ライフワークス 執行役員の佐々木です。
キャリア自律支援を進める企業では、上司向けに「部下のキャリア支援研修」を実施するケースが増えています。
部下のWillや強みを引き出す。
傾聴や問いかけの方法を学ぶ。
キャリア面談と評価面談の違いを理解する。
こうした上司のキャリア支援力向上は、とても重要です。
一方で、私たちは企業をご支援する中で、
「上司研修を実施したのに、キャリア面談が思ったほど変わらない」
という課題にも多く向き合ってきました。
なぜでしょうか。
■研修を受ければ、良い面談ができるのか
例えば、上司が研修でキャリア面談の考え方やスキルを学んだとします。
しかし職場に戻ると、
「そもそも、この面談は何のためにやるんだっけ?」
「うちの会社では何を話せばいいんだっけ?」
「この面談シート、どう使えばいいんだろう?」
という状態だったとしたらどうでしょう。
学んだことを実践することは難しくなります。
さらに、日常業務に追われているうちに、研修内容そのものも少しずつ忘れられていきます。
つまり問題は、
「上司に能力がない」ことではなく、「上司が能力を発揮できる環境が設計されていない」こと
なのかもしれません。
■キャリア面談を上司任せにしない
キャリア面談は、実施の瞬間だけを見れば「上司と部下の対話」です。
そのため、どうしても上司側の力量に注目しがちです。
しかし、その対話を成立させる土台をつくるのは人事です。
例えば、
なぜ自社ではキャリア面談を行うのか。
評価面談や1on1とは何が違うのか。
面談では何を扱ってほしいのか。
面談した内容を、育成・配置・今後の成長支援にどうつなげるのか。
上司とメンバー双方に、どのような事前準備を求めるのか。
こうしたことが設計されて初めて、上司は「会社として目指しているキャリア面談」を実践できます。
■上司研修を「点」で終わらせない
私たちは、上司向け研修そのものに問題があるとは考えていません。
むしろ重要なのは、研修を単発の「点」にしないことです。
例えば、
面談前にメンバー自身がWill・Can・Mustを整理する。
上司には面談目的とポイントを再度リマインドする。
分かりやすい面談シートやガイドを用意する。
実施後に振り返りや事例検討の機会をつくる。
こうした仕組みと上司研修を組み合わせることで、初めてキャリア支援力が現場で発揮され続けます。
■人事に求められるのは「面談できる化」
「良いキャリア面談をしてください」
と現場へお願いするだけでは、上司ごとの経験や価値観によって面談の質に差が生まれます。
だからこそ人事には、
上司がキャリア面談を実践できる状態をつくること
が求められます。
上司のキャリア支援力を高める。
メンバーにも面談前の内省を促す。
目的、面談シート、ガイド、リマインド、振り返りを整える。
つまり「上司育成」だけではなく、キャリア面談そのものを組織として"できる化"することです。
キャリア面談を上司任せの取り組みから、人と組織が前に進むための対話の仕組みに変える。
その設計こそが、取り組むべき課題なのかもしれません。
ライフワークスでは、キャリア面談の目的整理から、面談シート、上司・メンバー向け支援、運用定着まで、キャリア面談を「機能する対話の仕組み」にするためのご支援を行っています。貴社の状況や課題について、私たちと一緒に整理してみませんか?
著者:佐々木 淳
大学卒業後、一貫して人材業界で20年。主にIT業界やコンシューマサービス業界大手企業の採用コンサルティングを10年あまり手掛ける。その後、ライフワークスに入社。年代別のキャリア支援や、上司向け部下のキャリア開発支援などといったソフト面の施策企画提案に幅広く携わる。大手を中心に幅広い業界のクライアントに対するコンサルティング実績を持つ。
現在は、年間約200社のキャリア課題解決に向けた施策立案の責任者として従事。


