若手の「もったいない離職」をどう防ぐか――マネープランで中長期のキャリア視点をつくる

2026.08.26
コラム

ライフワークス 執行役員の佐々木です。

若手社員のキャリアについて、人事の方からよく聞く悩みの一つに、

「今の会社で十分な経験を積む前に、転職を考えてしまう」

というものがあります。

もちろん、転職そのものが悪いわけではありません。

自分自身で考え、より良い環境を選択することもキャリア自律の一つです。

一方で、

「もっと成長できる会社に行きたい」

「このままここにいて大丈夫なのだろうか」

といった漠然とした不安だけで、現在の環境を十分に理解しないまま判断してしまうケースもあります。

私たちはこれを、ある意味で**「もったいない離職」**と捉えています。

■若手は「キャリアを考えていない」のではない

若手社員は、決してキャリアに無関心なのではありません。

むしろキャリアへの関心は高い。

ただし、経験がまだ少ないこともあり、

「今どんなスキルが身につくか」

「数年後に市場価値が上がるか」

「もっと成長できる場所があるのではないか」

と、視点が比較的短期的になりやすい面があります。

すると、

「この会社では成長できない」

と早い段階で判断したり、

社内公募や異動、上司への相談など、今いる会社の中にある選択肢を十分活用しないまま、社外だけに可能性を求めたりすることがあります。

ここで必要なのは、単純に「辞めないでほしい」と引き留めることではありません。

■将来不安を具体化すると、選択肢が増える

若手社員にマネープランを考えてもらう意味の一つは、キャリアの時間軸を長くすることにあります。

これからどのような生活を送りたいのか。

結婚、住宅、子育てなど、将来どんな選択肢があり得るのか。

その時にどのような働き方や収入が必要になるのか。

20代、30代、40代と人生を少し長い時間軸で見てみると、

「今すぐ環境を変えるべきか」

という問いだけではなく、

「5年後、10年後に向けて、今何を身につけるべきなのか」

という問いが生まれてきます。

すると現在の会社についても、

どんな経験を積めるのか。

どんな異動機会があるのか。

どのような教育制度や福利厚生があるのか。

上司や会社に相談できることはないか。

と、見え方が変わってきます。

■リテンションは「引き留めること」ではない

企業側が若手の離職を恐れるあまり、

「うちの会社にも良いところがある」

「もう少し頑張ってみよう」

と説得しても、本人のキャリア自律にはつながりません。

重要なのは、

正しく知ったうえで、本人が主体的に選択できる状態をつくること

だと私たちは考えています。

社外に出る選択肢もある。

一方で、今いる会社の中にも成長機会がある。

その両方を理解したうえで、

「今の自分にとって何を選ぶのがよいか」

を考える。

それこそがキャリア自律です。

■マネープランは「辞めさせない施策」ではない

マネープランをキャリア支援に取り入れる目的は、若手社員を会社に縛りつけることではありません。

将来に対する漠然とした不安を少し具体化し、

その中で必要なキャリア形成について、中長期で考えるきっかけをつくることです。

すると、

「なんとなく不安だから環境を変える」

という判断から、

「自分はこうなりたい。そのために今はこの経験を積む」

という判断へ変わっていく可能性があります。

若手社員のリテンションを考えるとき、

「どう引き留めるか」

だけではなく、

「本人が自分の人生とキャリアを、十分な情報と時間軸をもって選択できているか」

という視点も持ってみてはいかがでしょうか。

ライフワークスでは、キャリアコンサルタント資格とファイナンシャルプランナー資格を併せ持つ講師陣が、お客様の社員のキャリア自律を促進する研修に登壇しています。貴社の状況や課題について、私たちと一緒に整理してみませんか?

著者:佐々木 淳

佐々木淳大学卒業後、一貫して人材業界で20年。主にIT業界やコンシューマサービス業界大手企業の採用コンサルティングを10年あまり手掛ける。その後、ライフワークスに入社。年代別のキャリア支援や、上司向け部下のキャリア開発支援などといったソフト面の施策企画提案に幅広く携わる。大手を中心に幅広い業界のクライアントに対するコンサルティング実績を持つ。
現在は、年間約200社のキャリア課題解決に向けた施策立案の責任者として従事。

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