「見て・感じて・自ら見つける」を重視した5~6年目女性社員向けキャリア研修を実施

女性活躍黎明期。まずは現状分析・課題共有からスタート

「女性の活躍推進」というテーマで取り組みが始まったのは2006年。女性にとって働きやすく魅力ある環境をつくりたい、長く働き続ける女性をもっと増やしたい、という考えからでした。当時から女性支店長はおりましたが、人数が少なく若手が将来イメージとして描きにくい状態でした。また、証券の仕事はハードな面もあり、未婚のうちから「仕事か育児、どちらか選択しなければならないのでは」という漠然とした不安を抱えがちなのが課題でした。まずは部署横断のメンバーを集めた「ウーマンパワーアップ・ワーキングチーム」を東海東京証券人事部内に発足。「そもそも女性が活躍するとはどういうこと?」「長く働くにはどうしたらいい?」などをざっくばらんな対話で探りました。その後、2012年に経営計画「Ambitious 5」の中で、「ダイバーシティ推進」を明確な経営戦略として掲げ、ダイバーシティ推進室を設置。社員の生の声を取り入れる方針は変えず、男性役員、育児を担う若手男性社員、未婚・既婚女性、ワーキングマザー、社員組合の方など12名からなる「女性活躍ワーキングチーム」をつくり、月1回のミーティングを約半年間実施して議論を重ねました。それを踏まえて着手したのは、さらなる制度の充実と意識共有。会社からの押し付けにならないよう、社員の気持ちの醸成としくみの変化の足並みが揃うよう、意識して進めていきました。

制度を見直し環境を整え、強い発信で意識をそろえる


配布されている
ダイバーシティ・バイブルや
各種ハンドブック

制度改正では、育児休業や短時間勤務の取得期間を延長。一般職の昇格制度にもテコ入れし、幅広いキャリアパスを用意しました。意識共有としては、「ダイバーシティ・バイブル」を作成。役員から新入社員まで全社員に一冊ずつ渡しています。冒頭にはトップからのメッセージ、続けて女性のライフイベントやワークライフバランス、多様性とは何か...など、各テーマごとに詳しく解説。バインダーにしたのは、制度の変更や会社の活動に合わせて増えていくテーマを追加できるようにするためです。最近では、男性の育児参画をテーマに取り上げ、追加配布しました。次回は介護について配布する予定です。追加資料が配布されればそのたびに手に取るので、目にとめてもらいやすくなるのも狙いのひとつです。また、育児休業に入る前の女性社員とその上司向けに配布する、ワークシート入りハンドブックも作成。ハンドブックを使い、女性社員とその上司、そしてダイバーシティ推進室の3者で面談を実施します。日頃は遠慮して聞けなかったことなどを、この面談でクリアにすることで、お互いが安心して育児休業を迎えることが出来ています。

運用面では女性向けのキャリア研修を企画

制度・しくみが整ったので、運用に手をつけるべく、研修の充実を図ることに。今まで実施した研修は、「営業職の女性のためのキャリア研修」「非営業の女性のためのキャリア研修」と、職種別のもの。かつ、仕事のスキルにフォーカスしていたため、今後は「キャリア」のステップを考える研修を展開することにしました。何社かに企画を出していただいたのですが、ワークライフバランスや女性活躍推進に重きをおいていること、テーマにぴったりの講師を事前にご紹介いただいたことが決め手で、ライフワークスに依頼しました。

「キッカケづくり」から「アクションにつなげる」2段階構成

当社では3年目までが若手、4年目からは一人前という扱いです。自分の色をどう出すか模索が始まる時期なので、まず4年目に「キャリアを考える」ことに触れる研修を入れました。フォローアップでもある5~6年目研修では、4年目でつくった「キッカケ」を具体的なアクションにつなげるため、「会社からの押し付けではなく、女性社員の中からビジョンがわいてくるコンテンツ」にこだわりました。こうした私たちの伝える漠然とした課題を、ライフワークスがロジカルに説得力あるものに仕上げてくださり安心しました。研修冒頭ではダイバーシティ推進室から「キャリアは会社が決めるのではなく自分で見つけてほしい。フィールドはたくさん用意するし、応援もする」とメッセージ。時代背景を踏まえたキャリアの考え方や、年齢で起こりやすい転機など、専門家ならではの講義の合間に、キャリア理論に裏付けられたワークの数々、ロールモデルとして活動する先輩女性社員のパネルディスカッションを織り交ぜることで、「見て・感じて・自ら見つける」という濃密な一日になりました。また、人前で話す経験のなかったロールモデルのために、急遽プレゼンテーション研修も依頼しましたが、的確・迅速に提案してくださり相乗効果があったと思っています。

女性のためのキャリアデザイン研修概要

日程 1日間
対象 4年目研修を受講している5〜6年目女性社員 41名
コンセプト
  • 自らを知り、自らが描くキャリアビジョンに対して、自発的な行動を促進する
  • 「見る・感じる・自ら見つける」ことのできるワークを導入
目的 ダイバーシティ推進に向けて、リーダー(管理職予備軍)もキャリアの選択肢に入れたキャリアプランを考える

多様なシナリオが見えて行き詰まりが解消。上昇意欲もアップ

「もやもやしていてもいい。そんな中、自分なりの道を見つけ、迷いながらでも進むことが大事」と、伝えたいと思っていたので、「みんな迷っているのだとわかって安心した」「先輩の話から壁を乗り越える工夫がわかって良かった」などの感想を聞いてうまくいったのではと感じています。また、アンケート項目では、「この会社にいると自分が成長できると感じる」という問いに、約90%がYesと回答。上昇意欲が増していることも伝わってきました。経営計画「Ambitious 5」終了の2017年3月までに女性管理職比率を20%にするという目標を掲げていますが、2015年3月時点で17.4%まで進捗しています。今回のキャリア研修も、今後の管理職比率向上に弾みをつけそうです。

推進室の役割は「バリエーション」を示し続けること

女性の活躍を推進するために、私たちダイバーシティ推進室は、たくさんの活躍の仕方について「見て・感じる」機会を提供することが重要だと思っています。「どう活躍するか?」は、女性社員一人ひとりが研修の機会を使って考えたり、日々の行動から見つけていくものではないでしょうか。今後は、ロールモデルのバリエーションを増やす予定。もっと多様なタイプのロールモデルに活躍いただき、一層のダイバーシティを進めたいですね。また、4~5年目研修の後は、個人個人の課題に即した研修が必要かもしれません。
ライフワークスには、我々の気づかない課題を踏まえて、よりブラッシュアップした企画をご提案いただきたいです。経験豊富で多才な講師陣にも期待しています。

この事例のまとめ

課題 キャリアパスをイメージするだけでなく、具体的なアクションにまでつなげたい
目の前の仕事で精いっぱいの状態から、キャリア自律を自覚するキッカケとなった4年目研修。5~6年目研修では、キッカケどまりではなく具体的なアクションの促進を目指しました。
方法 「見て・感じて・自ら見つける」ための多様なコンテンツを用意
ロールモデルの話や講師の解説、複数の未来シナリオを作成するワークを通じて発想を豊かに。経験学習のフレームを学び、今後の環境変化に対応できる土台をつくりました。
成果 漠然とした不安から、具体的な乗り越え方に意識がシフト
今後のワーク・ライフイベントを予測し、どのように乗り越えるかまでイメージできるように。漠然とした不安で動けない状態から、具体的な行動計画を立てられるように変化。

取材日: 2016年3月15日

研修導入企業情報

東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 様

目的
女性の活躍推進
年代
20代
業界
保険・金融

企業のご担当者様

人事企画部  ダイバーシティ推進室 室長 岡田 公代  様

人事企画部 
ダイバーシティ推進室
室長
岡田 公代 様

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