社内講師による40代向けキャリア研修プログラムでミドル社員のキャリア自律を支援

40代社員の変化対応力を高め、キャリア自律を促す場を

ソフトバンクが主な事業領域とする情報産業は技術やビジネスモデルの変化が激しい世界です。こういった環境の中で、当社では年代、性別などの属性に関係なく実力に応じ期待役割を決めるミッショングレード制度を採用しており、社員全般にも変化を楽しみ、常に前向きに進化しようとする姿勢が見られるのが特徴です。しかし、世の中一般的には、キャリアの分水嶺期にある40代社員は他世代に比べてキャリアの停滞感を抱きがち。また、ソフトバンクにおいては、役職バトンタッチ制度(部長55歳・課長50歳)など大きなキャリアイベントが視野に入る時期でもあり、他社よりひとまわり早く、閉塞感や不安によるモチベーション維持の難しさが見られがちなのが課題でした。そこで、これまで十分培ってきた環境変化への対応力を再確認することで、今後のキャリアや成長へのアクションを主体的に検討できる場を作ろうと、40代社員を対象としたキャリア研修の開発・実施を決定しました。
当社では2009年から研修の内製化を進めており、全体の約9割の研修を選考試験で講師として認定された社員によって行っています。ただし、今回は新設の研修となるため、外部のパートナーと共同でプログラムの開発に取り組むことを決定。パートナーには、当社の方針への理解とミドル層向け研修における高い専門性を求めており、ライフワークスさんと出会えたことは幸運でした。研修開発にあたって大切にしたのは「ソフトバンクらしさ」。最初にご提案いただいたプログラムは汎用性が高いものでしたが、当社の要望をお伝えしたところすぐに「成長」「変化対応」といったコンセプトを打ち出した内容に変更してくださり、心強さを感じました。また、キャリアを重ねた社員に納得感を持って研修を受講してもらうには、プログラムが筋の通った理論のもとに構成されていることが重要です。その点においてもライフワークスさんのご提案は満足のいくものでした。

「キャリア研修」に必要な資質を育成する社内講師トレーニング

プログラムの開発にかけた時間は約半年で、うち約1カ月半でパイロット版が完成。人事や社内講師がトライアル受講を行い、そのフィードバックをもとにチューニングをしていきました。社内講師にとってパイロット版の受講は受講者の理解にもつながり、深い学びがあったようです。また、ライフワークスさんには社内講師のトレーニングにおいてもご協力をお願いしました。当社の社内講師は専任ではなく普段は現場で活躍しており、受講者にとって身近な存在である彼ら、彼女らからキャリア自律の大切さを伝えることの意義は大変大きいと考えています。一方、キャリア開発が専門ではないので、「理論背景やフィードバックの引き出しが少なく、受講者の多様性に対応しづらい」「個人の得意分野やパーソナリティの影響が出やすい」といった課題もあります。特に当社の社員は個性が強く、各自のノウハウを伝えることにおいては得意なのですが、キャリア研修の場合は受講者の思いを引き出し、受容することが大切です。外部講師の方のご指導によってそういった点をフォローいただき大変勉強になりました。

研修受講を通し、社員のキャリアビジョンの納得度が高まった

研修プログラム完成後は、希望者を対象にトライアル研修を実施しました。講師は2人体制に。講師トレーニングでのライフワークスさんの見立てをもとに、タイプの異なる人材を選定して受講者の多様性への対応を図りました。1日目と2日目の研修の間にインターバルを2週間ほど設け、「経験の棚卸しを詳細に行う」「新しいことを初めてみる」「先輩にインタビューしてくる」といった課題を出したのも工夫した点です。今回の研修の目的はノウハウの習得ではなく、受講者それぞれが自身のキャリアビジョンを明確化し、行動変容のためのテーマを定めること。1日目の内容をじっくり振り返ったり、研修の限られた時間ではできない課題に取り組んだりすることで、目的をきちんと達成しやすくなると考えたわけです。
研修後のアンケートでは「フレームワークで体系的にキャリアを整理できた」「長期的なキャリアビジョンを考える時間を持ててよかった」と好評でした。また、研修ではキャリアビジョンを書面で作成するだけでなく、メンバーへの発表をゴールに。その効果もあってか、研修受講前と受講後のアンケートを比較すると、自身のキャリアビジョンへの納得度が飛躍的に上昇。当社には自身の成長や業務に必要なさまざまなスキルやノウハウを学べる「ソフトバンクユニバーシティ」、新しい事業領域に挑戦できる「全社フリーエージェント制度」「全社ジョブポスティング制度」などキャリアビジョンを具体化するためのインフラは整っています。キャリアの方向性さえ定まれば行動変容が起きやすい環境なので、研修の効果は大きいと期待しています。

プログラムの概要

プログラム名 40代キャリアデザインワークショップ
日程 2日間
(1日目8時間/2日目4時間)
対象 40代の正社員(希望者)
研修1日目
  • 研修のねらいとプログラムの流れの理解
  • 自分のVALUEを明確化する
  • 自分の特徴を知る
  • これまでのキャリアを振り返る
  • 5〜10年後の変化とキャリアへの影響をイメージする
研修2日目
  • ミドル期のキャリアづくり
  • 自己の価値・可能性を高めるポートフォリオをつくる
  • キャリアビジョンの発表

創業者の精神を受け継ぎ、年齢を問わず全社員に活躍してほしい

トライアル研修のフィードバックをもとに微調整を行い、2017年秋に本リリースを予定しています。リリースまでの課題は大きく2つあり、ひとつは社内講師の育成を進めて受講者のさまざまな価値観に対応できる引き出しを増やすこと。社内講師からは「トライアル受講やトレーニングを通して意欲が高まり、もっと勉強したい」という声も多く、頼もしく感じています。2つ目の課題は受講者公募にあたっての、きちんとした社内プロモーション。「40代社員の変化対応力強化やキャリア自律を目指す」という、かなり狙いを絞って設計したプログラムなので、その点をきちんと伝えて研修内容と受講者の目的にミスマッチが生じないようにすることが大切だと考えています。
研修による社員のキャリア自律支援の取り組みは当社ではまだ始まったばかりです。当社の経営戦略や人材戦略においてのキャリア支援プログラムの位置づけを整理した上で、今後は50代社員や女性社員など、多様なキャリア課題に応じた施策や個人面談の実施など研修後のフォローアップ体制の整備も検討中です。

この事例のまとめ

課題 40代社員のキャリア停滞感や、モチベーション維持の難しさが課題に
事業特性上、高い変化対応力を持つ社員が多い中、キャリアの分水嶺期にある40代社員にキャリア停滞感や、役職バトンタッチ制度といった将来のキャリアイベントへの不安によるモチベーション維持の難しさが見られた。
方法 40代の社員を対象としたキャリア研修を開発し、運用する社内講師を養成
培ってきた変化対応力を再確認し、成長への主体的なアクションを起こすための研修プログラムをライフワークスと共同で開発。運用する社内講師のトレーニングも行った。
成果 トライアル研修受講者の「自分のキャリアビジョンに対する納得度」が高まった
研修プログラム完成後、社内講師2名体制でトライアル研修を希望者に実施。受講前後の受講者に対する調査によると、研修実施によって「自分のキャリアビジョンに対する納得度」が飛躍的に高まった。

取材日: 2017年6月20日

研修導入企業情報

ソフトバンク株式会社 様

目的
ミドル・シニアの活性化
年代
40代
業界
情報通信

企業のご担当者様

人事総務統括 人事本部 採用・人材開発統括部 日下部 奈々 様

人事総務統括
人事本部 採用・人材開発統括部
日下部 奈々 様

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