再雇用制度の基礎知識、企業の課題や再雇用に向けてできることを解説!

過去には、企業の定年年齢は一般的に60歳以上とされてきました。しかし、近年では高年齢者雇用安定法の改正を受けて、70歳までの定年の引上げや、継続雇用制度の導入などに取り組む企業が多く、シニア人材の活用が進んでいます。今後は人手不足などの課題を受けて、シニア人材が活躍できる環境を整備していく必要があるでしょう。本記事では、そんな状況下での選択肢を検討する際にも押さえておきたい「再雇用制度」について解説します。制度の基礎知識をはじめ、企業で起こりがちな課題、人事部門での取り組み方法までお伝えします。ぜひご活用ください。

2023.02.20
コラム

1.再雇用制度の基礎知識

企業は、働く意思がある従業員を、定年退職後に再雇用することが可能です。初めに、再雇用制度の特徴や制度導入のメリット、勤務延長制度との違い、高年齢者雇用安定法の改正点について解説します。

1)再雇用制度とは

再雇用制度とは、定年退職した従業員を企業が再度雇用する制度のことです。再雇用するかどうかは、定年を迎える従業員との意思確認を経て決まります。従業員を再雇用する場合は、一度退職手続きをした後に、新たに雇用契約を交わすことになります。その際は、雇用形態や労働条件が変わるのが一般的です。再雇用制度は、高年齢者雇用安定法で定められている高齢者雇用確保措置の一つとなっています。

2)企業目線での再雇用制度のメリット

企業が再雇用制度を活用すると、既存の従業員を引き続き雇用しながら、ベテランの専門知識や業務能力を活かすことが可能です。また、身に付けたスキルや経験を持っている従業員が引き続き社内に残ることにより、ベテランの知識や能力を、次世代を担う従業員に継承する時間に余裕ができることもメリットです。

3)勤務延長制度との違い

再雇用制度と勤務延長制度は、退職手続きの有無に大きな違いがあります。勤務延長制度とは、定年を迎えた従業員の退職手続きをせずに雇用を続ける制度のことです。雇用形態や労働条件は原則として変えられません。それに対して、再雇用制度では退職手続きと雇用契約を行う点や、雇用形態や労働条件が変わる点に違いがあります。

4)高年齢者雇用安定法の改正点

2021年に高年齢者雇用安定法が改正され、以下の努力義務が課されました。働く意欲がある高年齢者が、自分の能力を発揮して活躍できる環境を整備することが主な目的です。法律の改正前は再雇用制度の継続雇用期間が65歳までだったのに対して、改正により継続雇用期間が70歳に変更され、従来よりもさらに延びました。以下の表は、高年齢者雇用安定法の主な改正の内容をまとめたものです。努力義務のため法的な拘束力はありませんが、事業主に対して以下(1)~(5)のいずれかの措置をとることが課せられています。

(1)70歳までの定年の引上げ

(2)定年制の廃止

(3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

(5)70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

【出典】高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~(厚生労働省)

2.再雇用制度を取り入れている企業で起こりがちな課題

従業員の定年後再雇用は、企業にメリットをもたらす一方で、懸念点もあります。ここでは、再雇用制度を活用する際に理解しておくべき課題をご紹介します。制度導入を検討する際の注意点やデメリットも、確認しておきましょう。

1)再雇用する従業員の人件費の問題

再雇用する際、従業員の雇用形態や労働条件に適した賃金を支払う必要があります。そのため、企業側は再雇用者の対象人数に応じた人件費を確保しなければなりません。再雇用制度を新設する際は、採用コストの増大といったリスクまで考慮して計画を立てることが大切です。

2)世代交代のサイクルが鈍くなる

ベテラン従業員の再雇用により、社内の世代交代のサイクルが鈍くなる可能性があります。企業を長期的に成長させるためには、次世代を担う従業員の活躍を促すことも重要です。再雇用することによりシニア人材に経験を活かした活躍をしてもらいつつ、若手・中堅人材の力を活かす配置を行う必要があります。

3)再雇用する従業員のモチベーションの管理

再雇用後の従業員が職務や業務内容にやりがいを感じられず、モチベーションが低下してしまうケースも少なくありません。仕事内容に変化を感じにくいと、退職前と同様の立場や給与ではなくなることを不満として捉えてしまうことが要因のひとつとして考えられます。
こうした状況に置かれた従業員が職場の生産性を低下させるなど、かえって悪影響を及ぼすおそれもあるでしょう。

仕事のやりがいの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→仕事のやりがいとは?従業員が感じる瞬間と自分で見つける方法

3.再雇用した従業員に自分らしく働いてもらうためにできること

再雇用制度を活用して企業にメリットをもたらすには、どのようにシニア人材に働きかければ良いのでしょうか。人事部門のご担当者様へ向けて、制度を活用するための取り組み方をご紹介します。

1)再雇用後の期待と役割を従業員に伝える

再雇用された本人に再雇用になってからの役割や期待を正しく理解してもらうよう説明することは重要です。不同時に、再雇用者が「会社から必要とされている」「頼りにされている」というメッセージも受け取ることができると、モチベーション向上に繋がるでしょう。そのために、再雇用の際は、事前に面談や説明の機会を設けると良いでしょう。

2)従業員の経験を活かせる環境を整える

従業員には、企業内で積み重ねてきた経験や能力があります。再雇用後の従業員が経験を活かして活躍できる役割を付与することが、企業の生産性向上に繋がるでしょう。例えば若手人材の育成のほか、業務のノウハウや専門知識を活かして相談役となるなど、ベテラン人材ならではの仕事内容が挙げられます。

3)従業員が再雇用後も自らのキャリアを考えられる仕組みを設ける

再雇用制度と併せて、自分自身のキャリア資産(経験や強みなどの持ち味)を発揮し続けながら、キャリアプランを考えることができる仕組みがあると望ましいでしょう。その際は、再雇用前から段階的に意識づけを行うことも重要となります。キャリア研修を実施するのも一つの手法です。

4.再雇用制度を活用し、シニア人材が活躍できる環境を作りましょう

ここまで、再雇用制度の基礎知識や、制度の導入によって起こりやすい難しさ、人事部門での取り組み方までお伝えしました。高年齢者雇用安定法の改正により、シニア人材が活躍できる職場づくりは努力義務となっています。その一方で、再雇用制度の活用には、組織の世代交代との連動や再雇用社員のモチベーション維持向上などの検討課題もあります。制度を導入するだけでなく、制度を活用し組織活性化に繋げることと、再雇用者自身が自分らしく活躍し続けることの両方が回るよう、本記事でお伝えしたポイントをぜひ参考にしてみてください。

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この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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