再雇用に向けて人生設計を考える55歳向けのライフ&キャリアデザインセミナーを実施

2006年に「シニア職員制度」、 2007年に『ライフ&キャリアデザインセミナー』を導入

日本水産株式会社様は、2006年度に定年後の再雇用制度を導入。あわせて、今後の人生設計を主体的に考えるための『ライフ&キャリアデザインセミナー』を新設されました。さらに、『自立と自律』をテーマに掲げ、より主体的なキャリア形成の支援に注力されています。

2006年4月の改正高年齢者雇用安定法施行に伴い、再雇用制度「シニア職員制度」を導入。あわせて2007年から、55歳時に『ライフ&キャリアデザインセミナー』を実施しています。定年5年前の時点でこれまでのキャリアの棚卸をし、今後の人生設計を考える機会を提供しようという狙いです。

それまでも配偶者同伴でのセミナーは実施していましたが、年金制度や定年後の家計といったマネープランが中心。『ライフ&キャリアデザインセミナー』は"キャリア設計の視点"を加えたことが大きな変更点です。

プログラムは1泊2日で、1日目は「ライフ」がテーマ。再雇用制度など会社の諸制度を説明した後に、仕事だけでなく日常生活全般を振り返り、今後のマネープランを考えます。2日目のテーマは「キャリア」。事前に行った自己理解検査(SAI)の結果をもとに自分の特徴を理解し、今後のキャリア設計に関する目標と行動計画を立てます。

受講者はグループ会社のトップや本社の部長、工場の工務担当や営業担当などさまざま。"55歳"という年齢を共通軸に、立場を超えて自由に話し合う希少な機会となっており、終了後のアンケートには「何年かぶりに自分についてこんなに考えた」という声も。家族や地域社会との関わりを省みて、「これを機に妻とよく話すようになった」という声も聞かれ、「ライフ」については衝撃に近い気づきを得る人が少なくないようです。

3年前に社内研修を一部縮小するも、
受講者満足度の高い『ライフ&キャリアデザインセミナー』は継続

『ライフ&キャリアデザインセミナー』のプログラム設計・実施は、導入当時からライフワークスさんにお願いしています。「ミドル・シニア社員」と「女性社員」の2分野の研修に特化されているため、じっくり相談できることが魅力の一つ。また、担当の男性トレーナーが受講者と年齢が近く、トレーナー自身の生き方やものの見方・考え方から受講者が得る刺激も大きい。社内研修の中で唯一、受講者が「あの研修は受けたほうがいい」と後輩社員に語り継ぐ、満足度の高いセミナーになっています。

2011年の東日本大震災の際に社内研修を一部縮小せざるを得ない状況になっても、55歳時の『ライフ&キャリアデザインセミナー』は休止せず、毎年、継続して実施しています。

定年後も働き続けるという選択肢ができた今、「ライフ・マネー・キャリア」の3つの観点から今後の人生を総合的に考え、受講者自らの気づきを促して意識改革を図るために、欠かせない機会だと捉えています。

プログラム概要

日程 1泊2日
対象 55歳の社員(54歳から受講可能)
1日目
  • 会社諸制度説明
  • 日常生活を振り返る
  • マネープランを考える
2日目
  • 職場生活を振り返る
  • 今後のキャリアを考える
  • ライフプランをつくる

"自分のキャリアは自分で描く"
個人の意識変革と、柔軟なキャリアパスの整備が今後のテーマ

「キャリア」の観点でさらに社員個人の意識変革を促すために、『ライフ&キャリアデザインセミナー』 に加えて、キャリア支援全体の見直しに取り組んでいます。

これまでは現役の頃の役割や仕事内容に合わせて、定年後も相応のポストを会社側が用意してきました。しかし、今後、当社のボリュームゾーンである40代後半世代が定年を迎えるころには、再雇用希望者全員に本人が期待するポストや仕事を用意できるとは限りません。再雇用を希望するなら、会社にどのように貢献できるのかを社員自ら考えることが、より一層必要になります。

そこで、人事制度の見直しも含め、柔軟なキャリアパスの選択肢を提示し、社員自身がより"自分のキャリアは自分で描く"という意識を持つように支援していきます。「自立と自律」をキーワードに、会社と社員相互に幸せな再雇用を

今後のキャリ支援のポイントの1つは、昇進・昇格だけがキャリアではないという価値観を定着させること。ライン管理者としてより高いポジションを目指すというモデルだけでなく、専門性を高めていく道も提示し、自分はどのような能力を発揮できるのかを社員自らが考える環境を用意しようということです。

そのためには、早い段階からキャリアを考える機会を提供することが必要です。今後は、30代・40代にもキャリア教育の機会を設け、55歳時のセミナーは数年前倒して50代前半に実施。55歳時には定年後を見据えた何らかのキャリア選択を促します。立場や役割が変わる60歳以降に組織にどう貢献できるのかを考える『マインドチェンジ』と、貢献し続けるための『スキルアップ』。この2つの課題を55歳時から意識し、準備できるように働きかけるということです。

会社の中にはさまざまなポジションがあり、すべての社員が各自の役割をまっとうして初めて会社として機能する。どの役割にも価値があり、自分が能力を発揮できる場所で活躍することこそが大切なのだという思考に、いかに社員を導けるかが鍵だと考えています。

そこにおいてのキーワードは「自立と自律」。自分の道は自分で選び、与えられた役割を自らの力で完遂する。そうした企業風土の先に、会社と社員相互にとって幸せな再雇用のあり方が見えてくるのものだと思います。

この事例のまとめ

課題 再雇用制度導入に伴い、定年後のキャリア設計支援が必要に
再雇用を希望する際には、「これまで通り(現職継続)」といった発想ではなく、会社にどのように貢献できるのかを自ら考えるための意識変革が課題に。
方法 キャリア設計の視点を取り入れたセミナーを55歳時に実施
従来の配偶者同伴のライフプランセミナーを改め、55歳のときにキャリアの棚卸と人生設計を考える「ライフ&キャリアデザインセミナー」を導入。
成果 会社以外の人生を考える大きな機会に。プログラムは受講者からも高評価
「自分についてこれほど話したのは数年ぶり」「家族や地域社会との関わり方を見直そうと思った」など、終了アンケートには気づきの声が寄せられている。これまで仕事一筋だった受講者にとって、会社以外の人生を考える機会になっている。

取材日: 2014年9月22日

研修導入企業情報

日本水産株式会社 様

目的
ミドル・シニアの活性化
年代
50代
業界
メーカー(toC)

企業のご担当者様

人事部人事課 課長 吉田  桂子 様

人事部人事課
課長
吉田 桂子 様

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