50代のキャリアは「何を目指すか」から「何で貢献するか」へ――内的キャリアへの転換

2026.08.13
コラム

ライフワークス 執行役員の佐々木です。

50代社員向けのキャリア研修についてご相談をいただく中で、時折こんな問いをいただきます。

「50代になってから、改めてキャリアビジョンを描かせる意味はあるのでしょうか」
「もう昇進や異動の選択肢も多くない中で、何を考えてもらえばよいのでしょうか」

確かに、若手社員と50代社員では、キャリアを考える前提が大きく異なります。

だからこそ50代のキャリア支援では、単純に「これから何になりたいか」を考えるだけでは十分ではないと、私たちは考えています。

■50代では「外的キャリア」を描きにくくなる

若手・中堅期には、

「次は管理職を目指したい」
「違う部署を経験したい」
「この専門領域を深めたい」

といった、役職や仕事、ポジションを起点とした将来像を描きやすいものです。

一方、50代になると、昇進や異動の機会は次第に限定され、役職定年や再雇用といったキャリア転機も近づいてきます。

つまり、「どこで、何の仕事をするか」という外的キャリアだけでは、将来像を描きにくくなっていくのです。

その状態で若手と同じように「5年後、10年後にどうなりたいですか」と問われても、答えが出ないのはある意味当然です。

■改めて見直したいのが「内的キャリア」

そこで重要になるのが、役職やポジションではなく、

「自分は何を大切にして働きたいのか」
「どのような強みを発揮したいのか」
「どのような形で周囲の役に立ちたいのか」

という内的キャリアです。

50代まで働いてきた社員には、その人なりに培ってきた経験や技能、人脈、仕事観があります。

私たちは、こうしたものを総称して「キャリア資産」と捉えています。

重要なのは、過去を振り返って「自分にはこんな経験があった」と確認すること自体ではありません。

そのキャリア資産を、これからの組織で何に使うのかまで考えることです。

■「キャリアを考える」ことを目的にしない

キャリア研修を実施すること自体が目的になってしまうと、

「自分の強みが分かった」
「価値観を振り返ることができた」

というところで終わってしまうことがあります。

もちろん、それ自体にも意味はあります。

しかし50代社員の活躍という観点から考えれば、本当に重要なのはその先です。

自分の経験や強みを認識し、

「今の組織にはどんな課題があるのか」
「自分のキャリア資産をどこで活かせるのか」
「周囲からどんな場面で頼られる存在になれるのか」

まで接続していく。

つまり、50代の本人支援の目的は、**"キャリアを考えさせること"ではなく、"これまでの経験を今後の組織貢献へ変換すること"**なのです。

■与えられた役割にも、自分なりの意味をつくる

50代以降は、必ずしも本人が希望するポストや仕事に就けるとは限りません。

そこで重要になるのが、与えられた仕事をそのまま受け取るだけではなく、自身の強みや価値観と結びつけ、自分なりに仕事の意味や役割をつくっていくことです。

いわゆる「ジョブクラフティング」の考え方です。

そして、自分だけで役割を決めるのではなく、自身の強みや仕事観を上司や周囲に伝えながら、「どこで力を発揮するのか」をすり合わせていく。

このプロセスによって、

「もう会社から期待されていない」

という状態から、

「これまでの経験を、ここで活かせる」

という状態への転換が生まれていきます。

■50代は「キャリアの終わり」ではなく、資産を活かし直す時期

50代社員には、それまでの仕事人生で蓄積してきたものがあります。

企業にとって重要なのは、その資産を過去のものにするのではなく、今後の組織課題や新たな役割に接続し直すことです。

だからこそ50代のキャリア支援では、

「これから何になりたいですか」

だけではなく、

「あなたがこれまで培ってきたものを、これから何に使いますか」

という問いが重要になります。

50代のキャリア自律とは、会社から離れて自分の道を探すことだけではありません。

自分自身のキャリア資産を理解し、置かれた環境の中で、自らの貢献領域を再定義していくこと。

それもまた、重要なキャリア自律の一つだと私たちは考えています。

ライフワークスでは、50代社員が自身のキャリア資産を再認識し、今後の組織貢献へつなげていくキャリア支援を行っています。貴社の50代社員に必要な支援について、私たちと一緒に整理してみませんか?

著者:佐々木 淳

佐々木淳大学卒業後、一貫して人材業界で20年。主にIT業界やコンシューマサービス業界大手企業の採用コンサルティングを10年あまり手掛ける。その後、ライフワークスに入社。年代別のキャリア支援や、上司向け部下のキャリア開発支援などといったソフト面の施策企画提案に幅広く携わる。大手を中心に幅広い業界のクライアントに対するコンサルティング実績を持つ。
現在は、年間約200社のキャリア課題解決に向けた施策立案の責任者として従事。

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