず、事前に準備したものを持って研修に臨み、情報を各自整理しながらほかの受講者と共有しつつ、まとめ上げていくといったことは、"オンライン研修"によっても実現できると考えられます。例えば、プレゼン資料を事前に作成し、オンライン研修ではプレゼン本番のロールプレイングを行うといった方法が考えられます。

対して、場の力や対話による気付きから新しいアイデア想像したり、将来のイメージを明確化したりといったことは、"集合研修"の方が向いているようにも思えてしまいます。

オンラインでキャリア研修を実施するための5つのポイント

キャリア研修では、対話によってキャリア自律を促すことを重視します。先ほど整理した特徴を見てしまうと、キャリア研修に「そもそもオンラインが向いているのか?」と思う方も多いかと思います。ですが、先ほどお伝えしたコツを忘れなければ、オンラインでのキャリア研修の実施は不可能ではありません。

さらに、次のようなポイントを踏まえることで、オンラインによるキャリア研修で受講者の気付きを促せる可能性が高まると考えられます。

そのポイントとは受講者がキャリア研修を成功させるための重要な要素のひとつである「対話に集中できるようにする」ということです。そこで、「集中できる環境づくり」のポイントを整理しておきます。

オンラインでキャリア研修を実施する5つのポイント

1.システム理解促進の準備

システム、PC、タブレットなどを使うため、受講者への研修についての理解促進だけでは不十分です。マイクの使い方、WEBカメラの使い方、画面共有の方法といったように、システムを使うことについても受講者にある程度の事前の理解を促すことが必要になってきます。そのために、マニュアルの作成と事前配布、動画によるレクチャーの作成と事前公開というように、受講者に対して事前に告知しておく準備を怠らないようにします。

2.機材や環境の準備

研修の開始前にテスト環境を用意し、受講者が事前に音声テスト、カメラテスト、通信テストなどができる環境を整えます。またPCやタブレット、スマートフォンのシステムアップデートが当日起きないように、できれば前日、あるいは当日の研修開始前にアップデートチェックを行っておくように受講者に伝えておくと安心です。もしアップデートが見つかった場合、内容によっては更新まで時間がかかる場合がありますので、確認は余裕をもって行うのがよいでしょう。

各自が契約するプロバイダの工事、あるいは住んでいるマンションの回線工事などが入る場合もありますので、問題の無いネットワーク環境で受講ができるか把握をしておくことが必要になります。

3.事前課題の準備

受講者がワークシートを作って当日持ってくる、というだけではなく、どんなことを話すのかの「ストーリー」も準備できるようにシートを工夫するなど、ツールもオンラインの対話に集中できるようにするのが良いでしょう。限られた時間を有効に使うためには、話すことの準備もある程度行っておきたいところです。

4.自己紹介の準備

アイスブレイクがうまく行われ、受講者が互いに安心して話せるように、例えば自己紹介シートを作成して、受講者が自己開示をスムーズにするための準備をしておくと良いでしょう。あるいは、研修開始前10分ぐらいに受講者がログインし、談話できるような状態にしておくなどの方法も考えられます。

5.進行表などの準備

研修の進行表やワークの手順、システムの利用マニュアルなど事前に配布できるものは配布しておき、受講者が可能であれば当日は各自で印刷して見える場所に貼っておくように促しておくと、研修中に「いま何をやっているのか」、「次に何をやるのか」、「画面はどう操作するか」といったことが常に確認できるようになります。画面を切り替えて都度これらを確認していれば、研修に集中できなくなる可能性もありますので、このような機材操作の手間を極力軽減する工夫すると良いでしょう。

以上のポイントを簡単にまとめると、オンラインでキャリア研修をするための環境づくりには、当日の研修の進行を、「シンプルかつ円滑に」することに尽きるといえます。そのために、オフラインのときよりも丁寧な準備が必要だといえるでしょう。

また、長い間画面に集中して受けるオンライン研修は疲れを感じやすかったり、集中力が途切れてしまったりします。そのため適度な休憩や軽く体を動かす時間などを入れておくのも良いでしょう。あるいは一方的に講師の話を聞くだけでは、受講者が飽きてしまい、モチベーションが下がってしまうことにもつながりかねませんので、グループワークやアンケート機能などを使いながらインタラクティブに研修が進むように設計するとなお良いといえます。

【参考資料】オンライン研修実施のためのチェックシート
オンライン研修実施のためのチェックシート
オンラインでのキャリア研修の実施に向けて丁寧な準備をするために、事前に確認しておきたいことを簡単なチェックシートにまとめました。ぜひ参考にしてください。チェックシートはこちらからダウンロードしてください。

オンラインとオフラインを活用したハイブリッドなプログラム作り

オンラインでキャリア研修を実現するためには、研修の狙いにあわせて、プログラムを構成し、各セッションの特徴、ゴールに合わせてワークシートやツールを工夫するだけではなく、システムや機材の使い方への配慮も必要になることをこれまでお伝えしてきました。

さらにいえば、プログラムを構成する際には、「オンラインでできない部分をいかにオフラインでやるか」という視点ではなく、より高い研修効果、教育効果を生むために、何がオンラインででき、何がオフラインでできるのかを考え、それぞれの特徴を生かして、足し算ではなく掛け算の発想でプログラムを考えていくとよいかもしれません。

忘れてはならない講師、事務局などのチーム力

さて、これまでご紹介したことのほかにも、キャリア研修に限らず、オンライン研修をうまく行うために考慮したいことがありますので、最後に簡単に紹介しておきます。

オンライン研修の場合、受講者のキャリアの背景の違いだけではなく、受講者の通信環境が整わない、機材の状況が異なるといった技術的な違いも生まれます。あるいは、システムやPCなどに対するリテラシーの違いもあります。そして、このような違いがオンライン研修の円滑な運用に影響することもありえます。

影響を最小限に抑えるためには、講師と事務局との連携は不可欠です。また講師が研修に集中できるように、システムの操作といった進行補助をする役割の人を当日の事務局のメンバーに加えるなど、関係者がチーム力で研修を成功させていくことが大切だといえるでしょう。

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技術の進歩が目まぐるしい今日では、例えばVRなどを活用して、対面に近い環境を疑似的に作ることもできてきているようです。そのため、場の力や対話を重視する研修もオフラインと同じようにオンラインで実現できる日も遠くはないかもしれません。ですが、そのようなことを待たずとも、オフラインで何をやり、オンラインで何をやるのかを踏まえて、プログラム全体を構成すれば、キャリア研修をオンラインで実施するということは十分に考えられるのではないでしょうか。

今日、働き方が多様化した一方、様々な制約の中でも仕事ができるようになりました。2019年ごろからは都心を中心にテレワークを導入する企業が増加し、2020年にはCOVID-19の影響もあり、ますます私たちはオフィスを離れ、それぞれの場所で仕事をする機会が増えてきました。その中には、経済活動が停滞し、働く人の中にはキャリアの見通しが立たず、不安を感じている人も少なくはないと聞きます。

技術革新による完全オンライン研修の完成を待つより、変化が激しく、先行きが見通しにくい今だからこそ、気付きや内省を大切にするキャリア研修を止めないための工夫を続けていくことも重要なのではないでしょうか。

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