キャリアアドバイザーのスキルアップと体制強化に向けた企画を実施
キャリアコンサルティング面談の仕組みを立ち上げて見えてきた新たな課題
45歳以上の従業員を対象にキャリア研修を実施し、そのフォローアップのために人事部門の担当者5名がキャリアアドバイザーとしてキャリアコンサルティング面談を行うという取り組みを行っているL社。この仕組みの立ち上げから数年が経過し、新たな課題が生まれていました。
それは、キャリアアドバイザーの5名のスキルにばらつきがあることと、活動の目的やゴールについての考えが個々に異なり、チームとして共通意識を持てていないことでした。その状態は、将来的にキャリアアドバイザーをシニアの職域にするべく、活動の意義を確かなものにし、かつ、社内で十分に認められるだけの効果を示したいという人事部門の管理職の考えにはほど遠いもの。どのようにして改善していけばよいだろうかとライフワークスにご相談をいただいたのが、支援のきっかけです。
キャリアアドバイザーのベクトル合わせ、スキルアップのための施策を実施
キャリアアドバイザーのスキルのばらつきや、目的意識の共有不足の背景には、5名とも現場からの異動者でキャリアアドバイザーとしての経験がまだまだ浅いことや、それぞれに全国のサービス拠点を飛び回って面談を行なっているため、5名がそろって会う機会がなく、社内のチャットツールなども活用しきれず情報共有ができていないことなどがありました。
このようなL社の状況をうかがい、この状況の改善し、かつ、キャリアコンサルティング面談の仕組みの価値向上をめざす一歩目の取り組みとして、「チームとしてのベクトル合わせのためのワークショップ」と、「キャリアアバイザーのスキルアップのためのトレーニング」の実施を提案し、採用していただきました。
ワークショップの実施を提案したのは、キャリアアドバイザーのスキル不足だけが課題であれば、トレーニングを行えば改善できますが、この活動の意義を確かなものにし、価値を高めていくには、キャリアアドバイザーの目的意識のベクトルを合わせ、共通認識を持った状態にすることが不可欠だと考えたからです。
ワークショップは、「チームのバリューを考える」というテーマで行い、ライフワークスのコンサルタントがファシリテーターとなって「この活動を行なっている意味は何か?」「私たちはどんな価値を提供するチームなのか?」「その価値の提供に向けての課題は何か?」「その課題はどのように解消していけばよいのか?」などについて5名で議論していただきました。その結果、参加者同士がチームのミッションを言語化し、共通認識を持つことができました。
また、スキルアップのためのトレーニングは、複数回に分けて実施しました。まずは事例検討会という形で、これまでに行なった面談で反省点の残るものを各自が持ち寄り、どのような進行や声かけをすればよかったのかを皆で検討し、レベル合わせを行い、その上で、個別にトレーニングを実施したのです。いずれも、ライフワークスのスーパーバイザーがファシリテーションとトレーニングを担当しました。
チームとしての目的を共有し、面談レベルのばらつきも修正できた
この2つの取り組みの結果、次の成果を得られました。1つめは、バラバラだった5名の結束が固まり、チームとして共通の目的意識をもって活動する状態にできたこと。そして、2つめは、面談手法やスキルの底上げができ、面談レベルのばらつきを修正できたことです。
ただし、L社の課題はこれで解決というわけではなく、「キャリアアドバイザーをシニアの職域とする」という構想を見据えて、現在も次の2つの課題の解決に向けた支援を行なっています。
1つめは、「キャリアコンサルティング面談を通じて組織の課題を抽出し、経営陣に提言を行う」という仕組みの構築です。キャリアコンサルティング面談がL社にとって意義のあるものであることを経営陣に証明するには、「組織の課題を抽出し、経営陣に提言を行う」という機能が不可欠です。そのために、面談記録を効果的に集約・蓄積する仕組みや、蓄積された記録を分析して組織の課題を抽出し、経営陣に提言する方法や仕組みの構築に伴走しています。
2つめは、キャリアコンサルティング面談の対象を45歳未満の社員に広げるにあたっての、面談内容・プロセスの構築です。若手社員に離職や精神的な不調の訴えが見られることもL社の課題であるため、面談の対象を45歳未満にも広げ、エンゲージメント向上や職場や仕事・キャリアについての悩みを打ち明ける場としたいという意向を受け、年代に応じた面談内容・手法の検討・構築の支援を行っています。
この事例のまとめ
課題 | キャリアアドバイザーのスキル・目的意識のばらつきを改善したい キャリアカウンセリング面談を始めて数年、キャリアアドバイザーのスキルや目的意識のばらつきが顕在化してきた。今後、より意義のある仕組みにするには、スキルアップと共通の目的意識を持つことが不可欠だった。 |
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方法 | ベクトル合わせのためのワークショップと、スキルアップのためのトレーニングを実施 チームとして共通の目的を持つべく、ベクトル合わせのためのワークショップを実施。加えて、事例検討会をはじめとした、スキルアップのためのトレーニングも実施した。 |
成果 | チームとしての目的の言語化と、面談レベルのばらつきの修正が実現 ワークショップによってチームとしての目的を言語化。また、トレーニングによって面談手法やスキルの底上げができ、面談レベルのばらつきを修正できた。 |
研修導入企業情報
サービス L社
- 目的
- ミドル・シニアの活性化
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