ビジネスにおける適材適所とは?成功のポイントと役立つ人事施策

日常生活においても慣用表現としてよく使われる「適材適所」という言葉。ビジネスシーンでも、適材適所を意識した人材の配置が、企業に大きなメリットをもたらすと考えられています。適材適所の人材配置によって、社員が働きやすくなり、より成果をあげられる組織を作れる可能性があります。本記事では、人事部門のご担当者様へ向けて、人材の活用に効果的な適材適所の考え方をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

2023.03.28
コラム

1.適材適所の意味と効果

「適材適所」という言葉には、その人の能力や特性などに合わせて活躍できる、ふさわしい場所に就かせるという意味合いがあります。近年では、ビジネスシーンの人材配置においても注目されるようになりました。まずは、ビジネスにおける適材適所の意味や使い方、企業にもたらす効果について解説します。

1)適材適所の意味

ビジネスにおける「適材適所」とは、社員が持てる能力を発揮できる適切な人員配置によって、業務効率化の実現を目指すものです。国内の企業は、少子高齢化による生産年齢人口の低下という大きな課題に直面しています。企業間の採用競争が激化し、慢性的な人手不足に悩まされているケースも少なくありません。こうした背景からも、自社の限りある人的資源を有効活用する重要性は、今後ますます高まっていくでしょう。社員同士が得意を活かし、不得意を補い合える組織であれば、個人がそれぞれの職務において最大限に能力を発揮することを通して、組織の成長に繋げることができます。

2)適材適所の効果

①生産性の向上

適材適所の人員配置は、企業の生産性向上に寄与すると考えられています。その理由は、社員一人ひとりが強みを活かし、適性に合う仕事を担うことで、最小限の工数で効率的に業務を遂行しやすくなるためです。自らの強みを活かした仕事では成果が出やすく、効果的な人材活用が期待できます。

②組織の活性化

組織の生産性が向上すれば、結果的に組織活性化につながるのもメリットです。生産性が高まり組織としての目標達成を実現できれば、モチベーションが高まり、組織内の士気が上がりやすくなります。さらに、適材適所による効率化が進めば、社内のリソースをコミュニケーションや意見交換などの時間に充てられる点でも有効です。交流が活発になり、社員が協力しながら成長していく組織づくりができます。

③社員の定着率向上

適材適所を考慮して社員を配置すると、個人が強み・能力を発揮しやすい環境で充実して働けるようになります。自分の得意なことや個性を仕事に活かせると実感することで、やりがいを感じやすくなるでしょう。それは現在の仕事や職場への愛着が湧くひとつの大事な要素となり、定着率の向上が期待できます。また、仕事内容のミスマッチが要因の離職を防げる可能性があります。

仕事のやりがいの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→仕事のやりがいとは?従業員が感じる瞬間と自分で見つける方法

2.適材適所の人員配置を成功させるポイント

自社で適材適所の人事配置を実現するには、どのように施策に取り組むべきでしょうか。ここでは、人事担当者様へ向けて、成功させるための具体的なポイントをご紹介します。

1)自社の課題と業務内容を明確にしてから行う

まず自社の組織課題を明確化し、その後に必要なスキル・能力を可視化した上で、配置や育成を考える流れで取り組みましょう。配属先ごとにどのような業務が行われていて、課題を解決するにはどのようなスキルを持った人材が必要なのか、明確にすることが大切です。その上で、業務や課題に対応できる能力を持つ社員を、適切な部署へ配置すると良いでしょう。

2)社員の能力やキャリア展望を把握する

社員ごとの能力や今後のキャリアの希望を把握するために、配置を決める際は適性検査やキャリアに関する面談を行うようおすすめします。適性検査を実施すれば、従業員のデータを客観的に把握することが可能です。また、面談は社員の強みや考え方、価値観などを知り、組織と個人が互いに理解を深める重要な機会だといえます。今後どんな業務にチャレンジしていきたいのか、中長期的な観点で個人の思考や事情をヒアリングしましょう。

3)PDCAサイクルを回しながら組織としての価値向上に繋げる

適材適所の人員配置を行った後は、配置変更のPDCAサイクルを回します。効果測定と分析を行い、配置した社員が能力を発揮できているか、異動後の現場の状況を中長期的に検証することが大切です。配置変更を行っても社員が十分にパフォーマンスを発揮できない状態が続く場合には、見直しが必要かもしれません。新しい業務の経験で社員のさらなる適性が明らかになるケースもあるため、定期的に人材配置見直しを検討することも重要です。

3.適材適所の実現に役立つ人事施策

適材適所を発揮して組織の可能性を拡大する施策の例
自社でも適材適所の配置を実現するために、社内の人材管理では以下の方法をお試しください。最後に、社員を適材適所で活躍させる際に役立つ人事施策をご紹介します。

1)キャリア面談

キャリア面談とは、社員の中長期的なキャリア形成を目的とした面談のことです。面談は上司が部下のありたい姿を把握し、組織からの期待とのすり合わせを行う場でもあります。管理などのマネジメント層は、メンバーとのキャリアに関する対話を通じて、現状の配置が適切であるかの判断材料を得られます。社員一人ひとりのキャリアビジョンは、適材適所の配置を検討する上でも貴重な情報だといえるでしょう。そのため、定期的に面談を行いながら、社内での情報連携を強化することが重要です。

キャリア面談の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→キャリア面談とは?進め方、上司が押さえておきたいポイントや有効性を解説

2)ジョブローテーションの導入

ジョブローテーションとは、社員に複数の部署や職種を経験させる人材育成の制度です。多様な業務を実際に担当させながら、適性を見ることが可能です。また、社員自身が、過去に経験した業務との違いを比較しながら、経験を通して自分の適性を見極めやすくなります。特定の業務で得た経験や能力を別の業務で発揮できる可能性があります。

3)社員情報の見える化

適材適所の実現へ向けて、自社に必要なスキル・能力を可視化し続けることが大切です。そのために、自社の社員のスキルや経験、配属先の希望といった人材に関する情報をデータベース化しておくのも、理想的な組織を描く上で有効です。データベースに入社日や所属部署、資格などの情報を登録しておけば、スムーズに検索できるようになります。さらに、適性検査の結果や具体的な業務経験など、人材配置の参考資料となるデータも登録しておきましょう。データベースを活用して、社員の能力を活かせる部署に配置できると理想的です。データベース化するのみに留まらず、データを活用して組織の価値向上に繋げていきましょう。

4.適材適所の人材配置で成果の上げられる組織づくりを実現!

ここまで、ビジネスにおける適材適所の意味や効果、人材配置を成功させるポイント、おすすめの人事施策までご紹介しました。適材適所の配置によって、生産性向上、組織の活性化、離職防止といった多くのメリットが期待できます。人材配置を成功させるには、現状の事業環境の変化と、事業課題、それに紐づく組織課題を踏まえてありたい姿を描き、定期的な分析と改善を繰り返しましょう。その際は、キャリア面談やジョブローテーションなどの人事施策も配置の見直しに役立ちます。ご紹介した情報を参考に、適材適所の人材配置で成果を上げられる組織作りを実現しましょう。

株式会社ライフワークスでは、20代からシニアまでの各世代や、女性活躍推進、管理職向けなど、課題に合わせた「キャリア開発研修」をご提供しています。キャリア開発研修は、企業で働く社員(従業員)一人ひとりの、自律的キャリア形成を支援する方法の一つです。社員のキャリア課題を持つ方は、是非ライフワークスのキャリア開発研修をご覧ください。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

おすすめ記事

コラムの一覧へ戻る