自律的なキャリア形成に向けた、30代向け研修の実施

30才代の社員に今後のキャリアを捉え直してほしい

当社の社員は、新卒入社から数年間、特定分野の経験を積むことによって専門性を高めることが多い傾向にあります。これにより、キャリアの基礎となるスキルを身につけ、最初の得意分野を確立することで、エンジニアやビジネスパーソンとして独り立ちしていきます。
その一方、新卒入社から数年も経てば、世の中の経済動向や技術潮流、お客様のニーズ、会社が社員に期待する役割や貢献のあり方も変化します。会社生活でだけでなく、一般社会で同年代の人たちが活躍する姿に刺激されたり、プライベートで大きなイベントを経験したりして、自分自身の内面に変化を感じる社員もいるでしょう。
このように、周囲の環境や期待だけでなく、自分の「できること」「やるべきこと」「やりたいこと」も変化しているのに、入社以来慣れ親しんだ領域を広げたり、深めたり、新たな領域にチャレンジしたりすることをためらう社員を見かけることがありました。

そこで、比較的大きな成長と変化が期待される30才代の社員を対象に、一度立ち止まって、周囲の環境変化と自分自身の可能性とを、俯瞰的に捉え直す機会を設けることが必要と考えました。ここで私たちがねらいとしたのは、健全な危機意識をもたせることだけではありません。研修の中で、自分たちが積み上げてきた経験や実績を整理することで、さらなる成長の可能性に気づいてもらうことも考えました。今や彼ら・彼女らが精通する仕事に対しても、初心者だった時期があり、チャレンジと失敗も経験して、現在の地位を築いた、それを考えれば、今から新たな領域に挑み、一層の飛躍を遂げることも十分に可能だ、ということを自覚して貰いたかったのです。

そうしたねらいを踏まえて、現在は研修の対象を30才と35才に設定し、自分がありたい姿になるための「行動計画」を作成して貰っています。そして、受講後にその「行動計画」を上長と共有することをお願いしています。今後のキャリア実現に向けて修得・経験したい内容を、上長や所属部門の方針・人財育成計画と摺り合わせるためです。これにより、研修受講機会が提供されたり、新たな業務に取り組むチャンスが与えられたりして、「行動計画」の実行性が高まることを期待しています。

自己理解検査をもとに、強み・特徴を棚卸しする

研修に関して当社として力を入れたかったのは、次の3点です。
1つ目は、研修の冒頭で会社からの期待を強く伝えることです。これにより、会社を動かし、社会やお客様に貢献するのは、自分たち自身だということを自覚して欲しい。そして、環境変化に合わせて、あるいは環境変化を先取りして専門性を磨き直したり、その幅を周辺領域にまで広げたり、新分野にチャレンジしたりする動機づけにしたい、と考えました。

2つ目は、自己理解検査を用いた自己の特徴・強みの棚卸しを重点的に行うこと。対象社員の多くは、まだ豊富で多彩な経験・キャリアを積んできたとは言い難いですから、自己判断だけで自らの可能性を狭めることがあってはなりません。そこで、客観的な検査結果をもとに自己を棚卸しすることが重要だと考えました。

3つ目は、会社が社員にめざして欲しい人財像を定義した「日立ITプロフェッショナル認定制度」「グローバル人財制度」や、必須研修制度などの周知です。
「将来ありたい姿」をイメージして貰うには、会社として社員にめざして欲しい姿を明確にすることも重要です。日立グループは、ITプロフェッショナル認定制度の中で、高度スキル人財の職種とレベルを具体化していますので、研修の場でこれらを改めて紹介し、受講生に自律的成長を促しています。
そうやって成長するためには、担当業務を通じての学びだけでなく、担当業務よりも高度なレベルや未経験の領域に踏み込むことが重要です。研修はそのための有効な手段のひとつですので、「行動計画」では、ITプロフェッショナル認定取得のための、あるいは所属部門ごとに選定された必須研修などをベースにした研修受講計画も具体化して貰っています。

これら3点をベースに「外部環境の変化や会社の方針を自分ごととして再認識する→自分の特性を把握する→これらを踏まえて今後のキャリアプランを考える」という構成でライフワークスさんに研修をデザインしてもらいました。
こうした研修を、30才と35才に実施することで、30才でこの研修を経験した社員が、5年後にフォローアップとなる研修を受講できる仕掛けにしています。こうすることで、35才時点での研修では、30才の時に立てた目標と現実とのギャップを確認することができます。

30代向けキャリア研修の概要

日程 半日
対象 30歳/キャリアスタートアップ研修
35歳/フォローアップ研修
各20~25名程度
プログラム概要
  • 会社制度説明等
  • 自身の特徴を理解する
  • 環境変化を考慮したキャリアをイメージする
  • キャリアプラン作成

社員一人ひとりがキャリアに向き合い自らに対する気づきを得る機会ができた

ただ、社員の自己分析は、上長からの評価や、職場での立ち位置に影響されがちで、新たな自己発見には繋がりにくいのが実態です。そこで、こうした固定観念を外して、みずからの可能性やポテンシャルに気づくきっかけとするには工夫が必要でした。
その意味で、自分自身を客観的・多面的に理解するツールを提供してくださったり、受講生同士のディスカッションを喚起したりと、多彩なアプローチで研修を進めて下さったライフワークスさんに感謝しています。研修資料の検討においても、社員が将来ありたい姿を検討しやすく、かつ研修受講計画を人事部がフォローしやすいよう、多くの要望をしましたが、いずれにも柔軟に対応いただきました。

おかげさまで、研修後アンケートで「キャリアに向き合うきっかけができた」「現実を知って焦る気持ちが出てきた」「自己理解検査を通して、自分の性格や行動特性について発見できた」「ライフステージや部署が異なる社員と意見交換したことで、考え方や視点の違いを知ることができた」などの声が挙がっていたことから、「気づきを与える」というこの研修のねらいは達成できたと感じています。

現在取り組んでいる課題は、「行動計画」の進捗フォローアップ

「外部環境の変化や会社の方針を自分ごととして再認識する→自分の特性を把握する→これらを踏まえて今後のキャリアプランを考える」という構成は、社員に気づきを与える上で非常に良いストーリーですので、基本的な構成はそのままにして今後も継続実施しますが、現在、課題として取り組んでいるのは、研修後のフォローアップです。30才でたてたキャリア開発目標を、35才で再点検する大きな枠組みだけでなく、受講者が上長との面談で合意した「行動計画」をもっと短い周期で確認したいと考えました。その第一歩として、研修受講状況を「行動計画」と照らし合わせる仕掛けを導入しています。今後は、こうしたフォローアップの有効性を確認した上で、さらに対象を広げていければ、と思っています。

この事例のまとめ

課題 変化する環境に対応し、自律的にキャリアを形成できる社員を増やしたい
慣れ親しんだ領域にとどまりがちな社員を見かけるようになった。外部環境、会社からの期待の変化と、自分自身の可能性を俯瞰的に捉え直すきっかけづくりが必要だと考えた。
方法 30才代の社員が5年おきに、環境の変化と自分自身を見つめ直す機会を設ける
30才と35才の社員が、社会やお客様の変化や、会社のめざす方向性、と自分自身を客観的に見つめ直し、将来めざししたい姿とその実現に向けた「行動計画」を策定。
成果 環境の変化と多面的な自己理解をベースに、今後のキャリア開発計画を明確化できた
環境の変化と多面的な自己の棚卸しにより、新たな気づきを得ることで、社員一人ひとりが将来めざしたい姿とその実現に向けたキャリア開発の行動計画を上長と共有できた。

取材日: 2018年5月11日

研修導入企業情報

株式会社日立ソリューションズ 様

目的
若手の成長支援・リテンション
年代
30代
業界
情報通信

企業のご担当者様

人事総務本部 人事部 担当部長 近藤 寛人 様

人事総務本部
人事部
担当部長
近藤 寛人 様

人事総務本部 人事部 人財開発グループ 主任 槇田 理恵 様

人事総務本部
人事部 人財開発グループ
主任
槇田 理恵 様

人事総務本部 人事部 人財開発グループ 主任 川端 伸和 様

人事総務本部
人事部 人財開発グループ
主任
川端 伸和 様

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