中堅社員のあるべき姿と育成のメリット・デメリットとは

「中堅社員」はどこまでの範囲を指すのでしょうか?そのあるべき姿とは?

リーダーや管理職、経営層も大事なポジションではありますが、今、中堅社員育成の重要性も見直されています。実務の中核人材であり、チームを取り纏め、ときに管理職層・経営層との良き戦略パートナーとして、大きな存在感である中堅社員。この存在のあるべき姿と育成のポイントとは。

中堅社員に必要とされる能力・スキルアップ、育成の観点から整理しました。御社の中堅社員のあるべき姿や、その育成手法を今一度考えてみてはいかがでしょうか。

2023.04.27
コラム

1.中堅社員の範囲とは

「中堅社員」とは、企業の経営陣や上位の管理職には属さないが、一定の責任や権限を有する地位にある社員のことを指します。具体的な範囲は企業によって異なりますが、一般的には、入社3年目以降~10年目程度で、課長などの役職についていない社員を指すことが多いでしょう。役職としては、主任や係長を含めるケースもありますが、含めないケースもあります。

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2.中堅社員のあるべき姿

では、一般的に「中堅社員のあるべき姿」とはどのようなものでしょうか?以下に3点挙げていきましょう。

1)実務のプロフェッショナル

中堅社員のあるべき姿としては、実務を着実にこなしていくプロである必要があるでしょう。中堅社員は、専門的なスキルや知識を有し、仕事に対する熱意と自覚を持つことが求められます。同時に、中堅社員に求められるのは「成果をあげること」です。
プロであるからには、着実に実務の成果を出していくことも求められるでしょう。

2)チームのリーダー

中堅社員は、部下・後輩のフォローアップや指導を行い、チームの一体感を醸成することが求められます。個人での成果はもちろん、より大きな仕事に対して、チームと共に「協業する力」が求められます。適切な遂行計画を立て、チームメンバーの業務進捗を管理し、目標に向かって、メンバーを鼓舞していく必要があるでしょう。リーダーシップのスタイルについては、以下記事も参考になります。

3)管理職層の良きパートナー

中堅社員は、管理職、ときに経営者と同じ方向を向いて事業の課題に向き合い、経営戦略の策定の支援や実行支援に貢献することが求められます。

上記のような中堅社員が力を発揮するメリットとは何でしょう。まず、周囲の社員によい影響を与え、社員全体のモチベーション、エンゲージメントを高めることに寄与してくれることが考えられるでしょう。同時に、実務を着実にこなしてもらうことで、最終的には、会社業績に大きく貢献してくれるというメリットを享受できるでしょう。

3.中堅社員に求められる能力・スキル

上記のようなあるべき中堅社員を育成するにあたり、中堅社員に必要とされる能力・スキルは何があるでしょうか?以下に5つ紹介していきましょう。

1)リーダーシップスキル

中堅社員は、小さなチームのメンバーを取りまとめることが多いでしょう。チームメンバーのモチベーションアップや仕事のフォローアップ、目標の達成に向けた課題解決など、チームの成果向上に向けた主体的なリーダーシップが求められます。

2)コミュニケーション力

中堅社員は、部下や後輩を持ち、上位には上司となる管理職がいます。上下左右など周囲との関係を良好に維持する他、課題解決に向けて効果的なコミュニケーションを実践するスキルが必要となるでしょう。

3)専門性

中堅社員は、実務のプロという観点から、専門的なスキルや知識を有し、仕事に対する熱意、責任感を持つことは大事になるでしょう。

4)柔軟性

変化の激しい環境下では、フレキシブルな調整能力や、新しい課題に前向きに対応する姿勢が大事になるでしょう。

4.中堅社員が育たない原因

ここで、中堅社員が育たない原因を2つ解説します。

1)チームの士気と成果低下

昨今は、少子高齢化の影響もあり、新入社員は貴重なリソースになっています。また、仕事に対する価値観が変化しており、「新入社員がすぐに退職してしまう」というケースも以前に比べて増えているのではないでしょうか。そういったなかで、中堅社員が部下や後輩を多く持つこと自体が発生しない場合があります。中堅社員であっても一人、部下や後輩がいればいい方で、なかなか多人数のチームの取りまとめという役割にはならないという事もあるようです。

上記のような背景から、リーダーシップやコミュニケーションスキルを発揮する経験が圧倒的に乏しいために、いざ多人数のチームを持った際に、うまくいかず、チーム全体の士気や成果を低下させる可能性があります。

2)実務遂行能力の欠如

昨今は、実務の運営業務と言っても、IT化など専門化が進んでいて、習得が難しくなっています。いったん習得したとしても、新たな技術を習得しなくてはならないというケースも多いのではないでしょうか。中堅社員が不十分な専門スキルに留まる場合、事業遂行上の大きな課題、懸念が生じる可能性があります。また、このような状態では、管理職への登用が難しいという結論にもなり、将来の経営人材層の枯渇が懸念されます。

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5.中堅社員育成のポイント

今後、中堅社員を育成するポイントはどのようなところにあるのでしょうか?以下4つ挙げていきましょう。

1)OJT(実務経験)

中堅社員に、少しストレッチしたリーダーやマネジメントの仕事を任せ、役割分担によって経験を積ませます。これにより、より高い目線で仕事を理解し、実務やチームマネジメントに活かす他、その能力スキルを上げることが期待できるでしょう。

2)研修プログラム

研修などの座学にて、マネジメント能力やコミュニケーション能力、専門スキルなどを身につけるためのプログラムを実施します。時に、現場から離れ、専門スキル等をブラッシュアップする必要もあるでしょう。

3)コーチング

経験豊富な管理職層や経営層とコーチング関係を確立し、日常から相談やコーチングを継続していくという方法です。日頃の悩みを気軽に相談し、一緒に解決していきながら、中核社員としての能力を高めていくことができるでしょう。

4)海外・出向・副業経験

海外の価値観や文化、ビジネススタイルを知るための海外留学や海外出向などを実施することで、中堅社員のグローバルな視野を広げることができるでしょう。また、海外のみならず、国内出向や他企業での副業の経験を積むことで、新しい組織文化や立場、メンバーとの競合を通じて、視野を広げることができるでしょう。
中堅社員の育成にあたっては、以下記事も合わせて参考にしてください。

6.まとめ

中堅社員の育成は、企業にとって重要なテーマであり、中堅社員の育成を怠るデメリットははかりしれません。また、中堅社員自身が、そのマインドセット、能力スキルを高めていくためには、自分自身のありたい姿を描き、会社の方針とすり合わせていくことが大事でしょう。それを促進するためには、中堅社員自身の「キャリア自律」が基盤となることは間違いありません。今一度、中堅社員の育成についても向きあってみてはいかがでしょうか。

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この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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