若手世代の価値観や考え方の変化を機敏に捉え、キャリア研修をリニューアル

nittetu_925.JPG

この事例のまとめ

当社サービス導入前の状況 体系的な教育制度により社員の自律的なキャリア開発を支援し、手ごたえを得ている一方で、理想と現実のギャップから漠然と将来に不安を感じている若手社員の存在も一部に見受けられ、リテンション強化の必要性を感じていた。
課題解決の方法 入社4年目に実施していた「若手育成締めくくり研修」を「キャリアデザイン研修」としてバージョンアップさせ、入社3年目に実施。「内的キャリア」から仕事を考え、「ありたい姿」に向けた現在地からの成長計画を具体的に描く機会を設けることにより、組織目標と本人のキャリアを紐づけ、キャリアを主体的、自律的に考える力を養う。
成果

「キャリア開発に対する意識調査」において「自律的にキャリアを考えるようになった」と答えた研修受講者の割合が、研修前の5割以下から研修後は8割強にアップ。また、研修後のアンケートでは「自分の軸がわかった」という声が数多く寄せられ、定量・定性の両面で成果を得ることができた。

日本製鉄を母体とし、製造、金融、通信など多様な業界向けにITソリューションやシステム開発、運用サービスを提供する日鉄ソリューションズ株式会社様。

若手社員の意識変化に伴い、従来のキャリア研修の見直しに踏み切り、2024年度よりライフワークスをパートナーに「キャリアデザイン研修」を実施されています。今回の取り組みの背景や若手社員のキャリア支援に対する考え方、研修の効果などについてお話を伺いました。

ライフワークスについて

設立から20年以上キャリアに特化し支援している、ノウハウや事例を活かしご提案可能です。
ぜひお気軽にご相談くださいませ。
従業員向けキャリア支援について相談する

入社後3年間を「若手育成期間」と位置づけ、社員の「自立」から「自律」をサポート

── はじめに、人材育成に対する御社の基本的な考え方をお聞かせください。

生産設備を持たない私たちにとって人材はまさに資本。日鉄ソリューションズ(NSSOL)では、社会関係資本をベースとした事業活動の結果である「営業利益(財務資本)」に人的資本と知的資本の蓄積を示す「広義人件費」と製造資本等の蓄積を示す「減価償却費」を加えたものを「NSSOL付加価値」と定義し、重要な経営指標のひとつとしています。「広義人件費」は労務費だけでなく採用教育費なども含みます。ちなみに、2024年度の人材育成費は約12億円、社員数は本体で大体4000人なので、従業員一人あたりの年間教育費は約30万円です。 人材育成における当社のキーワードは「自律的なキャリア形成の支援」。環境変化の激しい今、組織がその変化に対応するには多様なスキル・経験を持つ人材が協働し、新たな価値を世の中に提示していくことが求められます。 「人材の多様性」の実現には採用も大事ですが、入社後に社員がそれぞれの力や強みを伸ばし、発揮できる環境を整えることが重要です。そうした力や強みは、会社があらゆる場面で「これをやりなさい」「あれを学びなさい」と主導するのではなく、社員が自分で考えて動いてこそ蓄積されます。社員が自律的に学び、自ら新しい価値を生み出そうと行動する。そのサポートをするのが会社の役割だと考えています。

── 社員の「キャリア自律」を重視されているのですね。

その通りです。とは言え、キャリアを個人だけの問題と考えているわけではありません。個人と組織が対話できる関係性を大切にしており、一人ひとりが上司とともに目標を設定し、「OJT」「Off-JT」「自己啓発」を通じて能力開発を行なっています。社員が自分の経験やスキルを可視化し、培うべきことは何かを把握し、学びの場やキャリアの方向性を自ら選択して成長できるようなプラットフォームも用意しています。 とくに、入社3年間は「若手育成期間」と位置づけて、各部署や上司が育成計画を策定し、業務アサインやOff-JTを通じてPDCAサイクルを回すことにより、社員が自ら考え、自発的に行動する「自律」できるようサポートしています。若手育成期間の研修はITの基礎を学ぶ2カ月の集合研修、職種ごとの技術研修のほか、同期とともに入社後の1年間を振り返る「2年目研修」と、2024年度に本格スタートした入社3年目の「キャリアデザイン研修」を実施しています。 「キャリアデザイン研修」導入前は、キャリアカウンセラーを交えて育成計画の確認・見直しを行う「三者面談」と、それまでの経験やスキルなどを棚卸しする「若手育成締めくくり研修」を入社4年目に入る段階で実施していました。この研修を若手社員のキャリア意識の変化に合わせて1年前倒しし、ライフワークスさんをパートナーに内容を再構築したものが「キャリアデザイン研修」です。

教育研修制度・キャリアパス

引用元:日鉄ソリューションズ株式会社「教育研修制度・キャリアパス」ページより

若手世代の特徴は「自己成長意欲の高さ」と「社会課題の解決への関心」

── 「キャリアデザイン研修」導入の背景には、若手社員のキャリア意識の変化があったのですね。どのような変化でしょうか。

近年の若手社員は自己成長への関心が強く、自律的なキャリア意識も高い傾向があります。一方で理想と現実のギャップを感じやすく、キャリアの見通しが立たないことによる漠然とした不安がモチベーションの低下を招くケースが入社3、4年目の社員に散見されました。

入社後3、4年が経ったころというのは、仕事に慣れて少し余裕ができ、一般的に離職が増える時期でもあります。そこで、キャリアの棚卸しをするだけでなく、社内でどのようなキャリアを描けるか、そのために何をすべきかを一度立ち止まって考える機会を若手育成期間が終わる前に実施し、リテンションにつなげる必要性を感じました。

── 研修の再構築にあたり、とくに重視されたことはありますか?

自らの価値観からキャリアを考える、という点です。最近の若手社員には「社会課題の解決」への関心が高いという傾向もあり、目先の仕事だけでなく、「自らの仕事がどのような社会的価値を生み出し、社会とどう繋がっているのかを知りたい」という思いを抱いています。

自分の価値観や存在意義まで深く掘り下げるとともに、仕事の社会的意義を理解することによって、本人の「ありたい姿」と組織目標を紐づけ、次に踏み出すべき一歩がイメージできるような研修を実施すれば、足元の不安感を解消でき、社員の自律的なキャリア形成の支援と同時にエンゲージメント向上にもつなげられるのではと考えました。

「自分の軸がわかった」。
トライアル実施後の受講者の声

── 弊社をパートナーにご選定いただいた理由をお聞かせください。

NSSOLの人材育成理念とライフワークスさんが目指す「キャリア自律の支援」という考え方が合致していること、また、当社の課題解決にフィットする提案をしてくださったことが決め手でした。受け身ではなく社員が主体的に参加できること、そして、社員が自分の価値観を深く掘り下げられるようなカリキュラムを提供できることがパートナー選定にあたっての必須条件でした。

「キャリアデザイン研修」はキャリアの考え方について理論的な背景にも触れつつ、自分の価値観を深く探るワークショップやディスカッションを中心に構成されています。2023年度のトライアル実施後のアンケートでは「自分の軸がわかった」という回答が目立ちました。「学生時代にもキャリア教育を受けてはいたが、キャリアについてこれほど深く考えたのは初めて」という声もあり、印象的でした。研修が当初の狙い通りに機能していると判断し、継続的な実施を決定しました。

「キャリアデザイン研修」の概要

日程 1日(7時半)
対象 入社3年目の社員約190名 (2024年度のみ入社3年目・4年目の社員)
プログラム概要(一部抜粋)
  • 仕事の価値観を探る
  • 自分の強み・持ち味を知る
  • キャリアを振り返る
  • 今後のキャリアを考えるための知見を得る
  • これからのキャリアを考える

サービス資料を請求

── トライアル実施を踏まえ、2024年度以降のプログラムに変更を加えた点はありましたか。

他者との対話を通してより深い気づきを得られるよう、ディスカッションの時間を少し増やしたくらいです。実施前にライフワークスさんと十分に意思疎通ができていたおかげで、変更すべき点はほとんどありませんでした。

「人材こそ資本」。
会社の思いや考えを発信する重要性を再認識した

── 2024年度は20回(キャリア研修の再構築にあたり2023度はトライアル実施の1回のみだったため、入社3年目の社員に加え4年目の社員を対象とした)の「キャリアデザイン研修」を実施されました。研修の手ごたえはいかがでしたか。

研修前後で「キャリア開発に対する意識」がどう変わったかを調査した結果、「自律的にキャリアを考えられるようになった」と回答した社員の比率が研修前は5割弱でしたが、研修後には8割を超えました。

また、受講後のアンケートでは「自分の軸がわかった」「キャリアパスを描けるようになった」という声のほか、「久しぶりに同期と会い、キャリアに関する考えを聞けてよかった」「グループディスカッションでさまざまな気づきを得られた」といった声が数多く寄せられました。

当社は全国に拠点を持つことから、研修の企画当初は利便性を考えてオンライン開催も検討していたのですが、ライフワークスさんからのご助言もあってオフラインでの開催を選びました。顔と顔を合わせることによって議論が深まったり、信頼関係の構築にもつながり、選択に間違いはなかったと感じています。

これまでの取り組みから定量・定性ともにポジティブな結果が見られ、手ごたえを感じていますが、研修を含めキャリア支援施策の効果は短期で判断できるものではありません。今後も取り組みを継続し、中長期的視野で効果測定をしていきたいと考えています。

日鉄ソリューションズ株式会社 執行役員 人事本部長 井東 久也 様

── 若手社員のキャリア支援について、今後の展望をお聞かせください。

まずは現在の研修プログラムを継続しつつ、より良いものにしていければと思います。研修後の学びを継続・定着させるための仕組みを、今後検討していく必要があると考えています。

また、一連の取り組みを通し、研修が当社の人材や人材教育に対する考えや思いを社員に伝える場としても機能したと感じており、発信の重要性を再認識しました。一方で、「人材こそ資本」、「キャリア自律の重要性」といった会社の思いや考えが現段階ではまだ社員に十分に伝わっていないと感じています。

目的地が見えてこそ、社員は自律できます。会社の考え方やビジョンを明確に発信し、会社がどのような思いで施策を実施しているのかをしっかり伝えていくことが今後の重要な課題だと考えています。

ご担当者様:
日鉄ソリューションズ株式会社 執行役員
人事本部長
井東 久也 様

研修導入企業情報

日鉄ソリューションズ株式会社

目的
若手の成長支援・リテンション
年代
20代
業界
情報通信

営業担当者の声

藤田 香織

担当者:藤田 香織

今回の事例紹介は、入社3年目に向けた「キャリアデザイン研修」に焦点をあてておりますが、日鉄ソリューションズ様では様々なキャリア支援施策を実施されており、ライフワークスでは50代社員向けの「キャリアアップデート研修」や幅広い年代の方が、自分でキャリアを考えたいときに受講できる「キャリアナビゲーション研修」も提供させて頂いています。
いずれも導入初年度は「トライアル」という位置づけで小さくスタートし、人材開発グループの皆さんたちと一緒に作り上げ、翌年から軌道に乗せてきました。人材開発のプラットフォームが十分整備されている同社では、社員の成長を積極的に支援しており、様々な機会を使って主体的に学びを深めている社員も増えています。研修はひとつのきっかけですが、小さな行動を重ねて上司や周囲の関係者を巻き込みながら、自分のキャリアを着実に前進する方たちがますます増えるように、今後もチャレンジに寄り添いながら伴走していきます。

この事例をシェアする

キャリア支援、
プロに相談しませんか?

ライフワークスは、各企業様が目指す姿や置かれている現状を深く理解し、
より良い支援を提案・ご提供することを大切にしています。
ぜひお声がけくださいませ。

相談する

この事例を見た人は、
こんな事例も見ています