中堅社員はなぜ「現状維持」になりやすいのか――生活設計と役割拡大をつなぐキャリア支援

2026.08.27
コラム

ライフワークス 執行役員の佐々木です。

30代から40代前半の中堅社員は、多くの企業で組織の中核を担う存在です。

経験も増え、仕事も任せられるようになり、今後は管理職や高度専門職など、さらに役割を広げてほしい。

人事や上司からすると、そんな期待を持つ層でもあります。

ところが本人を見ると、

「今のままでいい」

「これ以上責任を増やしたくない」

「管理職にはあまり興味がない」

という反応が返ってくる。

その結果、

「最近の社員は上昇志向が弱い」

と捉えられることもあります。

しかし、本当に意欲の問題なのでしょうか。

■中堅社員には「キャリアを考える余白」がない

中堅期は、仕事でもプライベートでも負荷が高まりやすい時期です。

仕事では、担当業務だけでなく、後輩育成やプロジェクトの中核を担うようになる。

生活面では、結婚、住宅、子育て、教育費、場合によっては親の介護など、さまざまなライフイベントが重なります。

日々目の前のことに対応しているだけで精いっぱいになる。

そんな状態で、

「5年後、10年後のキャリアを考えてください」

と言われても、なかなか思考が向きません。

つまり、現状維持に見える背景には、

「挑戦したくない」のではなく、「中長期で考える余白を失っている」

という可能性があります。

■生活を見通すことが、キャリアを考えるきっかけになる

そこで一つの入口になるのが、生活設計です。

今後どんなライフイベントがあるのか。

いつ、どの程度の支出が想定されるのか。

どんな生活を実現したいのか。

それを具体的に見える化すると、

「自分はこれからどのように働きたいのか」

という問いが生まれてきます。

そして、

「今後も現在と同じ役割のままでよいのか」

「どんな専門性を高める必要があるのか」

「管理職という選択肢をどう考えるのか」

「将来の働き方を広げるために、今何を経験しておくべきか」

といったキャリアの問いにつながっていきます。

生活設計からキャリアを考えることで、会社から、

「もっと成長してください」

と言われるのではなく、

「自分の将来のために、今後の成長を考える」

という状態をつくりやすくなります。

■役割拡大を「会社のため」だけの話にしない

中堅社員に役割拡大を求める際、

「次はリーダーを目指してほしい」

「管理職になってほしい」

と、会社側の期待だけを伝えてしまうことがあります。

もちろん、組織からの期待を伝えることは重要です。

しかし本人からすれば、

「忙しくなるだけではないか」

「責任だけ増えるのではないか」

と感じるかもしれません。

そこで必要なのが、

本人自身の人生・キャリアと、組織からの期待を接続することです。

今後どんな生活を送りたいのか。

どんな働き方を続けたいのか。

どんな専門性や役割を持っていたいのか。

その実現のために、

「今どんな経験を積む必要があるのか」

を一緒に考える。

役割拡大や専門性向上を、会社から押しつけられた課題ではなく、自分自身の将来に必要なテーマとして捉えられるようになります。

■中堅社員の停滞を「意欲不足」で片づけない

中堅社員に対して、

「もっと挑戦してほしい」

と感じる企業は多いと思います。

しかし、挑戦を促す前に考えてみたいことがあります。

本人は、自分の今後の人生を見通せているでしょうか。

現在の仕事と将来の生活が、本人の中でつながっているでしょうか。

そして、今後の役割拡大や成長が、

「会社に求められているから」ではなく、「自分自身の将来にも必要だから」

と意味づけられているでしょうか。

中堅社員のキャリア支援では、キャリアだけを切り取って考えるのではなく、生活設計という視点を加える。

それによって、現状維持から次の一歩を考えるきっかけをつくることができるのではないでしょうか。

ライフワークスでは、キャリアコンサルタント資格とファイナンシャルプランナー資格を併せ持つ講師陣が、お客様の社員のキャリア自律を促進する研修に登壇しています。貴社の状況や課題について、私たちと一緒に整理してみませんか?

著者:佐々木 淳

佐々木淳大学卒業後、一貫して人材業界で20年。主にIT業界やコンシューマサービス業界大手企業の採用コンサルティングを10年あまり手掛ける。その後、ライフワークスに入社。年代別のキャリア支援や、上司向け部下のキャリア開発支援などといったソフト面の施策企画提案に幅広く携わる。大手を中心に幅広い業界のクライアントに対するコンサルティング実績を持つ。
現在は、年間約200社のキャリア課題解決に向けた施策立案の責任者として従事。

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