ライフワークス 執行役員の佐々木です。
人的資本経営やキャリア自律の重要性が高まる中で、上司と部下による「キャリア面談」を導入する企業が増えています。
一方、企業の人事担当者の方々とお話ししていると、
「キャリア面談を始めたものの、うまく機能していない」
というご相談も少なくありません。
例えば、
「結局、異動希望の確認だけで終わってしまう」
「いつの間にか評価面談や業務面談になっている」
「上司もメンバーも、何を話せばよいのか分かっていない」
「面談シートへの記入・提出が目的になっている」
「上司によって面談の質が大きく違う」
といった状態です。
面談で話した内容が、その後の育成や配置、フォローにも活用されない。その結果、キャリア自律やエンゲージメント向上といった、本来期待していた成果につながらないということも起こります。
では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
私たちは、その原因を上司のキャリア支援力だけに求めるべきではないと考えています。
■キャリア面談が機能しない3つの「曖昧さ」
キャリア面談がうまくいかない企業には、大きく3つの曖昧さがあります。
一つ目は、Why――なぜキャリア面談を行うのかが曖昧なことです。
「会社としてキャリア自律を推進することになったから」
「年に1回キャリアについて話すことになっているから」
というだけでは、現場の上司やメンバーにとって、その面談を行う意味は腹落ちしません。
評価面談や普段の1on1と何が違うのか。
会社はキャリア面談を通じて何を実現したいのか。
上司にどのような役割を期待しているのか。
まず、このWhyが明確になっている必要があります。
二つ目は、What――何を話すのかが曖昧なことです。
「今後のキャリアについて話してください」
と言われても、それだけでは上司もメンバーも困ってしまいます。
現在の仕事について振り返るのか。
本人のWillや強みを考えるのか。
今後の成長テーマを考えるのか。
組織からの期待と本人の希望をすり合わせるのか。
何を扱う場なのかが明確でなければ、最も話しやすい「異動したいかどうか」「今の仕事はどうか」といった話だけで終わりやすくなります。
三つ目が、How――どう実行し、継続するのかが曖昧なことです。
面談前に本人が自身のキャリアを考える機会はあるか。
上司は何を準備するのか。
実施前に目的や話す内容をリマインドしているか。
面談後の内容を育成や配置にどうつなげるのか。
こうした運用まで設計されていなければ、キャリア面談は個々の上司の力量に依存した施策になってしまいます。
■問題は「やる気」ではなく「設計」にある
キャリア面談が形骸化すると、
「上司の面談力が足りないのではないか」
「メンバーが自分のキャリアを考えていないのではないか」
と考えがちです。
もちろん、上司のキャリア支援力を高めることも、メンバー自身がキャリアについて内省することも重要です。
しかし、そもそも目的も、話す内容も、運用方法も曖昧なままであれば、個人の努力だけで良い面談を継続することには限界があります。
キャリア面談は、**上司個人のスキルに委ねるイベントではなく、人事が設計する「対話の仕組み」**なのです。
■キャリア面談は「実施すること」ではなく「機能させること」
キャリア面談を導入すること自体が目的になってはいけません。
重要なのは、
Why――なぜ行うのか
What――何を話すのか
How――どう現場で実行し、活用し続けるのか
を一つにつなげることです。
お役立ち資料でも、キャリア面談は目的・シート・運用を連動させることで、初めて現場で続く仕組みになると整理しています。
貴社のキャリア面談では、上司やメンバーが、
「なぜこの面談をするのか」
「何を話すのか」
「面談後、何につなげるのか」
を明確に答えられるでしょうか。
もし答えが曖昧なのであれば、上司研修を増やす前に、まずキャリア面談そのものの設計を見直してみる必要があるかもしれません。
ライフワークスでは、キャリア面談の目的整理から、面談シート、上司・メンバー向け支援、運用定着まで、キャリア面談を「機能する対話の仕組み」にするためのご支援を行っています。貴社の状況や課題について、私たちと一緒に整理してみませんか?
著者:佐々木 淳
大学卒業後、一貫して人材業界で20年。主にIT業界やコンシューマサービス業界大手企業の採用コンサルティングを10年あまり手掛ける。その後、ライフワークスに入社。年代別のキャリア支援や、上司向け部下のキャリア開発支援などといったソフト面の施策企画提案に幅広く携わる。大手を中心に幅広い業界のクライアントに対するコンサルティング実績を持つ。
現在は、年間約200社のキャリア課題解決に向けた施策立案の責任者として従事。


