モチベーション研修とは?メリットや具体的内容、成功のコツを解説

モチベーション研修は、従業員のモチベーションを向上させるために行われる研修です。従業員のモチベーションが高い状態にあれば、社内の活性化や業績の向上、従業員満足度の向上といった効果が期待できます。従業員にとっても、モチベーションの維持・向上は働く上でメリットがあるでしょう。
しかし、従業員が置かれた状況によっては、モチベーションを維持し続けるのが難しいこともあります。そのため、従業員の働く意欲の向上に有効な方法のひとつとして、企業側は従業員一人ひとりに対して定期的なモチベーション研修を行うことが大切なのです。

今回は、モチベーション研修のメリットや具体的な研修の内容、モチベーション研修を行う上での成功のコツなどを解説します。

2023.06.05
コラム

1.モチベーション研修は従業員のモチベーション向上を目的とした研修

モチベーション研修とは、従業員のモチベーション向上を目的として行う研修です。モチベーションが向上することで、従業員は自分の仕事に対してより積極性を持って取り組むようになるため、結果的に個人のスキルアップが期待できます。そうすることで、従業員一人ひとりの社会人生活の充実にもつながります。

モチベーション研修は、さまざまな手法で行うことが可能です。企業によっては、社外での体験を取り入れるなど、ユニークな研修を実施しているところもあります。従業員が前向きに取り組める内容にすることが大切です。
なお、自社で対応することが難しい場合は、外部企業に依頼して研修を実施することも検討しましょう。

従業員のモチベーションが企業に与える影響と効果については、下記の記事をご覧ください。

2.モチベーション研修のメリット

モチベーション研修を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、モチベーション研修が従業員にもたらすメリット、管理職にもたらすメリット、企業にもたらすメリットの3つについて、それぞれ解説します。

1)従業員にもたらすメリット:モチベーションの向上

前述したとおり、モチベーション研修を行うことで、従業員のモチベーション向上を期待することができます。では、具体的にはどのようなモチベーションの向上につながるのでしょうか。詳しく説明します。

モチベーション研修は、従業員の内面にある、仕事への楽しさや充実感などの気持ちを引き出す役割を果たします。このような、みずからの内側から沸き起こる意欲を内発的動機と呼びます。内発的動機は、外的要因に左右されずに維持できる意欲のことを意味します。内発的動機を引き出し、業務と結びつけることができれば、安定的に高い意欲を維持しやすくなるでしょう。
例えば、これまでは「配属されたからやらざるをえない」と思っていた仕事に対して「配属を希望しているポジションの仕事と通ずるところがあり、将来経験を役立てられる」ということがわかれば、意欲的に取り組みやすくなるはずです。あるいは、これまで興味を持てなかった仕事の良い面を知ることで、仕事への面白さを感じられる可能性もあります。

2)管理職にもたらすメリット:マネジメントスキルの向上

モチベーション研修を受けることで、管理職はマネジメントスキルのうちのひとつの要素を向上させることができます。
管理職向けのモチベーション研修では、部下のモチベーションを高めることにつながるマネジメント手法についても学びます。管理職の対応によって、従業員のモチベーションが大きく左右されることもあるはずです。モチベーション研修によってモチベーションの大切さや対応方法について学び、マネジメントスキルを向上させることが大切です。
管理職がモチベーション研修で学ぶ具体的な内容は、下記のとおりです。

<管理職向けのモチベーション研修において学ぶ内容>

  • モチベーションの概念
  • モチベーションは従業員ごとに異なり、多様であること
  • 部下一人ひとりのモチベーションを知り、働きかけることの重要性やその手法

また、モチベーションには、一人ひとりの内面から生まれる内発的動機と、報酬や評価、懲罰のような外部に起因する外発的動機の2種類があります。管理職は、それぞれの意味と効用を知った上で、両者を正しく活用していくことが大切です。

内発的動機と外発的動機については、下記の記事をご覧ください。

3)企業にもたらすメリット:組織の活性化

モチベーション研修を行うことで、組織の活性化が期待できます。これは、モチベーション研修が企業にもたらす大きなメリットです。
まずは従業員が自分のモチベーションと、モチベーションを知る意義を理解した上で、活用することが大切です。また、管理職が従業員一人ひとりのモチベーションを理解して、それぞれに適した働きかけをすることも重要です。
モチベーション研修を通じて、従業員と管理職がモチベーションについて正しい理解をするとともに、みずからのモチベーションや部下のモチベーションに対する理解を深めましょう。

さらに、従業員一人ひとりが、互いのモチベーションが違うことを理解し、それを活用する文化が浸透すれば、チーム全体で他者のモチベーションを意識したフィードバックやサポートを行えるようにもなるはずです。コミュニケーションも自然と増えていき、それによって従業員同士の相互理解が進みます。そのため、従業員同士の関係性の向上や、行動の質の向上、生産性の向上などにも、次第につながっていきます。

3.モチベーション研修の主な内容

モチベーション研修では、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。ここでは、モチベーション研修で行う主な内容をご紹介します。

1)自己分析

モチベーション研修で行う内容のひとつが、自己分析です。
自己分析を通じて、自分が何にモチベーションを感じるのか、思考パターンを理解します。

1976年にアメリカの心理学者のデイビッド・マレクランドが発表した欲求理論によると、人間の行動動機は下記の4つであるといわれています。自分はどの動機が強いのかを調べられる特性検査などを活用することも、自己分析に効果的です。

<マレクランドの欲求理論で提唱された人間の4つの行動動機>

  • 達成:個人の目標を自分の力で叶えたいという欲求
  • 権力:責任感のある仕事や地位を与えられたいという欲求
  • 親和:他者からの感謝や好意を得たいという欲求
  • 回避:失敗や批判、非難などを避けたいという欲求

自分がそれぞれの欲求をどの程度重視しているのかを知ることで、自分のモチベーションがどこにあるのかを把握しやすくなるでしょう。

2)自己分析と自分の仕事との紐付け

自己分析ができたら、モチベーション研修で次に行うのが、自己分析の結果と自分の仕事との紐付けです。
自己分析によって明らかになった価値観ややりがいを掘り下げ、どのような人生を送りたいかを考えてみましょう。人生の行動指針が定まったら、次に、行動指針を踏まえて現在の仕事のあり方について考えます。

現在の仕事と、仕事とプライベートをすべて内包する人生全体の価値観を重ねて考えることで、希望する仕事のあり方や、仕事に何を求めているのかが見えやすくなるはずです。人生全体において自分が大切にしている価値観を理解した上で、自分の仕事に向き合うことで、以前より高いモチベーションで仕事に取り組めるようになるでしょう。

仕事のやりがいの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→仕事のやりがいとは?従業員が感じる瞬間と自分で見つける方法

3)目的・目標と自分の仕事との紐付け

目的・目標と自分の仕事との紐付けも、モチベーション研修の中で行います。
モチベーション研修は、自分が業務上の目的や目標を達成することで、自分にとってどういう価値が得られるのかを考えるための良い機会になります。さらに業務上の目標の達成によって自分や周囲にどんな影響があるのかを考えることで、業務目標を自分ごととして落とし込めるようになります。

モチベーション研修を通じて、目的や目標が自分ごとになれば、内発的動機につながりやすくなります。元々明らかなことであっても、改めて言語化することが大切です。言葉に書き表すことで、動機付けが強まり、モチベーションの維持・向上につながりやすくなります。

目的・目標と自分の仕事との紐付けをする際によく行われるワークのひとつに、4観点のワークがあります。4観点のワークとは、目標達成によって得られるものを4つの異なる観点から見つける作業のことです。それぞれの観点について、できるだけ多くの要素を書き出してみましょう。

■観点のワークにおける各項目とその内容

観点具体的な内容
自分が得られる有形の価値 ボーナスや昇給、昇格などを指す。また「◯◯が買える」や「◯◯に遊びに行ける」といった内容も含む
自分が得られる無形の価値 他者からの感謝や達成感などを指す。インセンティブや人事評価といった有形の価値以外の、感謝の言葉や他者からの信頼などが該当する
組織や周囲、社会が得られる有形の価値 自分ではなく、組織や周囲などに対する有形の価値のこと。例えば、目標を達成することで次の商品の開発に多くの費用をかけられるようになる、環境保全につながる、などが該当する。また、家族にプレゼントを贈ることや、部下にご馳走することなど、周囲の人に対する有形の価値も含む
組織や周囲、社会にとって無形の価値 自分以外の他者が得られる無形の価値のこと。例えば、自分が目標を達成することでチーム全体の成績が上がり、結果的に達成感につながる、などのケースが該当する

4)モチベーションのセルフコントロール

モチベーションのセルフコントロールについても、モチベーション研修の中で学ぶことができます。
モチベーション研修を通じて、自分にとってモチベーションを維持しやすい行動と、モチベーションが下がりやすい行動は何かを把握することが大切です。

モチベーションは、さまざまな要因によって上がったり下がったりします。モチベーションが上がるときだけでなく、下がるときについても自己分析し、コントロールすることが大切です。モチベーションが下がりやすい行動をみずから把握し、できるだけその行動をしないなどの対策をとることが重要です。併せて、モチベーションが下がったときに何をすれば良いのかを考えておくのも効果的でしょう。

5)従業員のモチベーション向上への働きかけ

管理職向けのモチベーション研修では、部下のモチベーションに働きかける方法についても学びます。
管理職のポジションについている場合、自分のモチベーションのコントロールだけでなく、他者のモチベーションをどのように向上させていくべきかについても、知っておくことが有効です。また、他者のモチベーションを下げないためにどうすれば良いのかについても、あわせて重要な観点でしょう。

4.モチベーション研修を成功させるコツ

モチベーション研修は、画一的な内容で実施するだけで効果を得られるものではありません。では、モチベーション研修を成功させるにはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、モチベーション研修を成功させるための3つのコツをご紹介します。

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1)事前に従業員のモチベーションを把握する

モチベーション研修を成功させるには、事前に従業員のモチベーションを把握しておくことが大切です。
従業員のモチベーションは、目に見えるものではありません。現在のモチベーションの状態について把握するために、研修前に調査を行っておくと良いでしょう。

従業員のモチベーションはどのような状態か、また、その状態に影響を及ぼしている要素がわかれば、研修プログラムの策定にも役立てることができます。

2)研修の目的や目標を明確にする

実施する目的や、研修を受けた後の目標をあらかじめ設定しておくことも、モチベーション研修を成功させるコツのひとつです。
目的や目標を明らかにし、研修を受ける従業員に周知することで、何のための研修なのかがはっきりします。漠然とモチベーションを高めるためというだけでなく、モチベーションの源泉を知り個人のパフォーマンス向上に活かすためなど、より具体的な目的や目標を設定すると良いでしょう。

3)振り返りの機会を設ける

振り返りの機会を設けることも、モチベーション研修を成功させるコツです。
モチベーションは、時間経過とともに低下しやすいものです。研修後、しばらく日が経過した後に、モチベーションを維持・向上するための行動ができているかどうかを確認することで、再度意識を高められます。

また、モチベーション研修は、振り返りの機会を設けたのちに再度受講することでより内容が身につく研修なので、複数回実施することで効果が高まっていきます。しかし、内容の伴わない研修では意味がありません。より効果の高い研修になるよう、モチベーション研修を受けた従業員の意見や、モチベーション研修の効果測定などを参考に、定期的に研修内容の見直しを行いましょう。

5.モチベーション研修の活用が組織の活性化につながる

モチベーション研修を活用することで従業員の意欲が向上すれば、組織の活性化につながります。本記事を通じて、従業員一人ひとりのモチベーションを深く知り、活用することの意義についてご理解いただけましたでしょうか。

従業員の意欲向上のための取り組みとしては、座学によるモチベーション研修だけでなく、企業独自の手段を用いることで、モチベーションに働きかけているところもあるようです。例えば、チームビルディングやコミュニケーションの改善のために運動会を実施したり、社員のメンタルケアやモチベーションアップのために朝礼内に瞑想の時間を取り入れたりするなどの取り組みが挙げられます。

モチベーションは抽象的な概念ではありますが、従業員個々人としても、組織としてもモチベーションを上手に活用することが大切です。従業員が前向きに取り組める体制づくりに活かしていきましょう。

株式会社ライフワークスでは、企業様の従業員のキャリア開発を支援しています。モチベーションが低下しやすい年代層へのキャリア支援についてのご相談もお受けしています。従業員のモチベーションの低下のきっかけを年代別でまとめた資料なども提供していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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