キャリアプラトーとは?種類や発生する原因、対策方法などを解説

景気変動が激しく、不確実な現代において、自分の将来に不安を感じたり、今後のキャリアの見通しがつかなくなってしまったりする方も少なくありません。もやもやした気持ちを抱え続けると、キャリアプラトーという停滞状態に陥ってしまうことがあります。

2023.09.25
コラム

1.キャリアプラトーとは、組織で働く人に訪れる停滞状態のこと

キャリアプラトーとは、組織で働く人に訪れる停滞状態のことです。「プラトー(plateau)」は、「高原、台地」という意味をもつ言葉です。そこから転じてビジネスにおいては、ある程度のキャリアの山を登ってきた従業員が、それ以上のステップアップを期待できなくなる、もしくはそのように自分で感じてしまう状態をキャリアプラトーと呼ぶようになりました。

こうしたキャリアプラトー状態は、中堅から上のミドル層に多く見られます。キャリアプラトーに陥る原因としては、自分自身の仕事内容に行き詰まりを感じてしまう、あるいは課長や部長としての実績はあるものの、これ以上の昇進・昇格が望めない、などが挙げられます。
いずれにせよ、当人にとっては成長目標を見失い、停滞した状態にあることで、仕事に対するモチベーションの低下を引き起こしてしまうのです。

2.キャリアプラトーの種類とその内容

キャリアプラトーの種類には、大きく分けて「仕事内容に関わるもの」と「昇格・昇進に関わるもの」の2つがあります。
ここでは、それぞれのキャリアプラトーについて詳しく説明します。

1)仕事内容に対するキャリアプラトー

仕事内容に対するキャリアプラトーは、職場でのモチベーション低下や成長実感のなさにつながります。入社数年の新人や若い年代は、仕事においてわからないことが多いものですが、日々新しい経験を得て、知識を取得する中で、成長を実感しやすいものです。時に上司に叱られ、失敗をしながらも、同時にみずからの成長を感じ、小さな仕事でも成果を上げたり、達成したりすることで、自分の能力の伸長を感じられます。つまり、刺激がある状態だといえます。
一方、40代に入ってミドル層になると、人によっては成長を実感する機会が少なくなる場合があります。たとえば、長年同じ役割を担っていたり、同じメンバーで業務を行っていたりするとマンネリ化し、ついには成長実感が湧かなくなる傾向が見られます。さらにこれらが要因となり、新しい挑戦や学びの意欲が湧かなくなる連鎖が生まれかねません。
ある程度経験してきたことには対処できるものの、それ以上のこと(目標)は達成できそうにないと感じ、挑戦する気力が湧かない状態になってしまうのです。

2)昇格・昇進のキャリアプラトー

停滞の原因がモチベーションや成長実感など、本人の主観的なものではなく、昇格できない・昇進していないなどの客観的な状況が影響するのが、昇格・昇進のキャリアプラトーです。
社内のポストには数に限りがありますし、すべての従業員が何かしらの役職に就けるわけではありません。
また長年勤めていれば、自社内における位置づけだけではなく、今後どこまで昇進できそうかなどもある程度わかってくるでしょう。「これ以上自分は昇進できない」「キャリアの頭打ちだ」と感じることでモチベーションが低下し、新たな仕事への挑戦やスキル開発に励むことができなくなってしまうのです。

3.キャリアプラトーの対策とは?

キャリアプラトーへの予防策や対策を考える上で主体となるのは、企業と従業員の両方です。企業側からのアプローチによる支援だけが解決の手段ではなく、本人が自分自身と向き合ってこそ、プラトー状態を脱出できるのです。
ここでは、キャリアプラトーを予防するために企業が行うべき3つの対策について、それぞれ詳しく解説します。

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1)評価や期待を理由とともに伝える

キャリアプラトーを予防するためには、従業員に評価や期待を理由とともに伝えることも重要です。
特にミドル層以降の従業員は、周囲からのフィードバックが少なくなりがちです。そのため、普段の従業員とのコミュニケーションや面談などのなかで、企業側がきちんと評価の理由や一人ひとりに期待することまでを伝えているかという点は、若手だけではなく、すべての従業員にとって重要です。

2)前向きに取り組めないボトルネックを明確にする

前向きに取り組めない状態に陥ったときに、ボトルネックが何かを早期に明確化することも、キャリアプラトーの予防には必要です。キャリアプラトーを抱くとき、それぞれ固有の事情によって、前向きに仕事に取り組めない状況があります。キャリアの停滞を招く主な要因として、仕事内容と昇格・昇進のなさの2つを先述しましたが、より詳細にボトルネックを明確にすることが、その先の解決につながります。

たとえば、面談などの際の「ここ数年、新しいことに何もチャレンジしていない」「今の職場では、自身の成長を感じていない」「自分よりも後に入社した社員が昇進している」といった旨の発言や態度は、キャリアプラトーの兆候です。ボトルネックが何かを明確にし、その解消に取り組みましょう。
その際には一度立ち止まって、これまでの経験から強みや自分ならではの持ち味を言語化し、自己効力感を持った上で、今後の活躍や成長したい方向性について考える機会を設けるとよいでしょう。今後の方向性について本人が考えることができたときには、上長とすり合わせを行うことも大切です。

3)同じ仕事内容でも変化をつける

仕事内容に対するキャリアプラトーに対しては、組織・チーム内での役割を変更したり、担当する顧客を変えたりするなどの変化をつけることも有効です。
仕事がルーティン化するとキャリアプラトーに陥りやすくなるため、人事異動などを含めた組織内の活性化を図ったり、思い切って後輩指導を任せたりするなどして、同じ仕事であっても新しい刺激を感じられるような環境を提示するのも手段のひとつです。

4.キャリアプラトーに陥った際には、従業員に合った対策を行うことが大切

今回は、誰にでも起こりうる停滞状態「キャリアプラトー」について、その種類や原因、対策方法を解説しました。キャリアプラトーに陥る原因としては、自分自身の仕事内容に行き詰まりを感じる、あるいはこれ以上の昇進・昇格が望めない、などが挙げられます。これらのキャリアプラトーに陥らないよう、またはキャリアプラトーの状態が長期化しないよう、企業側は個々へのフィードバックを怠らない、ボトルネックを明確にできるような支援をする、役割が固定化しないような環境づくりをするなどの対策をとりましょう。

株式会社ライフワークスでは、従業員のキャリア開発を検討・実施する方に向け、さまざまなソリューションをご提供しています。一人ひとりがキャリアを考えることは、スキルや知識・経験を身に付けて年代に関わらず成長することとも強く結び付いています。年代によって抱えるキャリア課題の傾向は異なり、そこを整理すると支援方法を見出しやすくなります。各社のキャリア支援の状況にあわせてアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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