なぜ管理職に研修は必要?求められる能力と対象者別の研修内容

中堅社員が経験を積んで管理職に昇進すると、組織のなかで求められる働き方が大きく変化します。一方、管理職としての役割認識が不足して、マネージャーとして期待される活躍が十分にできていないケースもあります。この記事では、管理職に求められる能力や、階層別研修についてお伝えします。育成担当者様や人事担当者様はぜひご活用ください。

2023.02.07
コラム

1.管理職が抱える課題と研修の目的

多くの管理職は、組織のマネジメントやチームビルディングなどに関してさまざまな課題を抱えています。こうした課題を解決へと導くには、企業側が研修によって必要な能力の習得を促し、管理職を支援することが大切です。初めに、管理職研修の目的についてお伝えします。

1)管理職の課題

多くの企業で管理職の課題となっていることは、当事者に管理職としての意識が乏しい点にあります。管理職は組織内でリーダーシップをとり、チームを率いる立場にあります。しかし、プレイングマネージャーの場合は現場の業務を担うプレイヤーとしての意識が強く、自分の仕事の遂行に集中してしまうケースも少なくありません。このように、管理職自身がプレイヤーとマネージャーの仕事のバランスを取れていないと、組織運営において、持続的に成果を出し続けることのは難しい場合があるといえます。昨今の管理職は部下の成長支援の役割も期待されていますが、そもそも上司と部下の対話が少ないケースもあります。こうした管理職の課題に対応するには、管理職研修を受講させることも解決方法の一つになるでしょう。

2)管理職研修の目的

管理職研修には、チームを率いる管理職として必要な知識や能力を習得させる目的があります。管理職は単に自らの業務をこなすだけでなく、マネジメントを担う管理者として、組織の目標達成や生産性向上を実現する高度なスキルが求められます。組織全体でモチベーションを高め、チームとしてパフォーマンスを発揮させる力を身に付けなければなりません。そのためには、業務の進捗状況を適切に管理できるだけでなく、一人ひとりの部下の能力を伸ばし活かす人材育成や活躍支援ができることも重要です。管理職の能力向上は、企業の業績を向上させることにもつながります。当事者に管理職としての自覚を促す上でも、基礎研修として管理職研修を受講させることをおすすめします。

2.管理職研修で習得を目指す能力の例

管理職研修では、どのような能力開発が期待できるのでしょうか。ここでは、多くの研修サービスのコースやプログラムに取り入れられている、具体的な能力の例を解説します。

1)課題解決力

管理職には、業務や組織の課題を発見して改善へつなげる能力が欠かせません。課題解決力は管理職研修においても重要性の高い項目の一つです。現状の課題を見つけるには、管理職が自分の管理下にある業務や部下の状況を把握して、分析する必要があります。その後、発見した課題の対策や取り組みの方向性を定め、優先順位を見極めて解決を目指すのが基本です。研修では、課題解決の流れから必要な考え方までを学べます。

2)管理能力

管理職は、業務の進捗管理からメンバーの労務管理まで、社内の幅広い管理業務を担います。そのため、研修では業務管理や目標管理のほか、監督能力を向上させる内容まで豊富な研修カリキュラムが用意されています。業務の進捗状況を把握するノウハウから、部下の意欲を引き出して目標達成をサポートするポイントまで、体系的に学習できるため安心です。

3)育成力

部下育成の能力は、管理職に必須のスキルの一つです。管理職研修では、部下の能力や特性を理解した上で育成計画を立てる、実践的な方法を学びます。また、部下のありたい姿と組織としての期待をすり合わせるためには、的確なフィードバックの方法を学習することも有効です。育成計画に応じた人材育成を実施するだけでなく、部下の自律した成長を促す働きかけも同時に行っていきましょう。そのためには、評価面談とキャリアの面談の違いを学ぶなどの研修も有効です。

4)コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは、他者と円滑に意思疎通を図る能力のことです。ビジネスシーンでは、自分の意思や指示内容を正確かつ速やかに伝える必要性があります。管理職研修では管理職の意思を伝える方法に加えて、相手の意見を引き出す方法も学べるのが特徴です。また、メンバーとの信頼関係を構築するために、アドバイスやサポートを提供する能力も強化できます。

3.管理職研修の主な内容

自社で管理職研修を実施する際は、管理職の階層に応じて研修の内容を設定すると良いでしょう。その理由は、役職によって必要とされる能力が異なるためです。最後に、階層別の管理職研修の内容をご紹介します。

1)新任管理職向け研修の場合

まだ管理職としての経験が浅い主任・係長などの新任管理職には、マネジメントスキルを初級レベルから学ばせるとともに、責任を自覚させる機会を与えましょう。研修を通じて行動変容を起こせると理想的です。研修内容は、マネジメントに関する基礎的な知識を身に付けながら、プレイヤーからマネージャーへの意識改革や動機づけができるマネジメント研修が適しています。新たに管理職になった社員には研修後にも企業側から育成研修やフォローを提供して、管理職に必要な知識やスタンスの習得を継続的に促すことが重要です。

2)中級管理職向け研修の場合

一定の経験を積んだ課長・次長などの中級管理職は、部署の意思決定に携わるなど、組織においてさらに重要な役割を任されることになります。また、中級管理職は複数の初級管理職を管理する立場でもあります。そのため、管理職を対象としたマネジメントができるようになることも必要です。組織マネジメントの基本を発展させて、マネジメント能力の向上や、部下育成に関する知識の深化などを目指します。

3)上級管理職向け研修の場合

部長クラスから経営幹部までを指す上級管理職は、組織の次世代リーダーです。経営層に近い立場であるため、常に経営視点で思考し、自社のビジョンや方針を組織内にも共有する役割があります。管理職研修では、経営戦略の立て方やリスクマネジメント、経営数字など、経営に関する高度な知識やスキルを身に付けることが必要です。専門の外部講師による集合研修やセミナー、経営に特化したマネジメントスクールでの学習など、高度な学びの機会を提供しましょう。研修後に幹部候補として経営者のように判断し、行動するための能力を習得できる研修プログラムが最適です。

4.管理職の課題を解決することで、組織の成果を伸ばすためには

管理職研修の活用によって、対象者に、管理職に求められる育成力や管理能力をはじめとした力の習得を促すことが可能です。特に新任管理職は、マネジメント業務に何が求められるかについての認識不足から、管理職としての役割を全うできていないケースがあります。管理職は数値目標や成果に対して責任を持つため、マネジメントに必要な能力を向上させることは、自社の成長にもつながります。現状の管理職の課題を解決へと導くために、ヒントとしていただけますと幸いです。

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この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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