職場におけるモラハラとは?放置するリスクと予防するための対処法

「モラルハラスメント(モラハラ)」が職場で起こってしまうと、従業員同士の関係が悪化するだけではなく、会社自体の不利益につながることがあります。どういったことがモラハラに該当するのか、どのように対策すべきかを知り、万が一の事態に対応できるよう準備しておくことが大切です。

本記事では、職場におけるモラハラの具体例や、解決せずに放っておくリスク、人事が取り組むべき対策方法などを解説します。ハラスメントに対する社内体制の構築にお悩みの場合は、ぜひ参考にしてみてください。

2022.07.21
コラム

職場におけるモラハラとは?

初めに、ビジネスシーンで押さえておきたい「モラルハラスメント(モラハラ)」の意味をお伝えします。「パワーハラスメント(パワハラ)」や「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」との違いなど、基礎知識を確認しておきましょう。

モラハラの意味

モラハラとは、モラルハラスメント(Moral harassment)の略称です。モラルに反した言動や行為によって精神的苦痛を与えることを意味します。精神的な暴力であることから、言葉のDVと呼ばれることもあります。本人が苦痛を感じていても外からはモラハラの被害がわかりづらいため、発覚しづらいことが特徴のひとつです。

パワハラやセクハラとの違い

  • モラハラとパワハラの違い
    パワハラはパワーハラスメント(Power harassment)の略称です。職務上の立場や地位を利用して、精神的、身体的に苦痛を与えるような行為をすることを指します。
    モラハラもパワハラも、どちらも精神的な嫌がらせであることは同じです。ただし、モラハラは立場や地位などが関係しないハラスメントといえます。
  • モラハラとセクハラの違い
    セクハラはセクシュアルハラスメント(Sexual harassment)の略称です。モラハラとの違いは性的な要素が含まれるかどうかです。性的な嫌がらせによって当事者に不快な思いをさせることや、性的な行為の強要、性別による偏見などを指します。

職場におけるモラハラの具体例

職場内のモラハラには複数のパターンが存在します。気をつけていないと、いつの間にか自分自身が加害者となっていることもあり得ます。どういった行為がモラハラに該当するのかを知っておくことが大切です。ここでは、職場におけるモラハラの具体例を紹介します。

精神的苦痛を与える行為

「頭が悪い」「性格が悪い」といった、人格否定にあたる発言はモラハラにあたります。相手の外見を中傷する発言も同様です。

わざと人前で叱責する行為もモラハラとなります。業務上、注意が必要な場面はありますが、相手に精神的苦痛を与えるような言い方をしたり、過度に威圧的な態度を取ったりすると、モラハラとみなされることも。また、暴言や悪口はもちろん、わざと本人の耳に届くように言う陰口もモラハラの一種といえます。

人間関係の切り離し行為

職場内の人間関係から特定の人を切り離すような行為は、モラハラにあたります。例えば、挨拶やメールの無視、送別会や社内イベントなどに出席させないことなどです。相手とのコミュニケーションをとらず、故意に孤立させるような行為が該当します。

プライベートへの過度な介入行為

職場で家族について執拗に問われることや、プライベートな話を他人に広められることなどが苦痛となる場合があります。私的な部分に踏み込まれたくないメンバーもいる点を踏まえ、職場における適切な付き合いを考えていくのが大切です。

仕事に支障が出るような妨害行為

無理な仕事量を押し付ける、一人に仕事を押し付けて帰宅するなどの行為は、モラハラとなります。また、理由もなく仕事を妨害するような行為が続くと、会社の生産性低下につながる可能性もあります。

社内のモラハラを放置しておくことのリスク

社内で起こったモラハラを解決せずに放置しておくと、会社の責任問題や社員の離職などにつながるおそれがあります。被害が大きくなってから後悔することのないよう、モラハラを放置するリスクについて確かめておきましょう。

会社が責任を問われる

ハラスメントは社員個人の問題ではなく、会社の問題です。モラハラの被害が拡大すると訴訟や損害賠償問題に発展するおそれがあります。企業イメージの低下につながることもあるため注意が必要です。

労働契約法第5条には「使用者は、労働契約にともない労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をするものとする。」と記されています。これにより、会社には「職場環境配慮義務」があるといえます。

ハラスメントに対する法律は強化されており、2020年6月からはパワハラ防止法が施行され、2022年4月からは中小企業でもパワハラ防止法が義務化されました。企業はハラスメントの防止や対策を行う義務があるということを押さえておきましょう。

離職率が高まる

モラハラを受けた人は、心に強いストレスを受けることがあります。被害者となった従業員は、抑うつや不安障害などの精神疾患を抱えるおそれがあると考えておきましょう。

また、モラハラによるトラブルが原因となり、休職や退職の増加につながる可能性があります。結果として離職率が高まるケースもあるでしょう。

社内全体のモチベーションが低下する

モラハラは当事者だけではなく、周りの社員にも影響を与えます。暴言や無視、妨害行為などが日常的に行われている職場は、従業員エンゲージメントの低下も引き起こします。

社内の空気を良好なものにするためには、被害を受けた社員のケアを行うことが大切です。ただし、モラハラの対処にあたる場合は、プライバシーの保護を徹底しましょう。トラブルがあった後も、当事者がスムーズに通常の生活に戻れるようにサポートするためです。

社内のモラハラを予防するために人事がやるべきこと

モラハラの抑止や早期解決のためには、研修の実施や相談窓口の開設、社内規定の策定などが有効といえます。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

継続的なハラスメント研修の実施

社員には、ハラスメントに関する基本的な知識を身に付けてもらうことが必要です。モラハラに対して社内で共通理解を深められるよう、継続してハラスメント研修を開きましょう。

研修では、モラハラの内容や具体的な事例を提示すると効果的です。精神的な攻撃が主体となるモラハラは、身体的な暴力のように被害が表面化しづらいためです。加害者側も、自覚なくハラスメントを行っていることがあります。どういった行動がモラハラに該当するのかを、従業員全体に周知しておくことが重要です。

相談窓口の設置

モラハラをはじめ、各種ハラスメントについて相談できる窓口を開設しておくようおすすめします。被害者が誰にも相談できず、味方がいない状況で我慢し続けるような状態を防ぎましょう。

定期的な1on1やカウンセリングの実施も効果的です。一人ひとりの悩みを聞ける機会をつくることで、モラハラの早期発見につながります。

実際にハラスメントに関する相談があった場合はどのように対応するか、具体的なフローを決めておくことも重要です。当事者同士の関係改善のフォローやメンタルケア、職場環境の改善など、対処方法を決めておくことでスムーズに動くことができます。また、被害者の意見のみを聞くのではなく、加害者や状況を目撃した第三者などとも話し合い、客観的に判断できるよう配慮しましょう。被害を受けている場面の録音や録画など、証拠があれば提示してもらうように呼びかけます。

対応に迷った場合は、職場のモラハラに関する相談窓口を探して利用するのもひとつの方法です。事業者向けの無料相談や電話相談などを活用して、適切な対処ができるよう心がけましょう。

モラハラに対するルールを作成

就業規則には、ハラスメントの禁止や処分に関する項目を設けましょう。規則を決める際は、何がハラスメントに該当するかを明確にすることが大切です。

また、就業規則に罰則や処分を明記しておくことは、ハラスメント防止の抑止力になることがあります。会社としてハラスメントは許さないという姿勢を持ち、社内全体にルールを周知徹底していきましょう。

モラハラ防止のために人事ができる適切な取り組みを知ろう

今回は、モラハラの基礎知識や具体例、放置するリスク、対処方法などについて紹介しました。精神的な攻撃で被害者に心の傷を与えてしまうモラハラは、企業イメージのダウンや離職率増加などにつながることもあります。場合によっては、被害者が会社や加害者に対して損害賠償請求する可能性も。会社側が適切な取り組みを行い、ハラスメントを未然に防ぐことが大切です。社内研修の実施でモラハラに関する価値観を共有するほか、被害者や目撃者の相談先になれる窓口の設置、明確な処罰や処分の規定を決めておくことなども効果的とされます。本記事でお伝えした情報も参考に、社内のハラスメントに対する体制を見直してみてはいかがでしょうか。

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