女性管理職を「目指させる」のではなく、自分らしいリーダーシップを育てる

2026.09.10
コラム

ライフワークス 執行役員の佐々木です。

女性管理職比率の向上を目指す企業では、

「もっと管理職に挑戦してほしい」

「管理職になることを前向きに考えてほしい」

と、女性社員本人へ働きかけることがあります。

もちろん、管理職というキャリアの選択肢を知ってもらうことは大切です。

一方で、「管理職を目指してください」と言われても、本人にとって現在の管理職像が自分とかけ離れたものであれば、なかなか自分ごとにはなりません。

「自分はリーダータイプではない」

「今の管理職のようには働けない」

「自分には人を引っ張っていく力がない」

そう感じる人もいるでしょう。

では、本当に必要なのは、女性社員に「管理職を目指させる」ことなのでしょうか。

私たちは、その前に、

一人ひとりが自分らしいリーダーシップを育てていくこと

が重要ではないかと考えています。

■「管理職」という言葉から考えると、キャリアの選択肢が遠くなる

管理職という言葉を聞いたとき、どんな人物をイメージするでしょうか。

強い意思を持って人を引っ張る。

明確な指示を出す。

難しい意思決定をする。

高い成果を求め、チームを率いる。

こうした姿も、もちろんリーダーシップの一つです。

しかし、それだけがリーダーの姿ではありません。

メンバー一人ひとりの話を聞き、力を引き出す人もいます。

周囲との信頼関係をつくり、チームをまとめる人もいます。

将来の方向性を示し、人を巻き込む人もいます。

自ら高い水準の仕事を示すことで、周囲を動かす人もいます。

リーダーシップには、さまざまなスタイルがあります。

以前開催したセミナーでも、ビジョン型、コーチ型、関係重視型、民主型、率先垂範型、指示命令型など、多様なリーダーシップのあり方を紹介しています。

大切なのは、

「管理職になるために、自分を理想の管理職像へ合わせる」ことではありません。

まずは、自分がどのような形なら周囲に良い影響を与えられるのかを考えることです。

■「自分らしいリーダーシップ」とは何か

私たちは、自分らしいリーダーシップを考える際に、

自分自身の強み・持ち味

大切にしている価値観・動機

組織や上司からの期待

そして、自分が置かれている周囲の状況

を重ね合わせて考えることが大切だと考えています。

例えば、

人の話を丁寧に聞き、相手の成長を支援することが得意な人。

複雑な状況を整理し、みんなが進む方向を明確にすることが得意な人。

周囲との関係をつなぎ、協力を引き出すことが得意な人。

専門性を生かし、高い品質の仕事を示すことで周囲を引っ張る人。

いずれも、その人なりのリーダーシップです。

ここでいう「自分らしい」とは、決して「女性らしいリーダーシップ」という意味ではありません。

女性だから共感型、男性だから指示型、といった固定的な見方をすることではなく、性別にかかわらず、一人ひとりの強みや価値観からリーダーシップを考えるということです。

■リーダーシップは、管理職になってから発揮するものではない

もう一つ大切なのは、

リーダーシップは、管理職になった瞬間に突然身につくものではない

ということです。

プロジェクトで周囲を巻き込む。

後輩の相談に乗る。

チーム内の問題を整理して提案する。

会議で自分の考えを発信する。

新しい仕事に挑戦する。

こうした日々の仕事の中にも、リーダーシップを発揮する場面は数多くあります。

そして、小さな挑戦を経験する。

やってみる。

周囲からフィードバックを受ける。

「自分のこの強みが役に立った」と気づく。

また少し大きな役割に挑戦する。

この積み重ねによって、自分なりのリーダーシップが形づくられていきます。

小さな挑戦の積み重ねから自分らしいリーダーシップが育ち、その強みを組織や周囲のために生かそうとした先に、管理職への挑戦も自然な選択肢の一つになっていくという考え方だと思うのです。

■「管理職になれるか」より先に、「自分にもできる」を育てる

これまでのコラムでも触れてきたように、仕事を通じた経験は、本人の自己効力感にも影響します。

最初から、

「管理職になりたいですか?」

と問われれば、

「自分にはまだ無理です」

と感じる人もいるでしょう。

しかし、

小さなチームをまとめることができた。

難しい案件をやり切ることができた。

後輩の成長を支援できた。

自分の提案で周囲を動かすことができた。

そうした経験を積み重ねることで、

「私にもできる」

という感覚が少しずつ育っていきます。

そして、その先で初めて、

「もう少し大きな役割を担ってみたい」

「自分の強みを、もっと組織のために生かしたい」

「管理職という役割も、自分なりのやり方ならできるかもしれない」

と思えることがあります。

管理職への意欲を先につくるのではなく、経験と自己効力感が育った結果として、管理職もキャリアの選択肢になる。

この順番が重要なのではないでしょうか。

■もちろん、管理職を選ばないという選択もある

そしてもう一つ、大切にしたいことがあります。

自分らしいリーダーシップを育てた結果として、必ず管理職を選ばなければならないわけではありません。

専門性を高める。

プロジェクトを率いる。

後輩を育てる。

社内外の人をつなぐ。

新しい価値を生み出す。

組織への貢献の仕方は、管理職だけではありません。

本人が自分の強みや価値観を理解し、仕事経験を積んだうえで、

「私はこの形で組織に貢献したい」

と選択できること。

それ自体が、キャリア自律の一つの姿です。

だからこそ、女性活躍推進において大切なのは、女性社員全員を同じゴールへ導くことではないと考えています。

■女性活躍推進のゴールを、「管理職を増やす」だけにしない

もちろん、女性管理職比率の向上は重要です。

意思決定の場に多様な人材が参加することは、企業にとっても重要なテーマです。

しかし、そのために、

「女性にもっと管理職を目指してもらおう」

という働きかけだけを強めても、持続的な変化にはつながりにくいでしょう。

必要なのは、

本人が自分の強みや価値観を理解する。

成長につながる仕事経験を積む。

上司が挑戦の機会を提供し、支援する。

その経験を振り返り、「自分にもできる」という自己効力感を育てる。

そして、自分らしいリーダーシップを発揮する場を広げていく。

本人・上司・人事それぞれの施策を、この一連のキャリア形成プロセスとしてつないでいくことです。仕事経験と自己効力感を蓄積しながら、本人・上司・人事の施策をつなぐことを女性活躍推進の方向性として考えたいと思います。

女性管理職比率向上の本質は、女性に管理職を「目指させる」ことではありません。

一人ひとりが自分らしいリーダーシップを発揮し、「私にもできる」と思える経験を積み重ねられる環境をつくること。

その結果として、管理職への挑戦も自然なキャリアの選択肢の一つになっていく。

そんな女性活躍推進を目指していくことが、これからは求められているのではないでしょうか。

ライフワークスでは、女性社員の活躍やキャリア形成、女性管理職候補の育成について、多くの企業をご支援しています。貴社の女性活躍推進における課題や、今後の取り組みについて、私たちと一緒に整理してみませんか?

著者:佐々木 淳

佐々木淳大学卒業後、一貫して人材業界で20年。主にIT業界やコンシューマサービス業界大手企業の採用コンサルティングを10年あまり手掛ける。その後、ライフワークスに入社。年代別のキャリア支援や、上司向け部下のキャリア開発支援などといったソフト面の施策企画提案に幅広く携わる。大手を中心に幅広い業界のクライアントに対するコンサルティング実績を持つ。
現在は、年間約200社のキャリア課題解決に向けた施策立案の責任者として従事。

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