専門特化して経験を積んだミドル・シニア社員向けに、広い視野で自らの持ち味の発揮を促す研修を実施

ミドル・シニア社員が視野狭窄に陥らないために

金融企業E社の事業分野は幅広く、社員には担当分野・地域ごとに高い専門性が求められています。そのため、とくにミドル・シニア社員においては、担当業務に特化し仕事に邁進しているがゆえに、自身を取り巻く社会や事業環境の変化、さらには、今後のライフやキャリアについて十分に考えられていないのではないかという懸念が教育・研修担当部門にありました。

また、各事業分野において今後も市場の広がりが見込めることから、ミドル・シニア社員にも引き続きモチベーションを高く保ち、強みや持ち味を発揮して事業に貢献してもらいたいという会社としての期待もありました。そこで、まずは50歳社員向けにキャリア研修が導入されることになり、ライフワークス にお声がけいただきました。

50歳社員に「他者を知る」ことを重視した研修を実施

E社からの与件に基づき、これまでのキャリアを振り返り、強みや持ち味を再確認するワークや50代以降に起こりうる変化への対応を考えるためのケーススタディなどを行なった上で、今後のライフ・キャリアプランを立てる研修を設計しました。プログラムを通して重視したのは、グループワークに多くの時間を割いて「他者を知る」こと。というのは、担当分野に特化して業務に邁進してこられた方々ですから、他分野の業務について知る機会に乏しく、ともすると視野狭窄に陥っている可能性があるためです。少しでも視野を広げ、自らの専門性をいつもとは異なる角度から捉えたり、仕事における閉塞感を打開したりする機会になることをねらいとしました。

また、これから50代、60代を過ごしていく中では、役職定年、介護、再雇用など、仕事だけでなく人生の転機も訪れます。変化に対応し豊かに生きていく上で大事にしたいことは何か、他者の生き方・考え方を知り、自らの大事にしたい価値観を見つめ直す機会にもなるよう工夫しました。例えば、講師を多彩な趣味を持つ者とする、最初のイントロダクションで人生100年時代を強く意識づける映像を見てもらい、ケーススタディに役職定年や介護といった話題を取り上げる、などです。また、視野を広げるという第一のねらいに沿って、今後のライフ・キャリアプランを描くシートには、「仕事に関するプランを」などの制限は設けず、受講生に自由な発想で今後のプランを描いてもらえるようにしました。

こうして研修を実施した結果、活発な議論や自己開示がなされ、最終的には多くの方が十分なプランシートを書くことができていました。受講生の中にはすでにセカンドキャリアを見据えて準備を始めている方も含まれており、そういった方々との相互啓発も進み、研修をきっかけにそれぞれの今後のキャリア・ライフについての考えが整理されました。

45歳社員にも「強みの発揮」に重きを置いて研修を拡張

教育・研修担当の方からも高評価をいただき、「より早い段階でキャリア研修を実施したい」というご要望を受け、45歳社員向けのキャリア研修も実施されることになりました。そこで、45歳社員向けについては、40代半ばというまだまだキャリアの発展期にある方々だということを鑑み、「他者を知る」ことを重視する点は維持したまま、プログラム内容を「仕事における専門性・強みの発揮」に焦点を当てた内容にアレンジしました。

具体的には、個々人の特徴を分析するツールの導入、50歳社員向け研修ではライフの変化も含めたケーススタディを行っていた「環境変化を考える」というセッションを、「これから周りで起こりうる社会・仕事の変化」「その変化に対して自分の持ち味・強みをどのように発揮できるか」をグループで議論する内容に変える、などです。また、講師も、キャリアの考え方を筋道を立ててわかりやすく説明できる者を配置しました。

その結果、受講者からは「ほかの人の話を聞けてよかった。自分の仕事をする上で刺激になった」という感想を多数いただき、「他者を知る」「視野を広げる」というねらいを達成できたと感じています。また、合併を重ねてきた歴史のある企業ということもあってか、「仲間ができた」「同年代にこんな人がいたのかと励みになった」という感想も多く聞かれ、モチベーションアップにつながったことがうかがえました。

教育・研修担当の方からは、とりわけ、講師について、50歳社員向け研修の講師のキャリアや趣味の多彩さが、受講者に対するロールモデルとして適していたこと、また、45歳社員向け研修の講師の筋の通ったキャリアの考え方とその伝え方に受講者が共感を覚えていたことなどを評価していただきました。

同社は、今後事業を進化させていくにあたり、社員一人ひとりが十二分に力を発揮することが重要だと考えています。当社も、その考えに沿って、ミドル・シニア層の社員の方々が広い視野を持って専門性を発揮していけるよう、引き続き研修お手伝いしていきます。

この事例のまとめ

課題 高い専門性が求められるがゆえの視野狭窄を防ぐ
事業分野や担当地域ごとに高い専門性が求められる企業。そのため、とくにミドル・シニア層において仕事に邁進するがゆえに環境変化や今後のライフ・キャリアに目を向けられていない状態にあった。
方法 環境変化や他者の知見に目を向けるキャリア研修を45歳と50歳に実施
45歳と50歳の社員に対して環境の変化や他者を知ることを重視したキャリア研修を実施。キャリアの棚卸しや環境の変化について考えるためのグループワークに時間を割きつつ、視野を広げることを促した。
成果 受講者の視野が広がるとともに、モチベーションの向上が見られた
45歳、50歳とも自己開示と相互啓発が進み、視野を広げるというねらいが達成された。また、45歳では仕事へのモチベーションアップが見られ、50歳では今後のキャリア・ライフについて考えを整理するきっかけとなった。

研修導入企業情報

金融 E社

目的
ミドル・シニアの活性化
年代
40代 50代
業界
保険・金融

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