ミドルシニアが活躍するこれからの人材戦略とは?具体的なキャリア開発方法について解説

終身雇用崩壊、働く期間の長期化などを背景に、人生を通して複数企業で活躍することが珍しくない時代となっています。
そうしたなか、従来の日本型雇用のなかで、入社し貢献してきたミドルシニア世代に向けて、企業としてどのようにメッセージを伝え、後半戦キャリアを支援したらよいか難しさを感じるケースも多く見られます。
本記事では、ミドルシニア世代が年齢にとらわれることなく、自分らしく活躍することを支援するための人材戦略の方向性、具体的なキャリア開発支援について、詳しく解説します。

2022.02.01
コラム

ミドルシニア世代とは?

ミドルシニア世代とは、一般に40代~60代の中高年層を指します。日本では、ミドル世代=30歳~54歳、シニア世代=55歳以上と区分されることが多いと言えるでしょう。明確な定義はなく、転職市場ではミドル世代を35歳~44歳と定義する場合も少なくありません。
2024年には、日本の人口の半分以上を50歳以上が占めると言われています。

少子化が進むため、若者の採用はさらに難しくなります。また、若者が高齢者を支える現行の社会保障システムも、人口構成比から考えれば継続が難しくなると予測できます。

今後の日本社会では、経験豊富なミドルシニア世代が長く活躍し続け、重要な働き手としての役割を担うことが、国全体にとっても、企業の組織活性化にとっても欠かせない要素となるでしょう。

転職市場にも変化があり、最近は40代~50代を対象に含める求人は増加傾向にあります。とはいえ、以前は35歳定年説があった日本の転職市場。40歳以上のミドルシニア世代の転職においては、経験に相応する専門スキル・ポータブルスキルが求められます。

ミドルシニア世代が人生の後半において、それまで培ったスキル・経験を活かして活躍し続けるためには、早い段階からキャリア形成を意識して、自分の強みを磨きキャリア構築をし続けていく必要があります。

ミドルシニア世代の現状と必要なキャリア開発

これまでの日本企業では、年齢や勤続年数とともに賃金が上昇する「年功序列」制度を採用している企業が多い現状がありました。そのため、従業員は終身雇用によって雇用が守られることが一般的でした。

しかし年功序列だと、年齢とともに高くなる給与と、ミドルシニア世代のジョブパフォーマンスが必ずしも連動しないというデータがあります。企業全体としての生産性が下がる一つの要因と指摘されることもあります。また、年功序列は若い世代の賃金が低く抑えられる仕組みでもあるため、優秀な若手人材が、条件や環境のよりよい企業に移ってしまうリスクがあります。

バブル崩壊後、さまざまな要因で年功序列制度は機能しづらくなりました。多くの企業が年齢に関係なく生産性が高い従業員を評価する成果主義人事制度に変えようとしてきましたが、急激に制度を変えることは難しく、ゆるやかにシフトしてきたのが現実だと言えるでしょう。

そのため、年功序列の制度のなかで先輩をロールモデルとしてきた現在のミドルシニア世代のマインドが大きく変わったとは言えない状況です。

そのような状況のなか、ミドルシニア世代に、どのようにキャリア自律の意識を醸成し行動を促すかは、ミドルシニア層が社員構成比でも多くを占めるようになっている今、企業にとって、重要な課題です。

では、ミドル世代、シニア世代それぞれにどのようなキャリアの課題があるのでしょうか。またどのように解決したらよいのでしょうか。

ミドル世代(40代)

役職や報酬といった外的キャリアに差が生じる分水嶺の時期です。自らが置かれた管理職/非管理職といった立場、あるいは仕事の役割と、自身が描いてきたキャリアのイメージとのギャップに悩み、モチベーションが低下したりキャリアの停滞感を感じたりしやすい傾向があります。(参考:40代のキャリア研修

40代のキャリア形成の主なテーマはプロフェッショナルの確立です。培ってきたスキル・専門性を軸に自発的にキャリア形成を行っていくことが求められます。ただし、40代になると組織内での役割、個人を取り巻く条件が多様化するため、企業としても個々の状況に配慮しながらキャリア開発を促すことがポイントになってきます。

こちらから、40代のキャリアの課題の特徴、課題解決の方向性、効果的な研修企画コンセプトについてまとめた資料をダウンロードできます。あわせてご覧ください。

40代(ミドル世代)の社員が抱えやすいキャリア課題とは?課題解決の方向性・ポイントを解説!

シニア世代(50代)

役職がなくなる、処遇が変わる、雇用形態が変わる、というような転機をきっかけに、モチベーションやパフォーマンスが低下する人も出てきやすい世代です。そのために、立場が変わっても引き続き組織貢献してほしいと望む企業側の期待とのギャップが生まれることがあります。
こうしたことを防ぐために、やがて現実味を帯びてくる定年や再雇用といった転機を受け入れ、「組織人としていつまでどのように働くのか」というキャリア意識を、転機の前から培っていくことが不可欠です。(参考:50代のキャリア研修

それにあたり企業は、シニア世代にキャリア形成を「自分ごと」として捉えてもらい、変化に適応する力を身につけてもらうことが必要になります。キャリア開発に対する意識醸成のための研修や、役割認識を高めるプログラムの導入などは一つの手段として効果的です。
現代の50代のキャリア開発のテーマは、「70歳就業時代に活躍するための後半戦キャリア戦略」の立案です。50~70代のキャリア戦略を考えるにあたっては、社内だけでなく、社外での活躍も視野に入れたキャリア開発支援をすることが有効になるでしょう。

こちらから、50代からの後半戦キャリア戦略を「A:社内での活躍」「B:社外も含め幅広く活躍」の2パターンで考える場合の研修企画コンセプトの例をダウンロードすることができます。あわせてご覧ください。

50代(シニア世代)の社員が抱えやすいキャリア課題とは?課題解決の方向性・ポイントを解説!(ダウンロード資料あり)

ミドルシニア世代の新しい人材戦略とは?

労働人口の減少が続くなか、今後の日本企業には、多様な世代の力を活かすことを視野に入れた人材戦略が必要不可欠です。そのなかの重要な要素として、ミドルシニア世代の継続的な活躍を促す仕掛けづくりを位置づけていく必要があるでしょう。具体例としては、以下が挙げられます。

ミドルシニア世代がポータブルスキルを認識する機会を提供する

ポータブルスキルとは、業種・職種が変わったとしても通用する「持ち運び可能な能力」です。「専門知識や専門技術」に加え「仕事の仕方」「人との関わり方」など、ビジネスパーソンとしての核となるスキルを指します。自身のポータブルスキルを正しく認識し、異動、転職、起業などで状況が変わっても強みを活かし、周囲の期待に応えていくことが大切です。自身のポータブルスキルを認識する機会を提供することは、企業にできる支援の一つと言えるでしょう。

ミドルシニアが活躍できる役割を創造する

ミドルシニア世代が主体的にキャリアを考えた後に実践のための機会を提供することもポイントです。例えば、組織内にスモールビジネス(少ない人手、資本で高品質のサービスを提供するビジネス)の部署を新設し、ミドルシニア世代に経営者目線の起業体験を提供したり、スタートアップ(革新的なビジネスモデルを作り、短い期間で急成長させるビジネス)のような新規事業立ち上げを小規模で行い利益を生み出す経験をしてもらうのもよいでしょう。

ミドルシニア世代と企業が新たな関係を構築する

実際に立ち上げた新規事業が軌道に乗った場合、子会社化するなどして、ミドルシニア社員と企業が新たな関係性を構築する施策も有効です。

【事例紹介】

不動産・住宅情報サイトなどを運営する株式会社LIFULLは、2006年から社内で新規事業提案制度をスタートし、100社の子会社をつくる方針を掲げています。

新規事業から子会社をつくるステップは、起業にともなうリスクを最小限に抑えられます。ミドルシニア世代にとっても、自身のこれまでの経験を活かして大きく飛躍できる機会となり、企業にとっても自社の関連新規ビジネスを拡張できる可能性があるので、双方に大きなメリットが期待できます。

まとめ

今後の日本企業には、経験豊富なミドルシニア世代(40代、50代、60代)にキャリア開発を促し、生涯現役で活躍し続けてもらうような仕組み・環境づくりを、人材戦略として取り入れていくことが欠かせなくなるでしょう。

幸い、健康寿命が伸びており、現代の50〜60代はエネルギッシュで働く意欲が高い傾向があります。令和2年の内閣府の調査では、60歳以上の約4割、働いている60歳以上の約9割が「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(又はしたかったか)」という問いに「70歳以上まで」と回答しています。働く場があり、自らの活かし方が分かれば、パフォーマンスを発揮したいと考えるミドルシニア世代は、企業の予想以上に多いのではないでしょうか。

変化が速い現代は、一つのスキルで一生を乗り切れるケースは少なく、リスキリング(Reskilling)はすべての人にとって重要になると言われています。ミドルシニア世代が何歳になっても自らキャリアを構築していくことができれば、若い世代のモデルにもなるでしょう。パフォーマンスが高く自律したミドルシニア社員を増やすために、生涯現役として組織で求められ続けるようなキャリア開発支援をしていきましょう。

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