再雇用に向けた覚悟と働きがいを確認し、65歳までの活躍を支援する57歳研修を実施

「社会からお預かりした貴重な財産」を「活かし、伸ばす」

積水化学工業様では、1993年度から定年後の再雇用制度を導入し、2006年度からグループ各社にも制度を拡充するなど、65歳までの活躍推進に積極的に取り組んでこられました。2013年度には定年後のキャリアを考える「57歳研修」を新設。 65歳までいきいきと働き続けることを支援する、新たな取り組みをスタートされました。

「65歳までの活躍支援策のベースには、当社の人材に対する基本的な姿勢があります。人事グループがCSR部にあることがその象徴ですが、『従業員は社会からお預かりした貴重な財産』であるという考えのもと、年代を問わず『人を活かし』『人を伸ばす』ための施策に力を入れてきました。

『多様な人材の活躍』も大切なキーワードです。男性、女性、外国籍の社員など、多様な人材がいきいきと働ける環境づくりも、当社が注力することの一つ。65歳までの活躍推進もその一環です。年金支給開始年齢の引上げに対応するといったことだけでなく、さまざまな年齢の人が働きがいを持てる会社でありたいと考えているのです」(先山様)

「手を挙げる人事」で、キャリアの自立を促す

「キャリアセンターを開設して再雇用希望者のスキルを登録し、職場とのマッチングを行うようになったのが約20年前のこと。定年後も強みを活かしてもらう、まさに『人を活かす』施策です。ただ再雇用に限らず、人事施策が手厚いと『会社が何とかしてくれる』と依存的になる恐れがあります。この風潮はこの後、2001年の成果主義導入によって大きく転換します。

『手を挙げる人事』をテーマに掲げ、人事異動ではグループ全体から人材を公募。昇進昇格にも自己申告制を導入しました。それには自分の強みを知り、キャリアプランを描くことが必要になりますから、これも公募制で10年ごとの『キャリアプラン研修(CP研修)』を新設。30歳、40歳、50歳の節目にキャリアの棚卸しをする機会を提供してきました」(佐藤様)

「定年まで準備期間があるうちに、65歳までのキャリアプランを考える

「ただ、CP研修は50歳が最後。15年後の65歳までのことをその時点で考えるのは、やはり難しいんですね。それでも59歳になれば継続雇用について聞かれます。自分は何をしたいのか、何ができるのか。やりたいことは積水の中にあるのか、外に出た方がいいのか。その選択を迫られる前にもう一度、定年まで準備期間があるうちにキャリアプランを考える機会を提供したい。それが『57歳』というタイミングでした」(佐藤様)

「2013年4月からは、希望者全員の雇用が義務化されました。だからといって、『働けるならどこでも』などの受け身の姿勢では、有意義な期間にはなりません。管理職を離れ、年下の上司の元で働くことも受け入れなくてはならない。そうしたときにキーワードとして出たのが、『覚悟』と『働きがい』でした。自分はこのスキルや専門性で65歳まで働き続けるのだという覚悟と働きがいを持って、いきいきと働いていただきたい。こうした思いから、57歳研修を企画したのです」(先山様)

丸2日かけて「自分のキャリア」と向き合い、心に火をつける

「研修は1泊2日の2日間。1日目に過去を振り返って自分の強みや持ち味を確認し、2日目に今後のキャリアプランを考えるという構成です。印象的だったのは、『Will、Can、Must』の3つの観点からアプローチするという手法。57歳の方にキャリアの棚卸しをしてもらうと、どうしても過去の成功体験の中で考えてしまうんですね。『Must』ばかりの毎日を過ごし、思考がそこから出られない人もいます。

『Will』や『Can』を口にしなくなって久しい人たちに、改めて自分の言葉で語ってもらう。それによって「自分はまだ、やりたいことがあったじゃないか」と視野が広がるんですね。若いころの情熱を思い出してほしくて、会社の歴史とともに仕事を振り返るセッションも盛り込みました。ライフワークスさんのトレーナーからも、『57歳、まだまだやれる』と背中を押していただき、最後は各自が『ありたい姿』と『行動計画』を宣言して終了。 受講者には辛い2日間になるのではないかと思っていましたが、予想に反してとても明るい、前向きな研修になりました」(先山様)

キャリアプランは上司にも宣言。3年かけて定年後に備える

「研修後に上司と面談することも、この研修の特徴です。今後のキャリアプランを上司に宣言し、自分のどんな強みが活かせるのかを上司と共有することが面談の目的。これまでは定年直前の59歳で面談していましたが、それに加えて57歳での面談も設けることで、60歳までの期間をどう過ごすか、再雇用後にどんな活躍を期待するかを、上司にも考えてもらう。職場を巻き込んで再雇用に備えるための試みです」(佐藤様)

高年齢者が元気になれば、若手も活性化する

「57歳研修を企画するにあたって数社から提案を受けましたが、ライフワークスさんのプログラムが最もこちらの意図を汲み取ったものであったことがお願いした決め手でした。研修開始後も1回終了するごとに改善点を確認し、ブラッシュアップしながら進めていけたことにも満足しています。来年度はさらによりよい研修にできればと思います」(先山様)

「今後、57歳研修で宣言したことを実現する人が出てくるといいと思いますね。高年齢の人たちが働きがいを持っていきいきと活躍していると、若手も自分の未来を重ねて前向きになります。結果として、職場全体が活性化する。そうしたいい循環につなげていければと思います」(佐藤様)

この事例のまとめ

課題 希望者の再雇用義務化により、65歳までの活躍支援が課題に
これまでも活躍支援には取り組んできましたが、再雇用義務化を受けて、65歳まで現役で働き続けることの「覚悟決め」と「働きがい」を確認する必要性を感じていました。
方法 57歳研修を新設、定年後のキャリアプランと向き合う機会を提供
50歳で終了していたキャリアプラン研修に、57歳向けのプログラムを新設。年金やマネープランといったよくある内容には一切触れず、これまでのキャリアの棚卸しと今後のキャリアプラン立案に丸2日かけて取り組む研修を企画しました。
成果 受講者全員がキャリアプランシート完成。上司面談実施も100%
研修では全員が各自の将来を描き、研修後の上司面談も全員が実施。再雇用に向けて今からできる「行動計画」に沿って、残りの期間をスタートさせることができました。

取材日: 2014年1月23日

研修導入企業情報

積水化学工業株式会社 様

目的
ミドル・シニアの活性化
年代
50代
業界
メーカー(toB)

企業のご担当者様

CSR部人事グループ長 佐藤 隆士 様

CSR部人事グループ長佐藤 隆士 様

CSR部人事グループ 人事・厚生担当部長 先山 浩司 様

CSR部人事グループ
人事・厚生担当部長
先山 浩司 様

この事例をシェアする

ご相談・お問い合わせメルマガ登録他の事例も見る

この事例を見た人は、
こんな事例も見ています