マネジメントとは?中間管理職に必要なスキルの種類と高め方

会社組織を適切に運営し、チームが目指すべき結果を出すには、「マネジメント」が重要です。マネジメント能力はビジネスの幅広い場面で求められますが、求められる能力は多岐に渡ります。本記事では、企業で重要な役割を担う中間管理職に着目しながら、マネジメントの種類やスキルアップについて解説します。自社の中間管理職のマネジメント力を高めることを通した、更なる企業価値発揮に向けて、人事担当者様・経営者様・マネジメントに携わる方はぜひご一読ください。

2022.06.03
コラム

マネジメントとは?

初めに、企業の組織運営の根幹とも言える「マネジメント」の基本を解説します。経営層だけでなく、中間管理職などの役職を担う当事者の方にも必須の知識です。今後の組織づくりに向けて、人事担当者の立場でも用語を押さえておくことは大切です。

マネジメントの意味と定義

マネジメント(management)という英単語を直訳すると、「経営」や「管理」という意味になります。一方で、ビジネス用語のマネジメントは、ピーター・F・ドラッカーの著書『マネジメント(1973年刊行)』内で提唱された言葉です。ドラッカーは本書のなかで、"マネジメントとは「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」である"と述べました。上記がビジネスシーンにおけるマネジメントの定義として広く知られています。

マネジメントの目的と役割

マネジメントの目的は「成果を上げること」です。ドラッカーは「組織の成果に責任を持つ者」をマネージャーと定義しました。また、マネジメントの役割については「目標・案件・プロセスを管理して目標達成すること」と定義しています。①組織が果たすべきミッションを達成する、②組織で働く人を生かす、③社会に貢献することで、社会に好ましい影響を与えるのがマネジメントの本質と考えられているのです。

マネジメントの種類

マネジメントには組織の階層別に3つの種類があります。

該当するポジション 役割
経営者層
(トップマネジメント)
会長、社長、副社長
常務、執行役員など
組織の基本方針や経営計画の立案を行う
中間管理職層
(ミドルマネジメント)
支店長、部長、課長、係長、マネージャーなど 経営陣の決定や指示を現場に伝える
現場の声を吸い上げて経営陣に伝える
監督者層
(ローアーマネジメント)
主任、現場リーダー、チーフなど 上層部の意志決定を現場に伝える
自らも業務を手がける

なかでも中間管理職層によるミドルマネジメントは、トップマネジメントとローアーマネジメントをつなぐ重要な役割を担っています。円滑な組織運営を実現するには、部長・課長クラスの責任者によるミドルマネジメントが欠かせません。

マネジメントとリーダーシップの違い

「リーダーシップ」は、マネジメントと同様に組織の責任者に求められる能力の一つです。ただし、マネジメントとは果たすべき役割に違いがあります。マネジメントとリーダーシップに共通する目的は「成果を上げる」ことです。

マネジメント リーダーシップ
役割 具体的な手段を提示する
複雑な状況への対処
未来の方向性を提示する
変化への対応

いずれも管理者にとって必要性の高い概念であるため、両者の違いを押さえておきましょう。

マネジメント業務(中間管理職)の主な内容

会社組織には、経営陣と現場をつなぐパイプ役となる、中間管理職の存在が欠かせません。組織内で中間管理職が機能することは、従業員の力の最大発揮に繋がる大きな要素の一つです。ここでは、組織内での中間管理職の役割を見直し、重要性を再確認していきます。

情報関係

中間管理職は社内の情報共有において、上層部と現場を繋ぐさまざまな役割を果たします。たとえば、社内外の情報収集や状況分析、経営陣が決定した方針や計画の部下への伝達などです。

業務遂行関係

中間管理職は仕事の進め方に関して、目標設定や課題解決に向けた戦略・方針の策定、部下への指導などを担います。既存事業の遂行だけでなく、新規事業の創出やプロジェクト推進を担当することも珍しくありません。

対人関係

中間管理職はチームビルディングにも携わります。部下の性格や長所・短所を踏まえた指導や育成、仕事に対する動機づけなども管理職の仕事内容です。昨今では、社内に限らず、社外の関係者との連携強化や人脈づくりも求められます。

コンプライアンス関係

中間管理職は自社のリスクマネジメントにおいても責任を負っています。個人情報保護法への対応や機密情報の漏えい対策のほか、労働時間の管理といったタイムマネジメントも業務の範囲です。日頃から業務に関する法律の動向や実務上の留意点を学ぶ必要があります。

部下のキャリア支援

近年は組織のダイバーシティが進み、人事だけではキャリア支援を管理しきれない状況です。そのため、キャリア支援という視点を持って部下の成長を支援できる管理職が求められています。そのため、中間管理職が、部下の長期的なキャリアの希望や現在の強みなどを把握しておくことも求められます。部下個人の強みや将来のビジョンを把握した上で、個人・組織両方にとって可能性を最大化する役割や配置を検討することが、今、組織から求められています。

キャリア支援の視点で部下の成長を支援するひとつの有効な手段が、キャリア面談の活用です。キャリア面談は、社員の中長期的なキャリア形成とその実現に向けて話し合い、自律的な成長を促進する貴重な機会です。一人ひとりに気づきをあたえ、主体的にキャリア形成ができるように支援するための方法として注目が集まっています。評価面談とよく間違えられるケースもございますので、明確な違いが分からない方は是非こちらの記事と併せてご覧いただけますと幸いです。

マネジメント(中間管理職)に必要なスキル

チームマネジメントを担う中間管理職には、どのような管理能力が必要とされるのでしょうか。メンバーの強みを活かし、チームを成長させるには、マネジメント層に以下の4つのスキルが求められます。それぞれの特徴や必要不可欠とされる理由について解説します。

意思決定スキル

組織の責任者として物事を判断し、適切な決断を下すスキルです。意思決定が明確でスピード感があり、なおかつ判断がぶれないことが重要となります。部下の混乱を招かないよう、長期的な方針に基づいて結論を出すことも大切です。場合によっては、難しい局面で瞬時に決断を求められるケースもあるでしょう。上司の意思決定が滞ると、チーム内のスピード感が損なわれてしまうため注意が必要です。

業務管理スキル

中間管理職には、組織目標に対して現状を把握し、軌道修正をするコントロール力が必須です。また、ストレスマネジメントの観点から、日頃から部下の観察や洞察を行うとともに、対話を通じてシグナルを素早く検知するスキルも養えると良いでしょう。

コミュニケーションスキル

社内のコミュニケーションでは、相手の意見や考えを傾聴し、受け入れる姿勢を示して信頼関係を構築することが重要です。その際は、ジェスチャーや表情など非言語の要素によるコミュニケーションも重視すると、相手の感情を読み取りやすくなります。

人材育成スキル

中間管理職は定期的に人事評価を行い、フィードバックを提供します。そこで部下のやる気を引き出すには、短期的な業務の成果を見るだけでなく、相手の価値観を理解して長期的なキャリアを考慮するのがポイントです。的確なサポートが部下の自己実現やモチベーションアップにつながります。

マネジメント能力を高める方法【個人視点】

中間管理職のスキルアップに有効な、個人視点での取り組みをご紹介します。マネジメント力を向上させるには、管理者層が自ら課題分析を行い、改善へ向けて行動することも大切です。現状のマネジメント方法の見直しを促し、従業員の能力を最大限に発揮させましょう。

意思決定マトリクスを利用する

意思決定マトリクスは、課題やアイデアといった複数の選択肢を評価・選定する際に活用される手法の一つです。取り組みには以下の3つの手順があります。

①評価対象を決める(表のマトリクス例の該当箇所:A案、B案、C案)
②評価項目を決める(表のマトリクス例の該当箇所:得られる効果、実行しやすさ)
③合計を出す(表のマトリクス例の該当箇所:合計)

意思決定マトリクスを用いれば、各案を特定の指標に基づいて評価および比較できるので、判断の迷いを減らすのに役立ちます。また、部下に意思決定マトリクスを見せることで、意思決定の納得感を高める効果も期待できるでしょう。

得られる効果 実行しやすさ かかるコスト 合計
A案 3
B案 1
C案 2

上記は、意思決定マトリクスの一例です。情報を資料にまとめてミーティングなどで共有すれば、判断に至った過程が可視化されます。こうしたフレームワークを、状況に応じてマネジメントに活用するのも有効です。

正しく伝わっているかどうかを常に疑う

部下とのコミュニケーションでは、伝え方を見直すことで部下の成長を加速できる可能性があります。正しく伝わっているか確認するには、「わかりづらいところはありますか?」などと、不明点や疑問を尋ねると良いでしょう。「念のため自分の言葉でも説明してもらえますか?」と促して、内容を自分の言葉で表現してもらうのもおすすめです。また、上司が相談しやすい関係の構築に努めると、悩みを打ち明けやすくなります。日頃から「チャットでも直接でも良いので、いつでも相談してください」と伝えておくと安心です。

部下に業務の一部を任せる

管理職が部下に業務を任せることも、人材マネジメントの一環として重要といえます。まだ仕事に慣れない新入社員の場合、初めは失敗しても大きなリスクにならない業務から依頼するのがポイントです。例としては、会議の司会やドキュメントの整理、数字の管理などのタスクが挙げられます。仕事を任せたら、あくまでも最終的な責任はマネージャー自身が取ることを認識し、サポートも欠かさずに行いましょう。

マネジメント能力を高める方法【組織視点】

中間管理職を効果的に育成するには、次世代を担う人材を定義・選定し、学びをサポートする仕組みを作るなど成長を促す職場環境を整備するのもポイントです。次のステップを提示することで、モチベーションの向上につながります。現場での実践につながる管理職研修の検討に、ぜひお役立てください。

マネジメント研修を実施する

管理職向けの研修プログラムを提供すると、受講者がマネジメントに関する専門的な知識を体系的に学べます。研修を通じてマネジメント手法を習得するだけでなく、管理職同士で意見や情報の交換をする機会になるのもメリットです。管理者層が活発に交流し、経験やノウハウを共有すれば、組織開発にもつながるでしょう。近年ではオンライン上でのeラーニング形式で研修を実施する企業も多くなっています。

多面的な評価が得られる機会を設計する

中間管理職がマネジメント能力を高めるには、経営層や上司からの評価だけでなく、部下や同僚からの評価も重要だといえます。その理由は、幅広い意見を参考にしながら、自分自身の足りないスキルや知識を自覚しやすくなるためです。管理職が多面的な評価を得る方法として、具体的には「360度評価(多面評価)」などが挙げられます。本人に気づきの機会を与えることで、改善のヒントを得られるようになります。

リモートワークによるマネジメントの課題

近年のビジネスシーンでは、IT活用やDX推進などを背景に、リモートワークの導入が進んでいます。時代に合わせて働き方が変われば、最適な組織マネジメントの手法も変化するでしょう。最後に、リモート体制におけるマネジメントの問題や注意点をお伝えします。

組織やチームへの帰属意識が低下する

従業員がそれぞれ異なる場所で働くリモートワークでは、部署間やチーム間での協力がしづらい場合があることが難点として挙げられます。同じオフィスで働く場合と比べて、チームの連携に際して効率が低下しやすいのに加えて、各メンバーが連携の必要性を感じにくくなっていることも。確かに、オンラインでは自律した働き方が実現しやすく分業が進みました。一方で、オフィス環境で自然と察していたメンバーの動きの情報が少なくなる難点もあります。こうした状況下で組織やチームの一員として連携する認識を保つために、リモートワーク体制に適したマネジメントが求められています。

社員間の心理的な距離が広がる

リモートワークでは、社員間の連絡にビジネスチャットなどのITツールが用いられます。テキストによるコミュニケーションは利便性が高い反面、相手の気持ちや考えが読みづらいのがデメリットです。対面とは異なり、表情や声のトーンがわからないため、時にはメンバーが余計な不安を抱えてしまうことも。そのようにして孤独感を感じやすい場合があるからこそ、管理職には従来とは異なるコミュニケーション能力が必要です。

マネジメントにおける課題の解決策を見つけるために

ここまで、中間管理職に必要なマネジメントスキルや、能力を高める方法について解説しました。経営層と現場との間に立つ中間管理職の役割が拡大し、変化しています。それに適したスキルや知識をつけ、マネジメントをアップデートすることが組織運営において課題となっています。さらに近年ではリモートワーク導入が進みつつあり、企業での働き方にも変革が起こっている状況です。人事部門でも、管理職向け研修プログラムなどのサービスを活用しながら、管理職育成を通して、より良い組織づくりの検討を目指しましょう。

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